悪役令嬢 vs ヒロイン
放課後、シャルロットはマリエルを公爵家の馬車に誘い、そのまま公爵邸へ招待した。
マリエルはかなり警戒していたようだが常に優しい女神のようなシャルロットと豪奢な公爵邸の偉容に毒気を抜かれてしまった。
応接室に招じ入れられてララがお茶を淹れ、クロエが菓子を給仕しはじめると意識を取り戻した。
それを確認して人払いをしてから話す体勢になる。
「お話とはなんでしょうか?」
「同郷のよしみと申しますか…あなたも転生されたのでしょう?」
マイペースというか、平常運転のダイレクトアタックである。
「な、な、な、なんで!そうよ私は転生者よ!あなたも王太子狙いなの?
ってか、美人過ぎるでしょー!こんなの無理ゲーよ。詰んだ。イキナリ詰んだ!」
「まあまあ、落ち着いてくださいな。私は王太子などに興味はないのです。
他の男性もすべてですね。イケメンなどゴメン被ります。
私の前世は男なのですよ。ね?分かるでしょ?」
「えーまさかのTS転生!?その美しさで?もったいない!!!」
「本当に困りました。平和に貴族生活を満喫しつつ美女を愛でたいだけなのに。
なので貴女にもお手伝いして頂きたいのです。
どうか王太子を釣り上げてください。よろしくお願いします。」
「えーまさかの協力者キタコレ。でも悪役令嬢が機能しないんじゃ詰んでるじゃない。」
「いえいえ、あなたは攻略対象者の好感度を上げるワードやら仕草やらご存知なのでしょう?
チャンスさえあればなんとかなるのでは?
ちなみにゲームの強制力なんてないはずですよ。
私の存在はイレギュラーすぎます。」
「ああ成る程、そうなるわけか。
でもチャンスって?
男爵家令嬢じゃ王太子になんて近づけやしない。
そこには悪役令嬢絡みのイベントがあってこそ。
もう手も足も出せやしない。」
「私は現在、王太子から逃げている最中です。
デビュタントでの噂で興味を持たれてしまったようで。
直接言葉を交わしたのは今日のあなたの最初のイベントの時が初です。
今後も逃げ続ける予定なので私の近くにいれば接触するチャンスが来るはずです。」
「そういうことか。そっちから声かけてきた時から何されるのかって心臓バクバクだったじゃん。
なら、よろしくね!お友だち?でいいんだよね?」
「ええ、よろしくお願いしますね。あなたも私の好みのタイプですし。」
「うわ、TS怖ェ〜…」
「守って頂きたいことが2点ございます。
まず、逆ハーは諦めてください。
それと身体の関係はNGです。
ゲームの世界かも知れませんけど私たちには現実であり貴族の常識は曲げられません。
ハメを外すことなく攻略を行なってください。」
「か、か、身体の関係って!私は純愛なのよ!王太子一筋。最推しなんだから!」
「ではそれで。Aクラスなので成績優秀なのは分かってますが勉強も疎かにしてはなりません。
王太子妃になるのを認めさせるのは大変ですよ。
王太子を釣り上げられましたら我が公爵家が後ろ盾になりますので心配いりません。」
「ありがとう。本気なんだね。私、王太子妃、ううん王妃を目指すよ。」
「私も公爵位を継ぐために勉強中の身です。王妃と公爵。
それが転生チートで国を導く。夢が広がりますね。」
「素敵だね。本当に女神さまだよ。」
「ありがとうございます。女神が添い寝しますよ。」
「もう!そういうのいらんねん!イイ感じで終わろうよー」
その後、ララとクロエを紹介してから公爵家の馬車で学園寮まで送らせた。
次の日には公爵家の女神が貧乏男爵家令嬢を最初の友人にした噂が学園中に知れ渡った。




