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のじゃーさん

「さて、他のオプションを頼もうか。これならアマギも一緒に楽しめる」


「そのオプションとは?」


「お医者さんごっこ」


「楽しめるかっ!」


 どっからどう聞いても怪しいじゃないか!


「まあ騙されたと思って試してみろ。店長~」


 ジョージの呼び声に応じて店長さんとやらがやってきた。


 当然ながら、やはり一〇歳前後に見える幼女もどき。

 今度は前髪パッツンの黒髪ロングヘア。

 かわいいにはかわいいのだが、派手ではなく涼しげな和風の顔立ち。

 抜ける様な白い肌が、さらにそれを際だたせている。

 格好はTシャツにスパッツと実にラフ。

 しかしそれを感じさせないほど、「おひいさま」といった表現が似合う雰囲気を醸し出している。

 ただ、目つきがどことなく悪いのが気になる。

 そこだけ大人びてるというか世俗にまみれてるというか。


 ネームプレートには……あれ、この人だけ漢字だ。

 【野砂有】と書いてある。

 流行りのキラキラネームなんだろうが、どう読むのだろう。


「初顔じゃのう。わしが店長の野砂有のすなゆうじゃ。『のじゃーさん』と呼ばれておる」


 ……そのままの読みだった。


 と言うか!

 今度はロリババアかよ!

 しかしこんな口調でも最早まともに聞こえてしまっている自分の耳が怖い。


「のじゃーさんはちゃんと大人として話せるから、その点は心配いらないよ」


「はあ……」


「ジョージはどうするんじゃ?」


 ああ、もう常連客としか思えない会話。

 こいつは『おにすき』にどれだけ通ってるんだろう。


「他に『ごっこ』できる子いるの?」


「ラッキーじゃの。今日はまゆが来とるぞ」


「おお!」


「まゆ~、出番だぞ~」


 のじゃーさんの呼びかけに応じてまゆちゃんがやってきた。

 まゆちゃんはお嬢様結びにリボンのさらさらミドルヘア。

 まるで天使の様な朗らかな笑顔。

 名門私立の初等部を思わせる様な品のある制服を着ている。


「ごきげんよう、ジョージお兄様。さあ参りましょうか」


 見たまんまの清楚系お嬢様か。

 のじゃーさんより口調だけならよっぽどまともだ。


「はるみ、今わしよりもまともじゃと思ったろう」


 このババア、なんて鋭い。


「いや、品のある物言いだなあと思って」


「ふん、この店にまともな店員なぞおらん。まゆ、お得意のあれをやってみろ」


 店長がそんな台詞吐いてどうする。

 で、お得意って?


 まゆちゃんの目元に陰りが差し、どこか病んだ様な目つきに変わった。


「ふふっ、はるみお兄様も簡単に騙せそうね。この方にいたずらされた振りして警察に飛び込んだら、いったい何日くらい楽しめるかしら」


「腹黒属性かよ!」


「正確にはいじめっこ属性じゃの。少女漫画には付き物の悪役がおるじゃろう。あれの小学生版じゃ」


 ろくなもんじゃねえ。

 そう思ったらのじゃーさんはさらに続けた。


「しかもまゆは他と違って素じゃ」


「ろくなもんじゃねえ!」


「小学生にいじめられたいというニーズもあるんじゃよ。おにすきでもダントツの人気でのう。三ヶ月前に入店してからずっとナンバーワンじゃ」


 ああ、もう! 信じられない!

 俺にはロリという人種が理解できない!


「はるみ、頭抱えとらんと別室へ移るぞ」


「別室?」


「ここで『ごっこ』ができるとでも?」


「俺の想像しているお医者さんごっこは確かにできないな」


「どんなの考えとるかしらんが……まあいい。わしの後についてこい」


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