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78 上陸

 決行当日、俺達は朝五時に港に集合した。小さなフェリーにもう装甲車は載っていて、ジャッカルの面々が迷彩服に身を包み、待っていた。


 やはり十月ともなると、朝は少し冷え込む。合羽を着ていて丁度良いくらいだ。

 俺は釣り用のベストの左ポケットにイカ神石を、右ポケットに普通神石を五個。ボディバッグに龍玉と残りのありったけの神石を入れ、リュックに着替えやその他を入れて持ってきた。

 蘭は木刀二本とポーチとリュック。愛吹もポーチとリュックだ。


「出港して三十分ちょっとで上陸です。作戦開始は六時です」

 作戦開始三十分で、島をほぼ制圧して、ボス戦となる予定だ。


「皆さんの緊張や、体調をほぐすために、神力で癒します。私の周りで円陣を組んでください」

 愛吹が中心で神石を持って、お祈りをする。

 神力が全員を覆う。

「じゃぁ、行きますか!」


 外が白々と明けはじめ、島が近くなり、それぞれが神水サングラスを掛けて装甲車に乗り込む。

 先頭車両はジャッカルの三名。二台目に愛吹と叔父さん、ヤマシタさんと、もう一名。最後の車両に、俺と蘭、スミス君とラパラ君だ。


「六〇〇時、作戦開始、ゴー!」

 ヤマシタさんの声が無線から聞こえる。装甲車が順番に上陸した。砕石場跡の凸凹道を結構な勢いで走る。わずか五分のことだが、頭を二度ぶつけた。


 事務所前で俺達の車は停車し、前の二台はそのまま突き進む。俺達四人は、車から飛び出し、先ずは、事務所から出てきた三人を蘭が斬撃で撃った。

 俺は、龍玉を取り出し、神力をこめる。流れる煙のように龍玉からマルキュウが出てくる。

「丸い玉から・・・」


「マルキュウ、台詞はいいから、この島にいる黄泉の者を大急ぎで食べつくせ。人は食べるな」

「ご主人さま、わかった」

「待て、これを食っていけ、神石だ」

 俺は、空に神石を二つ高く投げ上げた。

 マルキュウは上手に食べ、俺達の付近から吸うように食べはじめた。時奴邸では啄ばんでいたのに、今日は吸うように食べている。それだけ多いんだろうな。


 マルキュウの姿に追われるように、事務所や他の建物、停泊している船から人が出てきた。

 俺は神石を握り締めて、パシュパシュっと、二人を撃った。蘭は五メートルほど離れた場所で斬撃を撃ちまくっている。

「八人目」

「えっ?もう一分隊やっつけたの?」

「楽勝だぞ!」


 ゾンビを一撃でしとめているようなものだから、結束バンドで、倒した敵を後ろ手に拘束しているスミス君とラパラ君の方が大変そうだ。


 ホテルの方角で大きな神力ドームが光った。

 愛吹たちも始まったようだ。


 三艘の船から出てきた四人を俺は倒し、事務所から出てきたボスっぽいのに蘭が斬撃を三発お見舞いして、スミス君が手刀でトドメを入れてこいつは手錠で拘束している。


 通ってきた砕石場のほうから、ナンバープレートの無い車がえらい勢で突進してくる。俺をひき殺そうとしているようだ。横っ飛びして逃げる。

 ラパラ君が、本物の銃でタイヤを撃った。車は事務所側に並べてあったドラム缶に激突して止まった。本物の銃も持ってたんだ…


 痛た、横っ飛びしたときに肘を擦りむいてしまった。チチンプイプイ神力~、痛いの痛いの飛んでヶ!

 完全治癒するから笑ってしまう。でも、破れた雨合羽は治らない、高かったのに…

 車に乗ってた奴も、直接神力で治癒と叙霊したあと、ラパラ君が手錠拘束した。


「危ない! 大ちゃん!」

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