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76 イカ神石改

 みんなで表にでた。早速、俺は愛吹がやるように、イカ神石を両手に挟んでお祈りのポーズを取って、神力を込めてみる。


 黒い煙幕を張ったドームが俺達を包んだ。

 たぶん半径五十メートルくらいまでは、すーっと広がった。真っ暗で何も見えないから、なんとも言えないが、常世の余興で母がやったのと同じような感じだ。足元すら見えない。

「おぉ~、これも神力なのか?!」

 ジャッカルのみんなは、大昔の皆既日食のように驚いている。


「なるほど、これは役に立つかも知れないな」

 俺は神力を解いた。このドームを維持するのには愛吹の言うようにかなりの神力が必要かも知れないが、短時間であれば規模ほどは神力は使わない。これはコスパがいいんじゃないか?


 そこで、俺はふと閃いた。イカ神石は神水玉も作れた。これで神水を込めたらどうなるんだろう?

「ちょっと、みんなその場所を動かないでね」

 俺はダッシュでみんなから、百メートルほど離れた。アラサーでダッシュは堪える。イメージほど足が前に出ないのだ。ゼイゼイ…


 イカ神石にもう一度神力を補充しておいて、虹色に戻し、今度は神水を出すイメージでお祈りしてみる。


 ドームの中は、土砂降りの嵐だった。

 ずぶ濡れになった。

 自爆型の神力だが、火を出す相手には持ってこいだな。おまけに、雨が神水だから、叙霊の効果もかなり高いはずだ。これで、大物は相手にするか。

 但し当日はゴアテックスの雨合羽を着て着替えを持って行こうと俺は思った。


「大ちゃん、ずぶ濡れじゃないか!」

 戻った俺を蘭が笑いながら、タオルで拭いてくれる。

「大物の火の相手はなんとかなりそうだぞ」

 俺は、水を滴らせながら、みんなに笑って言った。

 ドームの中が見えていたのか、それともなんとなく想像がついたのか、みんな笑いを堪えながら親指を立てて納得の合図してくれた。


「変えの衣服を用意してあげなさい」

 カルばーちゃんが、ジャッカルの女性にそう指示してくれ、「こちらへ」と案内される。下着から一式常備してあるらしく、スミス君達と同じ黒のスーツに着替えた。


「カッコいいな、大ちゃん」

 蘭は俺の見慣れないスーツ姿が気に入ったようだ。でも、スーツ着ている神様って見たことないだろ?

「ありがとう、ばーちゃん」

「ははは、神様も苦労が多いねぇ」


「奴らは夜目も利き、夜のほうが活動しやすいようなので、作戦は早朝から行います」

 ヤマシタさんが、あらかたの作戦を説明し始める。

 北面より南のほうが、警戒が手薄です。南の放置された出荷場に小さなフェリーで接岸し、装甲車三台で一気に上陸します。

 地図を置いて、説明してもらえると分かりやすい。


「敵の本拠地は、この北東面の丘の麓にある、ホテル跡だと考えています。そこまでは砕石場跡地を抜けて事務所や側にある寮、社宅跡を通り、北面の湾岸道路を抜ければ車で十分です」

「わりと広いんだな」


「前回は、徒歩で上陸したため、この最初の砕石場跡で取り囲まれ被害を受け撤退しました。なので、今回は火にも強い装甲車を使います」


「先ずは、車で一気に事務所まで行き、駐在するおそらく一個小隊を叩くと同時に、マルキュウを出していただき、我々はホテル跡を目指します」


「ホテル入口に二方が高い壁になった場所がありますのでそこで愛吹さんにドームを作ってもらえれば、前から来る敵のみを相手に出来ます」

「一度、愛吹に一気にホテルを神力ドームでカバーしてもらえば、分隊、小隊のボス以外はほとんど、壊滅すると思うよ」


「そうして頂けるのなら、かなり有利になる作戦も行えます。建物内は、危険ですから、厄病魔に憑かれた者がいなければ、リスクは、ほぼなくなる筈です」

「うん、短い時間でいいなら大丈夫よ」

 愛吹が頷く。


「じゃぁ、後は親玉とその側近だな。どこにいるんだろうな?」

「やはり、この社員寮裏の島の中央部が怪しいですね」

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