表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/84

72 ウザ龍

「すみません」

 龍はしょんぼりしている。


「お前は、雄なのか雌なのか?」

「私は女の子です」

「何が出来る?」

「何でも食べれます」

「はぁ~?」


「だから、何でも食べれます」

「ただの大食いか?」

「いや、ゴミでも人でも魔物でも、自分でも」

「ウロボロスの蛇かぁ…自分は食べなくてもいい」

 そうか、スクナビコナ様が言ったのは、こいつに意思霊を食わせろと言うことか。


「食ったものは、どうなるのだ?」

「私に消化されて、永遠に閉じ込められます」

「例えば、さっき蘭が飛ばした斬撃も食えるのか?」

「はい、追いつけれれば食べれます」

「やってみろ。蘭頼む」


 蘭が斬撃を龍から離して、三発撃つ。

 龍は空を駆けて器用に食べた。ほんとだ。

「これ楽しいですね。しかも美味しい」

「神力だからな。言うことを聞いたらもっと食べさせてやろう」

「はい、ご主人さまぁ」


 次は愛吹が、ビーチボール大の神力玉を作った。

「よし、これを取ってこい」

 神力で飛ばす。龍はそれを追っていき、パクっと食べた。

「ばかー! 誰が食べていいと言った。取って来いと言ったんだ」

 俺が神力で龍を撃つ。

 パンパンパン

「あう! あう! あう!」

 龍は命令を勘違いして怒られたのでしょんぼりしている。


 次はアマビエだ。直径三メートルはあろうかという馬鹿でかい神力玉を作った。

「これを食えるかのう?」

 龍は自分の半分以上もあるサイズの神力玉を一飲みで食べた。

「あれが食えるのか!」

「よーし、いい子だ」

 龍は尻尾を振って、嬉しそうにしている。

「ほんとに、何でも食べるなぁ~」


 蘭が船べりから手を出して「お手!」と言った。

 龍は何をして良いのかわからず、困っている。

「お手と言われたら、その前の手を出された手にチョンとするんだぞ」

 龍は恐る恐る蘭の手に、チョンとお手をした。

「よーし、よし。えらいぞ!!」

 誉められて、龍は嬉しそうだ。


「じゃ、おかわり! おかわりと言われたら、今度は反対の手だ」

 龍は、反対の手でおかわりをした。

「よーし、よし。食べてよし」

 蘭は、斬撃を飛ばす。龍は喜んで尻尾を振りながら、斬撃を追って食べた。


 今度は愛吹が、ビーチボール大の神力玉を浮かべている。

「おあずけと言われたら、よしと言われるまで食べちゃだめなのよ。おあずけ」

 龍は鼻先に、神力玉をくっつけて食べるのを辛抱している。

「かしこいねぇ~」

 愛吹は龍の頭を撫でてやっている。龍は嬉しそうだ、尻尾をバンバン振っている。


「じゃぁねぇ、よし・もと〇喜劇!」

 龍は、食べかけて「よし」ではないと気づき、慌てて横を向いて空噛みした。カポンっといい音がする。

「えらい、えらい~!」

「じゃぁ、よし!」

 ハグンっと龍は大急ぎで食べた。

 出てきたときは、ウザかったが、ちゃんと言うことを聞くので、みんな段々と可愛くなってきた。

 沢山、神力玉や斬撃を食べているので、実体化も長持ちしているのか、結構な時間、龍玉に戻らずにいる。


「名前をつけてやったらどうだろうか?」

 蘭の提案である。そうだな。

「じゃ、マルキュウ」

「なんで?」

「バクバク食うから、釣り餌メーカーから頂いた」

「うん、可愛いんじゃない?」

「じゃ、お前は今日からマルキュウだ」

「ま・る・きゅ・う」

 龍は、名前をつけてもらえて、ちょっと嬉しそうだ。


「丸い玉から出てきた、究極の力。我が名はマルキュウ!」

 ドヤ顔のマルキュウ。自分で登場シーンの台詞を考えたようだ。

「やっぱり、うざっ!」

「ハウス!」

「ハウスと言われたら、玉の中に帰るのよ」


 マルキュウは、しょんぼりして玉に帰って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ