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62 チームジャッカル

 龍を釣る。

 常世でスクナビコ様に龍を釣って、龍玉を得よと言われた、これが無いことには、意思霊の退治も成人の儀も話しにはならない。しかし、龍ってどんなタックルで挑めばいいんだろうな?


 メーターオーバーの太刀魚を釣って、ドラゴン級なんていうが、アマビエの話だと三メートルは超えるそうだ。以前、蘭のサビキに龍らしきものがアタックしてきたが、三号ハリス五本をいとも簡単に切られてしまった。引っ張り強度十二ポンド(約六キロ)を五本束ねて、単純計算で六十ポンドを切って行く相手だ。


 大体、龍って根魚みたいに潜るのか? 潜るのならば、クエ釣りみたいに三百ポンドくらいのラインが必要だろう。逆に、表層でファイトするカジキみたいならば百三十ポンドくらいでなんとかなるかも知れない。

 この際、漁師の仕掛けの四ミリロープとか言うのは無しにしたい。切られてから段々強い仕掛けで再挑戦すればよいことだ。

 俺にも一応アングラーとして勝負したいという気持ちはある。


 これには、とにかくお金がかかる。しかも瀬戸内海でのファイトだから回りの船の危険も伴う。ということで、カルばーちゃんの手を借りないと俺達ではどうにもなりそうにない。そこでスミス君に来てもらった。


「カルばーちゃんに頼まれた意思霊をやっつけるのに、龍を釣りたいんだ」

「ドラゴンですか? 大きさはどのくらい?」

「たぶん、三メートル強だと思う」

「表面でファイトしますか?」

「それが分からないんだ、でも龍のイメージからして深みに潜っていく感じじゃないし、底がそもそも六十メートルだからね。まさか火を噴いたりはしないと思うけど、空くらいは飛ぶかも」

「ならば、ブルーマーリン(クロカワカジキ)と同じと考えて良いかも知れません、ブルーマーリンも大きければ四メートルです」


「経験あるの?」

「任せてくださーい、私達チームジャッカルは、休暇のとき、ハワイでブルーマーリンを釣っています」

 諜報部員の会社に釣り倶楽部があるとは知らなかったが、確かに諜報部員の休暇と言えば、南の島で美女と一緒にバカンスを楽しむイメージがある。

「なんで、ジャッカルなの?」

「時奴カルでジヤツカルです」

 スミス君がドヤ顔で答える。オーナーの名前かよ。


「私、ラパラ、そして時奴邸のヤマシタは、チームジャッカルでハワイのブルーマーリンの大会で、千ポンドを釣って優勝しました」

「千ポンドって、四百五十キロ?」

 いや、諜報部員の皆さん御見それしました。

「そのチームであなた方をサポートしましょう! いやぁ~、ドラゴンですか? 楽しみですねぇ~」

 頼ってみるものだ。こんな所に心強い仲間がいた。


「カル様には意思霊を倒すためには、あらゆるコネを使って全面的にバックアップするように言われています」

「それは、心強いなぁ~」

「では、一ヵ月後でよろしいですか? カル様に手を回して頂いて、付近半径五百メートルの海域封鎖を行います」

 海域封鎖? そんなことが出来るのか? ならば、安心して龍を釣ることが出来る。神魚だから鍼から外れてしまったら、消えてなくなるのでそれだけあれば、大丈夫だろう。


「龍は、俺との釣り糸での繋がりが切れると、光の屑になって消えてしまうんだ、デッキに上げれなくても近くまで寄せれれば、石に変わったとしても、アマビエにお願いして拾ってきてもらえるから」

「わかりました。石が得られれば良いのですね、ハワイでは金属バットで殴ってトドメを差します」

「乱暴だなぁ~」


「危ないですからね。アラスカのオヒョウはライフルで打ち抜くんですよ。わはは」

 いつもは仏頂面のスミス君が、ジョークを言って笑っている。釣り仲間として打ち解けたってことなんだろうな。やっぱ、釣りっていいよなぁ~

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