6 神力
「訳の分からない魚ばかりが、意味もなく釣れすぎて逆に面白く無いんだ。」
俺は、アマビエにそう答えた。
神様と言うからには、多分何千年も生きているのだろうが、うら若き女性のミニスカート姿で、目の前で胡座をかかれると気になる。
まぁ、これは男の性というもので致し方ない。
アマビエは、俺の泳ぐ目線を一向に気にしない様子で、
「そなたが釣って消えてしまった魚は、神魚と言ってのう、常世の国の海に住んでおる魚じゃ。そなたの思う異世界の魔魚というのも、あながち間違いではない」
「えっ、俺の思っていることが分かるのか?」
「神をなめるでないぞ、先ほども我の足を見て動揺したであろう?」
俺は見た目が年下のアマビエにからかわれたようで、恥ずかしくなった。しかも、思っただけで分かるのなら、体裁を繕って敬語を使う意味もない。
「よいよい、どうせ仮初めの身体じゃ、なんなら触ってもよいぞ。ほれ!」
などと、アマビエは自分のおっぱいを持ち上げる。
神様のくせに、全くいい性格をしているようだ。
「で、その魔魚を釣ったら何かいい事があるのか?」
俺は、相手にせず、話しを戻す。
「なんじゃ、つれないのう。そうじゃのう、そなたも既に経験した内に働く神力の治癒と、外に働きかける神力を持つ」
アマビエは、おっぱいを手で揺らしながら言う。ってその動作いらないだろ!
「神魚はこの世界では、長くは生きられぬ、あのように消えて無くなるのじゃ、代わりに神力を残す。神力は宿主を探すように傍にいるものに宿るでの、そなたに移ったと言うわけじゃ。」
「魔石になったのもいたぞ。」
「魚の種類にもよるが、稀に石に変わるのもおる。石は神力そのものの塊のようなものじゃから、あれに触れて神力を使おうとすれば、その想いに応じた外に働く力となる。まぁ、大体はそなたが感じている通りじゃ」
「そなたの思っている通り神力は溜めれば溜めるほど使える力は大きくなる、我なぞは、絵に描いて持っておるだけでも疫病が避けるようになるほどにな」
思い出した! アマビエって一時ネットで流行った疫病退散の妖怪じゃないか。
「これ! また人を化け物だと思っておるな!」
イヤ十分妖怪だろ! っと俺は思うのだが、本人が神だと自己申告しているので神だと思うことにした。
「イヤ、別に妖怪だと思われても、それほど悪い気もしないというか、むしろ新鮮なのじゃがな。」
「妖怪でええんかい!」
最初は怒っていたのに、だんだん変化しているというか、ぞんざいな扱いに喜んでいるというか、むしろヘンタイ?
「また、新しい言われようじゃのう」
アマビエは、少し嬉しそうな顔をした。
アマビエは、罵られると喜ぶ、軽いヘンタイでした。でも、海坊主と化け物、人魚はNGワードのようです。
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