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43 たこ焼き大作戦2

 さてタコだ。愛吹が二杯、俺が一杯の計三杯を下処理する。頭と脚を繋いでいる部分を手で切って、頭を裏返すと内臓が出てくる、これを手で引きちぎって内臓を出す。

目と嘴は食べれないので、これも取る。

 俺が釣った一杯は大きいので、頭と脚を包丁で切って解体し、足先も切り落とす。すり鉢にこれを入れ塩と米ぬかを上からかけて揉む。米ぬかはコイン精米機のところに、持ち帰り自由と書いてあったので、タコを釣りに行くと決めた後に貰ってきていた。

 これで洗ったら、下ごしらえ完成だ。本当は一時間ほど冷凍すると、もっと滑りが取り易くなるらしいが、今日は生のままなのでちょい時間がかかった。


 大きな鍋にたっぷりとお湯を沸かし、タコを足先から丸まって行くのを観察するようにゆっくりと入れていく。赤くなったら、茹ダコの完成だ。

 煮付けにする分は、茹でずに、砂糖、醤油、酒、みりんで落し蓋をして直接煮付けてしまう。二十分も煮れば出来上がりかな。


 愛吹が風呂から出てきたので、たこ焼き用のネタを作ってもらう。明石焼きにするつもりなので、四人分だと卵六個だな。

「えぇ~、六個も使うのぉ~」

 愛吹は驚いているが、そんなものだぞ。うまいタイミングで蘭もやってきて、アマビエと海がめの産卵を見ている。


 茹でダコの脚を薄く削ぎ切りにして、半月状に薄く切ったレモン、タコ、セロリの順番で並べていき、塩コショウをしてオリーブオイルを振ると、タコのカルパッチョで一品完成だ。


 出汁を作り、タコ焼き用のタコを切る。煮付けもほぼ完成。じゃぁ、たこ焼きパーティ開始だ。

「おまたせ~、じゃ始めるぞ」

「ほぉ、そなた手際が良いのう」

 たこ焼き鉄板にしたホットプレートに、愛吹と二人でタネを流し、タコを入れていく。焼き面が少し堅くなったところで、千枚通しでコロコロとひっくり返す。


 アマビエが海がめそっちのけで、興味深そうにみている。

「そっちのカルパッチョは、もう食べたらいいぞ」

「このカルパッチョ、美味しいぞ」

「自分達で釣ったタコだからな。美味しく食べてこそ成仏するってもんだ。残さず食えよ」

「当然だ」

 とは言うものの、これだけの量のタコは今日だけでは食べきれないので、冷凍して後日ということになるが。

「愛吹、煮付けがもう出来たろうから小鉢に盛り付けてきてくれ」

「はーい」


 たこ焼きが焼けた。それぞれのお皿に、千枚通しで突き刺して入れていく、明石焼きはユルユルなので、手早くやらないとつぶれて残念なことになってしまう。

 アマビエはお箸は使えるのかな? こういう心配をすると、我が家に外国人が来ているようだ、イヤ、人間ですらないのだけれど。

 心配を他所に、アマビエは上手にお箸を使ってたこ焼きを出汁につけている。

「熱いから…あっ!」

 注意しようとした途端、アマビエはパクっと口に入れてしまった。


「フガフガフガ、ハフハフ、ホワ!」

 ボン!

「あっ!」

 口に入れて熱がって苦しんでいたアマビエの口がいきなりアヒルみたいな口に変わった。

「ぶははは、バカ神! その口!」

「ははは、アヒルだ、アヒル!」

「何が、そんなに可笑しいの? ぷっ! うぷぷぷぷ」

 タコの煮付けを運んで来た愛吹も、耐え切れない。


「あー、苦しかった。思わず素になってしまったぞ」

 アマビエは涙目で、やっと復活した。

「滅多に暖かいものは食べぬでのう、死ぬかと思ったわ」

「ぶはは、それが素だったんだな」

「隠しておったのにのう」

 ボン!

 また、元の可愛いいけず口に変わった。

「ゆっくり冷まして食べないからだよ」

「アマビエさんは、究極の猫舌だったのね」

「いや、笑わせてもらえたぞ」

「たこ焼きとは、危険な食べ物じゃのう」


「アマビエさん、はい、これ冷たいコーラよ」

 アマビエが恐る恐る飲んでいる。

「なんじゃこれは! 口の中が弾けるぞ、白魚の踊り食いのようじゃ」

「ははは、それはそういう飲み物なんだよ」

「シュワシュワするのう、これならば我の作る神酒のほうがマシじゃのう」

「えっ? バカ神様、酒とか作れるのか?」

「我を誰だと思うておる、ほれ」

 空いたコーラのコップに、俺が神水を作るのと同じ要領で濁り酒が出てきた。

「えぇ! 酒も出せるのか!」

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