表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/84

35 神臭

 コツがつかめたようで、蘭は繰り返しサビキで釣っている。

「七種類目~」

 毎回、ほぼ全部の鍼に魚がかかるので、何種類釣れるかというチャレンジをすることにしたようだ。神石もポロポロ出ている。


「なぁ、アマビエ、この間、神水を目に入れてみたんだ。そしたら短い時間だけれど、お前の言ってた厄病魔が見えるようになった」

「そうかの、我は常に見えておるが、あれらは我の見える範囲には、ほとんど寄ってこないでの」

「神力の強さってヤツなのかな」

「あまり近づくと浄化されておるのかも知れんのう」

 寄り付いただけで、消されるって流石は腐っても神だな。

「我は腐ってはおらぬぞ、饐えた匂いなど、せぬであろう? 匂ってみよ」


 いや、言葉通りに受け止められても困るのだが、アマビエはなんとなく魚臭そうな気がして、傍で香りを嗅いでみたことはないのだが、本人がそういうので、ちょっと匂ってみる。

 クンクン

 意外や意外。木のような香りがする。材木屋さんで嗅ぐ香りというか、そういう香りに近い。

「ほんとだ、悪くない」

「これが神臭というものだ、そなたも蘭もこれの淡い香りがしておる」


「神の住む場所は、大体こういう香りがしておるものじゃろ?」

「そう言われればそうだ、神社や霊山などは大きな森やご神木が生えてることが多いから、俺はてっきり森の木の香りだと思っていたよ」

「間違いではないがの、神の香りでもある。そもそも木自体も神に近い物であるでの、長く生きた木は神力も宿しておる」

「それで森に入ると癒されるのか」

「まぁ、そうかも知れんのう」


「でもそれなら、森には厄病魔なんていないんじゃないのか?」

「そうじゃの、弱いのは森には居れずに街をうろついておろうが、木やその場所の神が持つ神力と対等であるか、それ以上のものは森の中でも平気だから、居ないわけではないぞ、むしろ強いのが居る」

「神は退治してくれないのか」

「そういう魔物も神も中つ国においては、似たような存在じゃから、人となんらかの契約をするとか自分に関わるとか以外は、特にお互いは干渉せぬ。干渉すれば、どちらかが消えるでのう」


「じゃぁ、お前は瀬戸内海で何をしてるんだよ?」

 新たな疑問である。そうだとしたら、神は何のためにこの世界にいるんだろう。

「もっともな疑問じゃのう。我ら地上の神は、基本的に高天原や常世には出入りが許されぬ。まぁ言えば監視係と中つ国の保全じゃの、不測の出来事が起こった場合には、門を通って報告に行くがの」

「じゃから、常世の魚を釣る程度ならば誰も文句は言わぬが、そなたが常世に行こうとすれば、我はそれを阻止せねばならぬかも知れぬ。まぁ、楽な役目じゃぞ」


 まぁ、俺が神魚を釣っているのは、隣から延びてきた柿の実を採っている程度のことらしい。法律的には採ってはダメなんだそうだが、常世側はそんな細かいことは言わないようだ。


「大ちゃん! 大きいのが来たぞ!」

 話し込んで忘れていた。蘭の竿が大きくしなっている。っと、駆けつける前に竿のしなりがなくなった。切られたか?

 上げてみると、七本鉤の下五本が見事に切られていた。何がかかったのだろう?

「ふーむ、龍でもかかったのかのう?」

「龍?! 龍って言った? 常世の海は龍も釣れるの?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ