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20 暮羽の病気

「あー、美味しかった」

 後片付けは愛吹の分担だ。

 とは言っても、俺が料理を作るのは休みの日だけなので、ほとんどの家事は、愛吹がやっているようなものだけど。


「そうそう、神水のね、新しいのを作ったの」

 ジャッジャン!

 愛吹が取り出したのは、ファブ○ーズのボトルだ。

「神水ってね、雑菌殺すでしょ、だからね、これ一本で神水吹きかけるだけで、除菌は出来るし、匂いも取れて、防虫、防カビの効果もある事に気がついたのよ」

 と愛吹は、どこかのテレビショッピングのように言う。今なら送料無料で、もう一本サービスとか言うんじゃないか。


「まっ、確かに一つでまな板の除菌まで出来るってのは、便利だけどそういう商品はもう、あるからな」

「そうだよね〜、まっ、家で使うには便利でしょ」

「うん、いいんじゃないか」

 そう言いながら、今度から、魚を入れたクーラーの除菌に使おうと、俺は思った。


「詳しくは知らないのだけど、暮羽さんね、入院したらしいの」

 愛吹は、改まって遠慮がちに言う。


 暮羽…椎賀暮羽(しいがくれは)は俺の元カノ。五年付き合ったが、長すぎた春とでも言うのだろうか、結局、結婚に踏み切れず、お互いに嫌いになったわけでは無いが、新たな一歩を踏み出したいと言う気持ちもあって、二年前に、話し合って別れた。愛吹は、その後も暮羽と付き合いがある。


「えっ! そうなの? 何の病気だろうな? 大した事が無けりゃいいけどな」

「うーん、まだ詳しい事は教えてもらって無いけど、あまり良くないみたい」

「そっかぁ」

 別れて二年も経てば、もう別の彼氏がいても不思議でも無い。俺が、出しゃばる必要もないだろうが、良くないってのが気になるな。

 暮羽には、幸せになって欲しいと願っているのは本当だ。


 俺の神力や神水で良くなるような病気なら、いくらでも協力するのだが、この程度の能力で治るくらいなら、現代の医療なら問題なく治せるだろうしな。


 実際、今の俺の神力がどういう病気に効果があって、どの程度まで治せるのか、俺は知らない。分かったところで、例えば、キリストが現代に現れて、神の言葉を説き、奇跡を起こしたとしても、それがキリストではなく、釈迦だったとしても、やっぱり逮捕されてしまうのだろう。


 ましてや、俺なんて、何の教義もなく、信念もない。

「病気が治る」と言った時点でアウトだろう。


 俺が手に入れた力は、神力というだけあって、神さまの力なのかも知れないが、俺はこの力を使って何かを成すべきなのだろうか?


 アマビエが言うには、まだ目の見えない赤ん坊程度らしいから、何にしても、大した事はないんだろうけど。


 この後、さらに神魚を釣り続ければ神力はドンドン強くなっていくのだろう。一度に使える量には、限りがあるが、使い切っても、時間が経てば自然に戻っている。

 その一度に使える量も、神力の強さとともに増えている。

 この神力という力は、一体何なのだろう?


 暮羽の入院の話しを聞いたのを切っ掛けに、俺は面白がって使っている、神力について考え始めていた。

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