19 鯵料理
アジを捌くのには、裏技がある。
新鮮なアジにのみ有効なのかも知れないが、未だ内臓も鱗も取っていないアジの胸ビレの後ろに切り込みを入れ、背びれの際にも尻尾まで切り込みを入れる。そしたら頭の背中側から、カワハギの皮を剥ぐのと同じように、ビリビリと皮を手で剥ぐ。
ゼイゴも鱗も一緒に取れて楽勝なのだ。
その後で頭と内臓を取り、大名おろしで一気に三枚におろす。
全部の鯵をおろしてしまう。
頭は面倒なので、捨ててしまうが、残った骨は、ザルに入れて一度沸騰した湯をくぐらせ、冷水で洗う。
魚を煮付ける時に臭みを抜く霜降りと言う方法らしい。
冷たい水に昆布を敷き、お湯で溶いた味噌を入れ、先ほどの骨を入れ二十分くらい煮る。鯵の場合は、二十分から三十分くらいが出汁を出すのにベストだそうで、それ以上、以下でもダメなんだそうだ。
愛吹が嫌がるので、最終的には骨は取り除く。なので俺は、ザルに入れたままやる。
煮る間に、鯵の身を数匹、二本の包丁でひたすら叩く。
トコトコトコ
時折包丁で、ひっくり返して混ぜて、また叩く。
トコトコトコ
生姜とニンニクのチューブ、味噌を絞り入れ、刻んだネギと醤油を落として、また叩く。
トコトコトコ
アジのなめろうの完成だ。
指にとって舐めてみる。うーん旨い。海に感謝を!
続いてお刺身。
これは切るだけなので簡単。
味噌汁は、出汁にした鯵をザルごと引き上げ、アクと残った昆布や、カスを取って、切った玉ねぎを入れ再び煮立たせる。玉ねぎがしんなりしたら完成!
残りは鯵フライだ。
水、小麦粉、卵を混ぜた液に軽く塩胡椒したアジを浸し、パン粉をつけて揚げる。
鯵づくし四品の完成だ!
なめろうは、丼にして仕上げに白ごまをふりかけ、簡単なサラダを添えて
「愛吹〜、晩ご飯だぞ〜!」




