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17 イカ神石

 手の中に真っ黒な神石がある。この間、アオリイカを釣った時に手に入れた、イカ神石だ。他の神石と元から色が違うので、何か特殊な事が出来そうな気がする。

 とりあえず、神力を込めてみるか。


 手をかざして、神石に神力を注いでみる。二分程度で、他の神石と同じように色が変化した。どう表現すれば良いのか、メタリックブルーとでも言うのか、青なのだが、黒をベースした光沢のある色で、鉄を火で炙った時に虹色になる事があるが、あれの青だけにしたような、パワーストーンっぽい色だ。


 更に神力を込めてみる、緑から黄色に、オレンジになりかけたところで気分が悪くなった。

 ざっとさっきと合わせて五分。この間は四分でギブアップだったので、神力の使用時間が伸びている、しかも前回は緑が限界だったから、流れる量も増えたと思って良いだろう。

 詰まる所、神力が強くなったという事なんだろうな。

 ブリのおかげかな?


 イカ神石なんだから、墨でも出れば面白いのにと思うが、次の休みに船の上でテストしてみよう。


--------


 週末、今週も良い天気だ。

 常世ポイントが開いてから、週末は、良い天気に恵まれているなぁ〜、と感謝しながら、久しぶりに、なめろうが食べたくなったので、朝一は、サビキでアジを狙う。サビキで、二十五センチ程度の真鯵が十五匹ほど釣れたので、今日の持ち帰りは十分過ぎる。じゃ、常世ポイントで、イカ神石のテストでもやろうかな。


「今日は早かったのう」

 早速、アマビエが乗り込んできた。

「イカ神石のテストをやりたかったからな」

 見渡す限り、周囲に別の船はいない。

 俺は、早速イカ神石を握って、いつものように手をかざす。

 ポン!ポン!

 イカ神石では、普通の神石と違い、手から黒い玉のような、煙のような、霧のようなものを打ち出した。

 空中に黒いビーチボール大の霧が浮かんでいる。


「へぇ〜、墨っちゃー、墨だな」

 水中でイカが墨を吐いた感じを空中で再現したような感じだ。

「面白いものを作ったのう」

 アマビエも初めて見るようで、関心している。

 俺は、普通の神石を握り、墨ボールを破壊した。

 これを神水を出すイメージでやったら、どうなるんだろう?

 水球が空中に浮かんだりするのかな?


 イカ神石を握り直し、神水を出すイメージで撃ってみる。

 ポン!

「わはは! ホントに浮かぶ水球が出来た!」

「そなた! なんじゃ? それは!」

 俺は遊んで喜んでいるのだが、アマビエは、いつになく驚いている。

「さっきの墨の玉に神水を閉じ込めたんだよ」

 また、普通神石で撃つ。

 ザーッっと一気に水が重力に従って海に落ちた。


「そなたよ〜! それは、潮満珠(シオミツタマ)潮干珠(シオヒルタマ)ではないか!」

「えっ、そうなの?」

「そうじゃ、かの昔、山彦神(ホオリノミコト)が、大綿津見神(オオワダツミ)様より授かって、海彦神(ホデリノミコト)を懲らしめたという神珠じゃぞ」

「えぇ〜! 神様を懲らしめたって?」

「そういうカラクリじゃったか。どれ、貸してみよ」


 アマビエはイカ神石と普通神石を俺から受け取ると、早速、三十メートルほど先に水球を作った。

 ポン!

 ・・・って、直径三メートル超えてるじゃないか!

 神力ハンパ無い!

「アマビエ〜、絶対そのまま落とすなよ!」

 そう俺が言うか言わないかの間に、アマビエは水球を解放した。

 ズザザザザ〜!!!


「バカ〜!!!」

 落ちた水が波を起こし、船はその波を受けて大揺れに揺れる。

「だから言ったのに!転覆するじゃねぇか!このバカ神〜!!」

「てへっ」

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