12 べっこう飴
神水の花粉症対策は、二日ほどは効果があったようだが、そのあとはまた逆戻りだったようだ。愛吹に神水を多目に作って置いてくれと頼まれた。
「お兄ちゃん、これ人気なんだよ〜」
っと愛吹は、コロンとテーブルの上に飴玉を置いた。
多目に作った神水を使って、べっこう飴を作って、知り合いに配ったらしい。
飴になっても、花粉症に効果があったそうで、もっと欲しいと頼まれたそうだ。
「俺がこんなに慎重にやってるのに、なにやってんだよ〜」
「大丈夫だよ。神水ならお兄ちゃんも私も飲んで、悪いこと少しもないし、飴に加工してるから、ばれる事も無いよ。」
「まさか、金取ったりして無いだろうなぁ〜」
「こんなので、お金取るわけ無いじゃん」
「それなら…って、よかねーよ! 一つ間違えたら逮捕されるんだぞ!」
「大丈夫だよ。人に飴をあげて逮捕されるんなら、大阪のおばちゃん達は、みんな捕まってるよ」
そう言われれば、返す言葉が見つからない。まぁ、飴くらいないいかぁ。
持った神力で初めて人の役に立て、感謝されているんだから、悪い気はしない。
これからも小市民らしく、コソコソと善行を積もう。
うん、なんか愛吹のおかげで神力の使い道もちょっとだけ見えてきた。
愛吹に神水を認められてからは、我が家では神水の需要が高まった。キャンプ用の二十リットルの水タンクを買ってきて、毎日それを神水で満たし料理などに使っている。
特に美味しいと感じるのは、お茶やインスタントコーヒーと味噌汁、そして水割りの水に使った時だ。
愛吹はこっそり、洗顔や化粧水に使っているようだけど良くは知らない。
飲み水として使う分には、胃や腸には良い様で、おかげで俺も愛吹も胃腸薬要らずになった。
結果、我が家では食べすぎの傾向があり、ダイエットが気になったのだが、俺も愛吹もスマートになっているみたいで、これも神水の効果なのだろう。
こういう予想以上の効果があるものだから、神水は特に女性にとっては、文字通り神水なのだろう。
売ったら儲かるだろうなぁ〜
商売には全く興味のない俺にでも、かなりのビジネスチャンスである事は分かっている。
それは分かっているのだが、アマビエの気まぐれでもたらされたこの力、いつまた気まぐれで失うかも知れない。更に現状では、量産は無理だと分かっている。まぁ、島野家で楽しむ以上の事は出来ないだろうなぁ〜
予約掲載という機能を初めて使ってみます。
神水を出せた人は、本当にいたそうです。




