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015 決闘 帰らせろ













 二勝四敗、次戦(じせん)控えるフレイニーは呪いに身体を侵され戦闘は不可能。さらにシンジとリルも二度の戦闘で満身創痍だ。


 これは同点かなあ。


 俺は未だ一戦もしていないため万全だ。

 ラスト三連戦で白星を上げても、結局は五勝五敗止まり。

 だがまあ負けないだけマシか。


「──アッハハハ、さあどうするんだい?後は冴えない一年だけじゃないか、他の部員に選手交代でもしてみるかい?······あ、そういえば都市伝説研究部は君たちだけだったね!アーッハハハハハ!!」


 魔法研究部部長スキロット・ヴァン・ウォリミアお得意の高笑いが炸裂する。


 くっ、フレイニーが寝てるから対抗できねえ······!!


「今のうちに廃部の準備をしておくんだね!」


 え、これ負けたら廃部なんだ。わぁ〜、ぼくはじめてきいたやっ!てかぶっちゃけかんけいな〜い。だってぶいんじゃないもーん。


「うぅ、せっかく私が一から作った部活がぁ」


 リルに目尻に涙が滲む。


 ······はあ、俺、小さい女の子(年上)の涙に弱いんだよなあ。まあ、女の泣き顔見過ごすほど落ちぶれちゃいないんでね。


 白塗りの鞘に収められた剣の、太陽光を銀色に反射させる柄を固く握った。

 思い出すのは、都市伝説研究部で過ごした日々。


 シンジに紹介されて、見学だけと思ったら無理やり入部させられたり。

 魔法研究部の部長に勘違いされて決闘を申し込まれたり。

 ガ〇タンクで場を和ませたり。


 ······いい思い出なくね?

 やっぱ俺関係ねえわ。お家にかーえろ。

 ──え?女の子の涙?迷子センターにでも届けとけ。


 静かに身を翻して入場ゲートへ向かう。

 気づけば満席だった観客席にも、チラホラ虫食いができている。勝敗は決したとでも考えたのだろう。

 まだ残っている奴らは、蹂躙劇を望むサイコ野郎か、帰ってもやることがない暇人どもだ。


 ほら、帰ってる人だって大勢いるんだから俺が帰っても大丈夫だろ。······まあ、あとは頑張れよ。


 柄を握りしめていた手を下ろし、微笑を携えて足を一歩前に出──



「いいえ」



 入場ゲートの影から、透明感のある静かな、それでいて不思議とよく通る声音が響く。


「諦めるには、少し早いですよ」


 え?


 向かおうとしていた場所、すなわち入場ゲートから彼女は現れた。

 会場中の視線を一身に受けて尚涼しい顔で毅然と歩く。

 薄青色の髪を風に乗せ、

 微笑を携え、

 細身の体躯はしかし強者の風格を着飾って、


 〝雪姫〟スノウ・レイ・マスコッティは、決闘場に足を踏み入れた。




 息を飲んだのは、誰だっただろうか。

 彼女の美貌に、皆囚われたのだ。


 色白の太ももに真っ白ニーソ······ぐへへ。


 突然の乱入者に足を空中に出したままの俺の視線に気づいた様子もなく、スノウはスキロットを見据えた。



「私とクルス様がいる限り、都市伝説研究部に負けはありません」



 ──え?いや帰らせて?
















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