プロローグ
新連載です。頑張ります。
冒険者、それは、依頼を受け仕事を果たす何でも屋。
それは、魔物を屠り食いつなぐならず者の集団。
それは、明日も保証されない綱渡り。
──そしてそれは、自由の象徴だ。
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「ふふ、ふふふふふ、遂にこの時が来た······」
見渡す限りの青々とした草原。真上から照りつける日差しを一身に受け止め、彼は疾走する。
流れる景色、掻き分ける草むら、黒光りする二輪の車体と騎乗する男。
風を割って進むそれは〝バイク〟と呼ばれる最新の魔道具だ。
「クルシーズ騎士学園への入学、今までのドロドロした人生とおさらばだ······」
容赦なく叩きつけられる風に灰色の髪を揺らし、ゴーグルの下で透き通った青い目を妖しく光らせる。
「くくくく、ふーふっふっふっふ、アーハッハッハッハッハ、ヒーッヒッヒッヒwwニョホwニョホホホホwww」
涙目になりながらも、嬉々としたように男は前を見据える。
「待っていろ学園生活、俺の青春!今行くぞぉぉぉぉぉ!!」
男は地平線に溶けていく。白亜の神秘的な剣を腰に下げ。
──彼の名前はクルス。
Eランクから始まる冒険者たちの頂点、Sランクの冒険者だ。
彼の剣技を見た者は余さずこう口にした、
あのお方こそ、〝最強の冒険者〟だと。
余りの短いプロローグ