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序章2
今日は晴れていた。
木々に囲まれた空を見上げれば、暖かみのある陽光がこの地に降り注いできていることがわかる。
しかし今の自分には森の木々に遮られて然程当たっていない。だからか少し肌寒い。朝露もまだ少し残っているため、更に寒さに拍車が掛かっている。
「…………はぁ……、はぁ…………」
息を切らせつつ、自分は道なき道を行く。ちゃんとした道ならば他にあるのだろうが、そこは利用しない。そこは若さで何とか補うことにした。
「…………」
木陰に隠れて後方の様子を静かに窺う。だが今のところ人はおろか、山の動物の気配もない。
それを確認して再び歩みを進める。
蘖の先が幾度となく自分の体を擦り、細長い跡を残していく。
それでも、歩みを止めることはしない。
あることを確かめるまでは、決して倒れる訳にはいかない。