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序章1
初投稿作品です。
至らない部分もあるとは思いますが、皆様の温かいご意見、ご感想をお待ちしております。
それでは、どうぞお楽しみ下さい。
いつもの様に仕事着に着替えて、篭を手に携える。昼頃まで掛かりそうなので弁当も用意していく。
山菜が採れる山は直ぐ裏手にあるが、そこはこの町の人々も利用するので余り良いのが残っていない。
なので少しだけ離れた場所であり、私にとって大切な場所へと毎度足を運ぶ。そこは私と父だけが知っている場所だ。誰にも教えたくは、ない。
「……行ってきます」
屋内の虚空に向けて、私は一人、そう呟いた。
今日も何処かで見守ってくれている、少しだけ早く旅立った二人に向けて。