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新聞部員は心霊神社にて  作者: 蓮根 実
2/2


「…………………………」


樹は気味の悪い痣がついた手の小指を見つめながら薄暗い廊下を歩いていた。あのおかっぱ頭の少女の意味不明な言葉が何故か忘れられない。

すると……

「ぉお~い樹!次風呂入れよ~!」


剛士の声がする


「う、うん!わかった」


「樹、どうかしたのか?顔が青いぞ」


体の大きな剛士の影に隠れていた夏目が心配そうに問いかける。


「あ、いや何でもないよ!大丈夫……へへへ」


二人に心配させまいと明るく笑う。


「…………そうか、わかった。何かあったらすぐに言えよ。」


「う、うん、分かった。ありがと」


「樹、早く風呂入ってこいよ!今日は早く寝ようぜ。俺、もう眠くて眠くて…………ふあぁ……」


剛士のあくびをする姿は熊に似ている。


「剛士ってホントに熊みたいだな体も性格も……」


「ふあぁ…………うるせーぞ夏目……お前だって眼鏡外したらの◯たになるくせによぉーー!」


「ちょっ……剛士」


「あはは……じゃあ、風呂入ってくるから。」


風呂に入ってまた、手の小指の痣を見つめる。ただの夢でもなく、妄想でもないとしたらこれは……………………

「もしかして、呪い………………………………!?」

自分の口からでた言葉にビックリして飛び跳ねる。


「ど、どうしよう……」


ここで一人お風呂とか怖すぎる。ヤバいフラグがたちまくっている。ここからさっさと出てしまおう。


風呂から出て用意されていた浴衣に着替える。紺色の浴衣は夏の季節にぴったりだ。


裾のところに赤い金魚が描かれていて水の波紋とのバランスが絶妙。


タオルで濡れた頭を乾かしていると、廊下の向こうから人影が見えた。


「………弥生さん」


「あ……樹くん……………お風呂、どうでしたか?」


「あ、ああ!うん、とってもいい湯でした‼……」


「そうですか、それは良かったです…………。では、おやすみなさい……。」


弥生は樹の横をするりと抜けて足早に去ろうとする。

「あっ、弥生さん、待ってください!……あの、その……」


弥生はピタリと立ち止まるがこちらにはふりかえらなかった。


「………………れて」


「え…………?」


「……忘れてください、全部忘れて。」


声が震えている、どの感情がそうさせているのかは分からない。このまま弥生行かせてよいのだろうか…………?なぜだか樹の口は無意識に弥生を呼び止めようとする。


「や、弥生さん…………!」


「…………………浴衣……とっても似合っております…………」


何も言うことができなかった。いや、言えなかった。振り返った弥生の頬には涙が伝っていたのだ……。呆然とする樹を尻目に弥生は足早に闇の中へ消えていった。


「弥生さん…………」


チリン……チリン……

どこからか鈴の音が聞こえてくる。同時にどやどやと大きなナニカがこちらに向かってくる。


「ニ……ロ…………ニゲ……ロ……クル…………アレガ……クルゾ…………!」


黒いどろどろとした影のようなものが廊下を這いずっている。色々な声が口々に逃げろと言う。ついに黒いナニカが樹の足首辺りを掴むように流れる。


「な、何だ!?一体、これは…………?」


足は黒いナニカに捕まれ身動きが取れない…………もがいているとふと廊下の明かりがすべて消え、窓から赤い光が差し込んでくる。


「つ、月が、赤い………………!?」


樹の瞳に映ったのは赤く染まり妖しく輝きを放つ月であった。同時に建物がガタガタと揺れ出す。


「ワアァッ………………!」


2階の方から叔母たちの悲鳴が聞こえる、弥生さんや匠さんは大丈夫だろうか……


その時だ


「あ!樹くん!ここにいたのか、大丈夫かい?」


ものすごい揺れにふらつきながらも匠さんが駆けつけてきてくれた。赤い月は心臓が鼓動するかのように光を点滅させている。


「た、匠さん!……これは一体何が起こって……?」


「…………恐らくだが、これは(サカノボリ)という現象だろう…………。」


「さ、さかのぼり…………?」


「そうだ、古い本によると遠い過去へ遡ることができ…………そして過去の過ちを正さなければならない…………らしい。赤い月はサカノボリの兆候…………」


「じゃあ、それは…………っ!」


「来るぞ…………!」


僕らはまばゆい赤に染まり、消えた。



















読んでくださりありがとうございました‼まだまだ続きます!

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