表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

アリアドーナ王国の辺境にある伯爵領の領都。その一つのアデリナ市の外壁の外に1人魔物に囲まれている男がいた。


その男は誰が見ても、同性でさえも惚れてしまうほどの容姿を持っていた。


魔物の中に居ても1人輝いており、その光景は異様であった。

だが、これを異様たらしめている要素がもう一つあった。

それは男が装備らしい装備を何一つ身につけてないことであった。


誰もが絶望し死を覚悟するであろう状況で、その男は口の端を上げてこの状況を楽しんでいた。


「異世界俺TUEEEEの幕開けだ」


男が一言だけこぼしたその言葉は、周りの魔物にしか聞こえることはなかった。



--------------------------------------------------------------------------------------------------





目の前にはlv43のオークジェネラル5匹とlv60のサンタクロースの格好をしたコロッサスがいる。

そこに赤黒く光る双剣を持ちゴスロリ系の服を纏った、とても可愛い少女が真っ直ぐ魔物に向かって突っ込んでゆく。



オークジェネラル達がその少女の身体ほどの大きな大剣を振りかぶり、今対象に向かって振り下ろそうとした瞬間、少女は前転しオークジェネラルの攻撃を回避すると同時に上手く背後に回り込む。



オークジェネラルが一瞬だけ少女から目を離したその時、少女は流れるように双剣を振るい5匹ものオークジェネラルを捌いた。


オークジェネラルが一瞬にしてやられた事を気にも留めずにコロッサスが少女を殴りかかる。


しかし、この攻撃が来るのが分かってたかのように少女がひらりと舞いコロッサスの拳を回避する。

と同時にすぐさま攻撃の構えをとりコロッサスの首に飛びかかった。


一閃。コロッサスの首を双剣が切り裂き、そのコロッサスは薄らと消えた。


コロッサスが今まさに消えた場所には麻袋が落ちていた。





「っんんんん!!またカスドロップぅっ!!!やばいやばいやばい、このままだとランキング落ちそうでござる!あぁ、シアちゃんが上位3位以内から零れるなんてあってはならないですぞぉぉぉ」



油原 誠司

26歳

男性

無職

体重138kg

腹はこれでもかというくらい出ており、常に汗をかいている


油原は専門学校卒業後、職につこうともせず実家で親のすねをかじりながら6年間自宅を警備している。


タチの悪いことに油原の実家はそこそこお金があったので、油原は働かずに自分の趣味のものにガッツリお金を使っていた。


ゲームやらアニメのBDやらフィギュアやら、油原の部屋には物が散乱していた。




そんな油原が今しているゲームの中ではクリスマスイベントが行われており、今日の昼12時がイベント終了ということもあって、ランキング維持の為に全力でイベントを走っていたのである。


「っんふぅ!!あと2分でもう2回…いや!3回はまわってやるですぞ!!!」


油原は〈漆黒の双竜華シア〉という名前のアバターで常にランキング上位にいる。

キャラメイクにかなりの時間を費やしキャラを作成していた。このキャラが油原の嫁である。


「よっっしゃぁぁぁぁぁ!!!!終わったでござるぅぅぅぅ………。ギリギリ3位維持出来とぁぁぁぁぁ…」




イベントも終わり一息ついた後、ふと、カレンダーを見る。今日は12/25 日曜日 外に出ても浮かれたカップルや家族で溢れており、とても外に出る気にはなれない。


だがそういう訳にもいかなかった。なぜなら今日は、今季の幼児向けアニメのクリスマスライブが行われているからだ。外を歩く面倒くささを上回るほどクリスマスライブが楽しみなので、すぐにライブTシャツを纏い、ペンライトを腰と鞄に装備して、他にも背中の大きなリュックにはドールやぬいぐるみ、缶バッジからストラップまで装着し、完全武装が出来ていた。外を歩けば皆が1度は見てしまうような格好で、油原はライブ会場へ向かうため意気揚々と家を出た。






道を歩くカップルや幸せそうな家族に汚いものでも見るかのような目を向けられながら、汗をダラダラ流して堂々と歩いていた。



「シアちゃんに会いたいで候…」


メンテ中のゲーム内の嫁のことを思って目的地へとまた1歩進もうとしたその時、事件が起こった。




目の前を歩くとか小学生くらいの女の子が赤信号に向かって走り出していたのだ。その信号のある交差点の手前ではトラックが走っており、このままトラックが真っ直ぐ行くと目の前の子供を轢いてしまう。

まずい!と思うよりも先に身体が動いていた。その子供を守る為に重くて大きい身体をダッと動かし、子供を抱き抱え、自分の身体で包み込んで守るような体制をとった。なんで咄嗟に動いたのか自分でもわかっていない油原。

「拙者の人生もここで終わりか……あぁ、シアちゃん…」

もう会えないであろう嫁のことを考え、死ぬ事を決意した。こんな時最近の小説だったら異世界転生物語がはじまるんだろうな、とか、なかなかカッコイイ死に方だな、などと考えていた。





…………






???





なかなかトラックに轢かれない。

自分の意識はハッキリしてるし、腕の中にいる子供も自分の汗でギトギトになっているが、とくに外傷はない。

そこそこ時間が経ってるはずなのになぜ自分は生きているのか?そう思っていたら後ろからクラックションが聞こえてきた。あぁ、今から轢かれるのか。




……



「ププーーーーー」


再びクラックションが聞こえてくる。不思議に思いながらやっと後ろを振り返った。そこには先ほどのトラックとは違う普通の乗用車が目の前に止まっていた。トラックが消えた??まわりを見渡す。そうすると遠くの方に先ほどのトラックがいた。右折した方の道の遠くに。



どうやら自分の早とちりだったようだ。ふぅ、これで誰も不幸にならない。そう思っていると、急に近くの歩道から叫び声が聞こえた。そちらに振り向けばそこには、顔を真っ青にした綺麗な女性がいた。こちらを見ているが自分の知り合いでもないので、すぐに、この子のお母さんだとわかった。このお母さんも子供の危ない行動に顔が真っ青になったんだろう。そう思って子供をお母さんのもとへ連れていこうと立ち上がろうとしたその時、



「へ、へ、へ……変態!!!!私の子を返して!!誰か、誰か助けて下さい!!!!!」


「変態?…っ!?オイッ!お前110番だ!」


「はやく子供をはなせ!!!」




え??


油原は状況に付いていけずにいた。ふと腕の中の子供を見る。自分の汗でビショビショになり、自分の手は成長しかけの胸を掴んでいる。もう片方の手はスカートの中に入って、さっきまでは首にキスをするような体制になっていた。どこのラブコメ主人公だよ!と思いながら少女の顔を見ると、少女は小さく震えていて今にも倒れそうなほど顔が真っ青になっていた。




あ、まずい


だが、そこまで気づくのに少し遅かった。そこには既に警察が来ていた。警察に何を言われたかなんて覚えてない。ただ、油原は人と話すことが苦手で、さらにこんな状況になっているのだ、まともに喋れるわけがない。なされるがままに警察に連れていかれ事情聴取を行い、いつの間にか





準強制わいせつ容疑

懲役1年2ヶ月




ここから刑務所という名の異世界での油原の物語がはじまる!




……どうしてこうなった?








はじめまして

初投稿です。拙い文章ですが読んでいただきありがとうございます


頑張って書きますので、よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ