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手を握ったまま二人で見つめ合う。先に口を開いたのは、彼女のほうだった。
「あなた、誰ですか?」
目に涙をためながら問いかけてくる少女に私は飛びきりの笑顔で答えた。
「私の名前はちんまん。あなたは?」
少女は震えた声で答えた。
「コニ…ちゃん」
コニちゃんか。可愛いなあ。そう思った私は、コニちゃんを抱え、走り出した。
「わっ!?どこいくんですかぁ!?」
コニちゃんは完全に怯えてしまっている。安心させてあげないと。
「大丈夫よ!これからとってもいいところに行くの!だから安心して!」
ドカドカと音を立てて街を走る。行き先は私の滞在するホテルだ。
すぐについた。ロビーには知った顔ぶれがならんでいた。
「まんちゃん!遅いよ~!?何やってたの!」
「すみません!でも、とってもいい子、見つけたんです!」
そう言ってコニちゃんを見せる。コニちゃんは今にも泣きだしそうだ。私のほうを振り返ったコニちゃんは、
「あの、この人たち何なんですか?」
ああ、そういえば言ってなかったなあ。
「このおじさん達はね、今からコニちゃんを撮影してくれるの。怖がらなくていいんだよ!」
目を潤ませるコニちゃんをそっと、監督が抱き寄せる。
「コニちゃん、大丈夫だよ。優しくしてあげるからね」
監督の唇がゆっくりと歪んでいくのを私は見逃さなかった。