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抜けるような青空の下、私は彼女と出会った。
「親方ァ!空から女の子がァ!」
すぐ隣で叫ぶ声がした。18年間、生きてきたけれど空飛ぶ人を見たのは初めてだ。ドサッと大きな音を立てて彼女は着地した。救急隊の広げたマットにすっぽりと収まったまま出てこない彼女を野次馬たちはしげしげと観察していた。その様子が何だか我慢ならなくなった私は、
「テメェーら!コイツは見せ物じゃねーんだぞ!」
と声を荒げてしまった。それに驚いた野次馬たちが散っていく。私は、その隙間をくぐり抜けて彼女に少しずつ近づこうとした。マットから顔を出した彼女は可愛い人形のような顔だちだった。生唾をごくりと飲み込み、歩を進める。こちらに気づいた少女は顔をこわばらせてそのままうつ向いてしまった。すぐそばまで行くと救急隊員が割って入ってきた。
「キミ!部外者は立ち入り禁止だよ!」
強気な物言いに納得いかなかった私は思わず救急隊員を跳ねのけこう言った
「ぜハハハハハ!部外者だと!?笑わせんじゃねえ!」
救急隊の制止を振り切って少女へと手を差し伸べる。その手をそっと握り返す少女の手はとても柔らかかった。