荷解きホドキ
「さて。どうしよっかな?射太子さん学校行ったし」
今のはギャグじゃないから。素だから。取り敢えず落ち着こう。
「取り敢えず有言実行としておこうかな?」
玄関を離れて、お借りしている部屋へ行く。荷解きをしなきゃだからね。
元々持って来れるものも少なかったし、替えの服とかなんだけどね。
え?装備してた手榴弾とかは?って?あれはあくまでも服の一部だから大丈夫なんだって!
えっとー?あ、この木製のタンスを使えばいいんだったよね?未来には木1つにしても自然物は愚か、人工的に作られた木材ですら滅多にお目にかかれないから、やっぱりこういうの見るとワクワクしながら1段目を開けるのが恒例だ。
……手紙みたいな封筒がタンスに入ってる。
さて。あけていいのかな?……あ。裏側に大きく"開けろ"って書いてある。というわけで開けてみようと思う。
あれ。この字……?どっかでみたことあるような?
……ああー!私じゃん。これ何年か前に過去の世界に行った時にその時使ってたタンスの引き出しの裏に貼り付けておいた……。
「巡り巡って帰ってきたってことなの!?中身もまだ覚えてるし、開けないでおこう……。というか見覚えも何も私が使ってたんだから当たり前じゃん」
ハハハ。お客様用のタンスって言ってたのもそのせいかも……。私専用ってことなんだろうなーきっと。
「思い返せば、いつもこんなタンスだったような気がする。……?あれ?必然じゃない?」
よくよく思い出してみると、このタイムスナップって現象の原理。というか使用法というんだろうか?って、先祖や友人の先祖のような繋がりのある人間が先に存在しないと長期滞在が不可能なんだからオカシイ話じゃない!
「仕様書をしっかり読んでも、内容をすぐ思い出せてないというか理解しきってないってのはどうなのさ」
私は1人ぶつぶつとそう口走る。危うくバカが露呈してしまうところだった。
「とっ、こんなことしてる間に荷解きしてしまって、のんびりしてしまうことにしよう」
私の書いた手紙を隠し直し、服とか何やらを入れていく。1段目、2段目と順調だ。
3段目に差し掛かった頃、引き出しの重さに気づく。重い。聞いた話だと、掃除の時に外装を拭くだけで、後は客以外は一切触らないらしいのだけど……まさか。
「だよね……ですよね!もうなんか私予測出来てたというか、もう知ってたと言っても過言じゃない!」
そこには昔に来た時の荷物があった。全くもってサビもカビも虫食いもない。未来の防虫剤やら何やらと詰め込んでおいたからだと思う。
「これ、引っ越しとかの時もそのままに運んでくれたって感じだよね……?うわーご先祖様方々に申し訳ない気持ちでいっぱいだよ」
とは言えど、今の私の背丈では微妙に着れない服だとか、し、下着類とかもある……。
……ま、いっか。もう未来に帰る時についでに持って帰ろっ。
紆余曲折あって、荷解きが終わる頃には夕暮れ。何だかんだ着れそうな服も無くは無かったから、それを試着してみてたなんてお父さんに行ったら笑いながら着て見せてとか言って来そうだ。
「ただいまー!ミキさーん?大丈夫だったー?何も無かったー?」
どうやら射太子さんが帰って来たようだ。玄関から声が聞こえる。
「あ、はーい!大丈夫で……、大丈夫!今、降りていきま……いく!」
はぁ、敬語じゃないようにって慣れるにも時間かかるかも。




