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未来人

ふぅ。ご飯案外美味しかったなぁ。

ご先祖様考案のオリジナル料理。なんだったかなー?

たしか、炊きたてゴハンにホワイトソースを掛けて、抹茶と粉チーズを振りかけてオーブンで焼いたロザニア?みたいな感じの物と、甘辛ダレに漬けられた唐揚げと千切りキャベツだった。

未来の世界であんまりお肉手に入らないから、やっぱり歴史を見に来る時は絶対お肉食べたいんだよ!ありがとう!ご先祖様!

 それに予想外というか意外と言うか。私の家系って料理苦手な人ばっかりって聞いてたのにご先祖様料理上手いんだもん。私下手なのに……。何処で狂ったんだろ?

 ……そんなこと考えてないで、早くご先祖様に協力の交渉をしなきゃだよね!

「あの、射太子さん?結構大変なお話があってですね?あ、愛の告白とかじゃないですよ?」

「ん?話?何?もしかして部屋汚かった?もしそうだったらごめん」

 部屋は綺麗だったと伝えてから私は話を切り出すことにした。

「もし、私が未来人で時空間移動をして来たって言ったらどうします?」

 

 …………

 

 …………


 …………返事が無い。どうしよう!?やっぱり言わない方が良かったのかな!?いや、でも言わないと面倒なことになるし……。そりゃぁ行き成りでビックリするのは分かってたことだし……。

「……んじゃないかな」

「え?スイマセン考え事してたのでもう一度いいですか」

「もしミキさんが未来人で時空間移動?をして来た存在だとしても、別に怖くないよ。それに出会ったときに聞いた旅をしているってのも未来から時空旅行的なことをしているって解釈なら、嘘も吐かれていないわけだから信用に値できるしさ。ってことで未来に帰るまでの間、ここに住んでてもいいんじゃないかな?」

 もしもの話なのに、ご先祖様優しすぎる!と言うか順応しすぎていて逆に怖い気もする……。

 でも、この調子だったら本当の話だって言っても信じてもらえるよね?よし!

「さっきは”もし”って言いましたけど、本当に私未来人なんです。証拠もそこのカバンに入ってますので、今見せます!」

 そういった瞬間ご先祖様は一瞬驚いてはいたが、前置きが良かったのかすぐに普通の顔に戻り、私が取り出すものを気のせいかワクワクして待ってるようだ。

 とはいってもカバンの中身は全部未来のものだけど、何が一番良いと思う?いや、誰に聞いてるんだ私は。あーーもーー!適当で良いや!目瞑って……これ!―――ってぇ!?これはダメ!パンツはダメだって!ってかなんで手提げカバンの方に!?―――――カバンに入らなかったからこっちに入れたんだっけ。他の物他の物、あ。いいのがある!

「これ未来のものです」

「何これ?1円玉に見えるんだけど。でも製造された年号が書いてない」

「そこの1の形の窪みを押して下さい」

「え?これ窪みって呼んで良い深さ?……まぁ押してみるよぉぉぉっぉおおおお?え?なにこれ!?窪み押したら何か出てきたと言うか、そこに生成されたというか!?そしてひとりでに着地したけど!?」

 いや、ご先祖様驚きすぎですよ?あぁーでも、生まれた時から常識な知識だから私は怖かったりしないのかな?昔の人にとってはありえない技術だもんね。

「それは一種の人工知能搭載型ロボット、通称ジンチ君です。全長75cmで、機能は家事全般と記憶操作などが可能です。あ、家事全般なので料理も出来ます」

 って先輩に教わったよーな気がするんだけど。あってるよね?うん。

「ミキさん」

「何でしょう?」

 ご先祖様の様子が明らかにおかしいんだけれど、一体何があったのだろうか。心なしか青ざめてるし。

「そのロボットの性能説明をもう一度頼めるかな?」

 ご先祖様はジンチ君を震え気味みに指差す。

「それは一種の人工知能搭載型ロボット、通称ジンチ君です。全長75cmで、機能は家事全般と記憶操作などが可能です。あ、家事全般なので料理も出来ます」

「一言一句同じ言葉での説明ありがとう……」

 と言いながらご先祖様はその場に座り込む。何があったのか私には理解できない。確かこの時代にはドア1つで空間転移したり、加速装置やらのついたサイボーグが登場するアニメーションという物が在った筈。

 もしやご先祖様、現実に現われると驚くタイプなのでしょうか。

 なんて考えを巡らせていた時、ご先祖様から質問が投げられる。

「そ、その、さ。ジンチ君?はさ、記憶を操れちゃう……わけ?」

「ええ。まぁ。そうですね。脳波を操るので、サングラスをかけるなどの視覚的抵抗は意味ありません」

 あれ。ご先祖様の顔が段々さっきよりも青く……。

 これ、どう考えても怖いという感情抱かれてるよね。

 あ、そうだ。

「射太子さん!」

「ふぇ?な、なに!?」

 記憶操作云々の話で混乱しているのか、恐れられてしまったのか、はたまた大声に単に驚いただけなのか、ご先祖様は後ずさりしながら返事をする。

「あ、あのですね?針山家のDNA的なものはですね、この記憶操作通用しないんです。というのも設計者が針山家の人間らしく、直系の者には効かないそうなんです」

 私は、色んな身振り手振りを交えながらご先祖様に説明した、

 私が話し終える頃には、ご先祖様の顔色は出会った頃ほどではないにしろ良くなっていた――――筈だった。

「そ、そうなんだ。……?――――ちょっと待ってもらっていいかな?それ逆を言えば1人だけ記憶が残るって事じゃ……。なんかそっちの方が嫌なんだけど……」

 確かにその通りです。ご先祖様。

 そのせいで、一度過去の世界の他のご先祖様たちにご迷惑をかけてしまったこともあるんです!とは口が裂けても言えない。

 口外しないようにしてもらうため、既に迷惑はかける前提なんですけどね。

「と!ともかく!ご先祖様の記憶操作は出来ないので!はい!」

「え?あ、うん。うん?ご先祖様?ミキさん?今ご先祖様と仰いましたか?」

「え、ええ。言ってませんでしたっけ?もし言ってなかったとしても、未来人で針山という名と分かった時点でお気付きになられたかと思っていたのですが」

「ってことは、あれなの?もしかして今、自分の子孫と喋ってんの!?ご先祖様ってそういうことだよね!?」

 ご先祖様驚きすぎ。というか近いです!顔が近い!

 

 なんとかその場を治め、今回の時空間移動の目的を説明していくことにする。

「それでですね。今回この時代に来た理由はですね。私の部活の部長のご先祖である“高須ソラ”というかたの歴史を見に来たのです」

「へー。そうなんだ。ソラの家隣だよ?あ、でも、それぐらい調査済みだよね。」

 …………

 

 ……………………


「それぐらい知ってますよ!だからこそ私が部内で選ばれてここにいるのですから!……何ですかその「こいつ嘘ついてるな」みたいな目は」

「だって、明らかな間が有ったからさ」

 ご先祖さま、そこは黙っているところです。……ここに来た時まではうろ覚えはしてたんだから!

「それはそうとしてさ、ソラに会う?さっきの礼言いに行くからそのついでに」

 そんな早くにターゲットに接触なんて久振りに記録更新だよ!……ターゲットやら記録更新やらない言ってるんだか。

 あ、さっきのお礼って、さっきの花火、ソラさんのしたことだったのね。

「えーっと、早めに会うことに関しては、嬉しいのですけど、いずれ会うことになりますし、そこまで待ってもらっても」

 ――――――単に自己紹介数回するのが面倒なだけなんだけど。

「そう?だったら事情やらなんやら言わない方がいいのかな」

「出来れば、今はすべて秘匿でお願いします。余計なことを言ったら――――――分かりますよね?」

 と言いながら、撃ったことの無い拳銃をとっさに鞄から出し、ご先祖様の首元に突き立てる。

「あ、うん。わ、わかったから!とりあえずその物騒なものおろそうか。ミリオタなのは分かったから、おろして」

 そう言われて、私は咄嗟に銃を降ろす。尋問と脅迫の基本なんてやっぱり身に付けるべきではないと思う。未来では必要なものだけど。

 それにご先祖様、これはオタクとか関係なく、本物ですよとは言えない。この時代で撃つことはまずありえないのですが。

「では言ってらっしゃいませ。荷解きと武装のメンテ―――もとい隠しておきますので。お留守の間の家の警護はお任せください」

「――――武装とかは知らないけど、警護とか別に何にも狙われてないから。その流れで敬語で話すのも辞めない?いつの間にか俺も敬語じゃなかったんだしさ」

「流れはよく分かりませんが、そうさせていただきま―――――そうする」

 これでいいのだろうか。まぁ、でも。ご先祖様だって言っても、現在は私と同じ歳なんだしね。

 呼び方は流石に“さん”付けの方がいいよね?うん。

 って、考えてるうちにご先祖様出てっちゃった。

 帰ってくるまで、お借りする部屋のベッドで寝転ぼう。

「っと、寝転ぶ前にっと」

 そう言いながら私は荷物の中から1つヘッドセットを取り出し、呟く。

「コードM、ハンドルH・M。クリエイト」

 “コードM―――――メモ帳”

 “ハンドルH・M―――――針山ミキ”

 “クリエイト―――――作成”

 こんな面倒くさい言葉を言語入力しないといけないのは未だに面倒だ。セキュリティー上必要なので言ってられないが。

「これなら昔のパソコンの方が便利だよ」

 とはいっても、このコンパクトさを兼ね備えたパソコン(この時代で言うところの)はすごい。

 パスロックは発声が必須だが、ヘッドセットから流れる音波が脳に届き、その反射やら何やらのおかげで、脳内記憶などから文章の構築・映像としての復元(改竄も可)等、多彩に行えることが多い。

 他者不可視の画面も目の前に表示させることが出来るから、誤入力や、残しておきたくないものも編集できる。勿論それも音波が脳波を捕らえる事で理解する。

 再びそれを確認するのには、特殊端末が必要になるけど、はっきり言ってどんな機械でもディスプレイがあればリンク可能だ。

 その度にセキュリティーコード言わないといけないけどね。

「うわ。さっきのこれは無し!あぁ、これも削除!着替えは絶対削除!」

 何だか初日から散々だったような気がする。

 道に迷うし、ご先祖様に運良く会えたと思ったらご先祖様も迷子。

 服は着替えてくるの忘れるし、武装は完全着用だったし……。

 明日から大丈夫かな?上手くやっていけるかな。

 と言ってる間に私の意識は夢の中へ沈んでいった。

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