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黒髪の王子様2

12月20日、三度めの投稿です

ご注意くださいませ



初めて訪れた都は、フラッケンボルンや、ましてオルトワックなどとは規模が違っていた。



壮大にして賑やか。

都の活気づいた様子に圧倒されていると、隣にいたお父様が慈しむような表情で私の頭をそっと撫でてくれた。



暗に怖じ気づいてしまった私を勇気づけてくれるその行動に、ほっと心が暖まる。



深呼吸をしてお父様に笑顔を向けると、お父様はにこりと笑い返してくれた。



……なんて素敵な笑み。

自分の父親ということも忘れ、思わず惚れてしまいそうな良い男ぶりだ。



そんな私とは対象的に、ギルバートは落ち着いていて、なれた様子だった。




なんでも聞くと、以前まで従騎士学校卒業後の空白の時間に王都で日雇いの仕事などをしていたらしい。



なるほど道理で慣れたものというわけだ。



ギルバートの静かな横顔を見ながら、私はひとり納得した。



今日もギルのふわふわの癖っ毛は健在である。



「これからお父様は陛下にお会いして来るから。

お前たちはこの部屋で待っていなさい」



しかし、さすがのギルも、城へ入った時は、ピリッとした緊張を顔に出した。



最近気付いたのだが、ギルバートが口をぎゅっと結ぶ時は、緊張していることが多い。

今も彼の唇は固く閉ざされていた。



「はい、お父様」

「行ってらっしゃいませ」



ぺこりとお辞儀をしたギルバートに微笑むとお父様は案内された客室を出ていった。



部屋を見回すと、どこもかしこも綺麗な調度品ばかりが置いてある。



そしてふと壁の絵画が目についた。



「まあギル、見て」

「……はい?」



ギルバートの腕を引っ張り、絵画に近よる。



「お…お嬢様…っ」



ちょっと顔を赤くしたギルに、はてな?と思いながらも、まあ良いかとすぐに納得し、ぐいぐいと彼を壁際まで引っ張った。


「これは陛下だわ」

「陛下……ですか?」



金髪に青い目。

まさに王公貴族の象徴と言うべき、ありふれた容姿だ。



初めてお父様やお母様を見たとき、金髪や青い瞳に感激をしたものだが、実は貴族にはありふれた容姿だと言うことが最近になって分かった。



金はもちろん、高貴さの象徴だし、青い瞳は幸せの現れだと言われている。



そのため、貴族ではその色を持った者と進んで結婚する傾向があり、貴族内では極めてありがちな色なのだ。



私も両親譲りの金髪碧眼である。

しかもそのどちらもが、色が濃いため、髪と瞳に関しては自分では誰よりも美しいと自負している。



顔は自分では判断しづらいので、どうなのかはよくわからないが、決して不細工ではないはずだった。



「きっと王子様も、金髪に青い目をしてらっしゃるのね」



少し冷たそうな印象を与える陛下の絵姿に、なんとなく不安を感じながらもそう言った。



王子様は優しければいいな……。



陛下を見る限り、おそらく王子様も随分美しい人だろうということは伺える。



どんな方なんだろう。



胸をどきどきさせて絵画を見つめていると、部屋のドアがノックされた。





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