流転2
「篠宮パン買いに行こうぜ」
午前中の授業が終わりいつものごとく羽山が声をかけてくる。
俺は弁当を持ってこない生徒だ。高校に入る直前に姉が死んだため、母が弁当を作るなんてとてもできるような状態ではなかった。今でこそ家事ができるまでに回復し、弁当を作ろうかと言ってくれたこともあるが、母の負担を考え、朝と晩母さんに作ってもらってるんだから弁当まで作らなくていいとのことを言ったことがある。よって、俺の昼飯は購買でパンを調達しないといけないわけで、俺と同じ境遇の羽山が声をかけてきたわけなのだ。
羽山弘一、親父が医者で裕福な家の息子だ。それなのに昼飯は購買でパンである。というか、この学校は超進学校である。私立のため基本的に裕福な家庭の子供が通っている。中にはもちろん奨学金をもらったり、特待生として学費を免除して通ってい普通の家庭の生徒もいるが基本的には裕福な家庭だ。
だが、生徒の約半数以上が昼食を購買のパンで過ごしている。裕福な家庭だと弁当というものをあまり作らないのか、学校の校風なのかわからないが、とりあえずこのような状況なのだ。
ちなみに、奨学金は成績優秀者が貰える、羽山は医者志望のため成績はトップクラスで奨学金の話も先生の方からあった。だが羽山の親父が「医者の家庭で奨学金を貰うとか恥もいいところだ」と言い断ったそうだ。ちなみに俺も奨学金の話はあったが断った。うちも裕福な家庭というものに含まれていたので、学費程度のお金には困っていなかった。それよりも奨学金を普通の家庭の子に与えてくれと父さんが断ったしだいだ。もちろん、貰える物は貰うということで奨学金を貰う裕福な家庭の子供もいるが、奨学金はだいだい毎年普通所得の家庭の子供に振り分けられるらしい。
特待生については何かしらの技能のある生徒が貰える。進学校なのでスポーツは活発ではないため文科系の部活の優秀者や帰国子女、学業以外での特殊技能持ち、簡単に言えば、国家認定の資格やプログラム資格などで年齢制限が無く取れる資格保持者がこれにあたる。
「さて、今日は何のパンを買いましょうかね」
俺は椅子から立ち上がりながら答える。
「新商品とかあるといいんだけど、あっても今日の今日じゃ買えないしなぁ。いつものごとく、目に付いたパンを適当に買うだけだな」
そうなるんだろうなぁと俺は返事をし、とりあえず購買のある渡り廊下に向かう。
俺は今のやり取りで、俺も羽山もつくづくO型なんだなぁと思う。実際二人ともO型なのだ。A型ならきっと何を買うか決めているだろう。B型ならそもそもそんな発想をしない。何を買うかを考えるより先に購買についている。AB型は特殊すぎて割愛だが、、、。
学校の校舎は2棟あり東側の校舎の1階に1年、2階に2年、3階が特殊教室になり 西側の校舎の1階が職員室や校長室、事務、保健室などの教員施設、2階が3年、3階が特殊教室になる。一つの学年には6つのクラスがあり1学年は約210名の生徒数で、渡り廊下の接続部より北側に2クラス、南側に4クラスある。渡り廊下の接続部分に階段、その隣にトイレがある。測ったことはないが、一つのクラスの長さが15mくらいあると思うので校舎の端から端までは100mくらいだろうか、渡り廊下は東側と西側の校舎を繋ぐ廊下であり2階に作られている。購買店はその渡り廊下にあるのだ。上空からみるとちょうど【H】のような形になる。
俺たちの教室は2-Bで、北側から順にA、B,C、D、E、Fとクラスが割り振られている。渡り廊下からは近いので便利である。
不満を挙げるとすれば一つ
それは、教室の隣がトイレということだろう。