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戦士コウタの物語
第六章:王女の慟哭と聖戦士の誓い
1. 王女の語る絶望
コウタはゴブリン・ジェネラルを瞬殺した後、傷つき座り込んでいるハルボウに近づいた。
ゴブリン助は、怯えながらもハルボウの足元に丸くなっている。
「デュフフ。王女殿(仮)よ。まずは自己紹介でござる。拙者は聖戦士コウタ。貴殿を助けに、この世界へと召喚されたでござるよ!」
ハルボウは震える声で答えた。
「聖戦士……?お前が……?アタイはハルボウ……ハルジオン王国の……最後の王女だ……」
ハルボウは、廃墟と化した王都を見回しながら、力なく語り始めた。
彼女の瞳には、かつて栄華を誇った故郷の、そして愛する人々の最期の光景が映し出されているかのようだった。
「あの時……魔王軍が襲ってきて……みんな……みんな、アタイを庇って死んだんだ……!父も、母も、騎士たちも……!アタイは、何もできなくて……ただ逃げることしか……悔しい!悔しいけど、アタイには何もできなかったんだ……!」
ハルボウは小さな拳を握りしめ、地面を叩いた。
その悔しさと無力感が、コウタの鑑定チートを通じて、ひしひしと伝わってくる。
「フム。『絶望と無力感の経験値』は、最高の成長の糧でござるよ。王女殿(仮)。」
コウタは淡々と言い放つと、ハルボウの絶望を打ち砕くかのように、核心を突いた。
「よろしいでござる。では、その『仇』を討つため、敵のボスの場所を教えてもらうでござるよ!」
2. 復讐と新たな神器
ハルボウは、コウタの言葉に顔色を変えた。
「やめとけ!あいつには誰も勝てない!魔王軍の『四天王』の一人、『破壊のバルザーク』だ!王国の精鋭騎士団も、一瞬で全滅したんだ!お前も死ぬだけだ!」
ハルボウは、コウタの無謀な提案に悲鳴に近い声を上げる。
彼女の心には、バルザークの絶対的な力が、恐怖として深く刻み込まれていた。
「あいつは……あいつだけは、アタイの仇だ!い、いつか絶対に……この手で殺す!」
その時、コウタはハルボウの身につけている、少しブカブカのチェックのシャツに目を留めた。
それは、おそらく亡くなった家族の形見なのだろう。
コウタのビン底メガネが、そのシャツに反応し、激しく輝いていた。
「『鑑定』!」
名称:チェックのシャツ(ブカブカ)
価値:不明
状態:古びている。持ち主の魔力が染み込んでいる。
能力:読み取り不能。属性が複雑すぎます。【異界の神器】の反応あり。
「デュフフフフ!これだ!まさか、王女殿(仮)が『神器』を身につけていたとは!」
コウタはハルボウに向かって、真剣な眼差しで告げた。
「王女殿(仮)。拙者に、そのブカブカのチェックのシャツと、拙者のスウェットを交換してほしいでござる。拙者に『聖戦士の力』を貸し与える『神器』でござるよ。」
ハルボウは、コウタの突拍子もない要求に驚き、困惑した。
自分の形見を、この汚い男に渡すことなど、考えられなかった。
「な、何を言ってるんだ!これは、アタイの大事な……!」
「フム。よろしいでござる。ならば、こう言わせていただこうぞ。」
コウタは、異臭を放つ竹刀を地面に突き立て、ハルボウに向かって、この旅で最も真剣な声で告げた。
その表情は、普段の中二病全開のオタクとは一線を画していた。
「拙者に任せろ。貴殿の仇、『破壊のバルザーク』は、拙者が必ず討ち取る。そして、このハルジオン王国を、貴殿の手に取り戻して見せるでござるよ!ともに仇を討とうぞ!」
3. 王女の希望と聖戦士の進軍
コウタの言葉は、ハルボウの凍り付いた心を溶かした。
彼がどちゃくそイケメンに見えているハルボウにとって、その言葉は、まるで神からの啓示のように響いた。
「(涙を流しながら)……!ウソでもいい……ウソでもいいから……嬉しいよ……!」
ハルボウは、亡き両親の形見であるチェックのシャツを脱ぎ、コウタに差し出した。
その表情には、絶望の中にも、かすかな希望の光が宿っていた。
「……これ、着て。アタイの『お守り』だと思って……!」
コウタは汚れたスウェットを脱ぎ捨てた(その際、ハルボウは「キャーッ!」と目を逸らしたが、コウタは気にしない)。
ブカブカのチェックのシャツを身につける。
神器が体に触れた瞬間、コウタの体から熱い魔力が湧き上がり、身体能力が一段階向上したことを実感する。
「デュフフフフ!これで、拙者の『防御チート』と『対魔力補正』が発動したでござる!魔王軍四天王ごとき、拙者の敵ではないでござるよ!」
コウタは、ビン底メガネ、チェックのシャツ、異臭を放つ竹刀という、完璧な『聖戦士の初期装備』を身につけ、王城の方向へ歩き出した。
「さあ、王女殿(仮)よ。『破壊のバルザーク』は、王城にいるでござるな。早くしないと、置いていくでござるぞ!」
コウタの背中は、もはや単なる汚いデブのオタクではなかった。
ハルボウの目には、その背中に聖なる光輪が輝き、王城を奪還する英雄の姿として映っていた。
ハルボウは涙を拭い、ゴブリン助を抱き上げ、コウタの大きな背中を追いかけるように走り出した。
こうして、スウェットの聖戦士コウタは、ハルジオン王国の最後の王女ハルボウと共に、堕ちた王城の奪還という、あまりにも無謀な戦いへと足を踏み入れたのだった。
聖戦士コウタの物語
第七章:強靱無敵!チェックの聖戦士
1. 蹂躙される王都
ハルボウは、ビン底メガネとチェックのシャツを身につけたコウタのどちゃくそイケメンな真の姿に希望を見出し、ゴブリン助と共に王城へと向かった。
コウタの周囲には、残党の魔物がうろついていた。
「デュフフフフ!王女殿(仮)、見てござるよ!チェックのシャツの『防御チート』が発動した今、雑魚敵など、『無』でござる!」
早速、三体の巨大なオークが、コウタ一行を囲むように出現した。
オークたちは野太い棍棒を振り上げ、コウタに襲いかかる!
オークAが吠える。
「グルァアア!汚ねえ人間め!四天王様への手土産にしてやる!」
コウタは鼻で笑う。
「フンッ!『対魔力補正』のチートが乗った拙者の防御は、物理も魔法も無効でござるよ!イタチの最後っ屁にもならぬでござる!」
オークAが放った渾身の一撃が、チェックのシャツを着たコウタの太鼓腹に命中した。
しかし、コウタの体はピクリとも動かない。
代わりに、オークの棍棒の方がヒビ割れて砕け散った。
オークBが驚きの声を上げる。
「バ、バカな!?なぜ効かない!?」
ハルボウは目を輝かせる。
「すごい!コウタしゃま、強靱無敵だよ!」
ゴブリン助も鳴く。
「クギャ!(強い!)」
コウタは得意げに言う。
「デュフフ!チェックのシャツは、拙者の体を最高の『防御壁』に変える神器でござる!拙者のターンでござるよ!」
コウタは、異臭を放つ竹刀を低く構え、瞬時にオークたちの懐に飛び込んだ。
彼のスピードは、神器なしの状態の倍以上になっていた。
まさに強靱無敵の快進撃だ!
「奥義!『スウェット・バンダム・ラッシュ!』」
コウタは竹刀を剣としてではなく、硬い棒として扱い、オークたちの急所を的確に連打した。
その攻撃一つ一つが、核爆弾級の威力を持っていた。
オークたちは、呻き声すら上げる間もなく、全身の骨を粉砕され、地面に崩れ落ちていった。
2. 王城への最短ルート
コウタは立ち止まらず、王城への道を突き進んだ。
彼のビン底メガネは、王都の地図をオーバーレイ表示しており、『最短ルート』と『危険エリア』を常に教えてくれる。
「デュフフ!この鑑定チートのおかげで、もはや迷宮も、敵の罠も意味をなさぬでござる!まさに『最強攻略サイト』を閲覧しながらプレイしている感覚でござるよ!」
王城の門前には、百体を超える魔王軍の正規兵が待ち構えていた。
普通の勇者であれば、ここで一度態勢を整えなければならない。
「フム。大量のモブ敵でござるな。経験値は美味しいでござるが、時間が惜しいでござる。」
コウタはハルボウとゴブリン助を背後に隠すと、時速100キロを超えるスピードで、兵士たちの列に突っ込んだ。
「奥義!『チェック柄・特攻ドリル・アタック!』」
彼は竹刀を剣として振るうのではなく、まるでドリルのように体に巻きつけ、無敵の体当たりを敢行した。
強靱なチェックのシャツの防御力は、スケルトン兵たちの装甲をまるで紙屑のように引き裂き、コウタが通過した場所には、スケルトンの破片だけが残された。
ハルボウが叫ぶ。
「な、なんてバカな戦い方だ!でも、最強だ!まさに無敵だよ、コウタしゃま!」
ハルボウの目には、コウタの体が光のドリルとなって、敵陣を一瞬で貫通する様が映っていた。
数秒後、王城の門前の兵士は文字通り全滅していた。
3. 四天王バルザークの城
コウタは、スウェットとチェックシャツという姿で、破壊の限りを尽くした後、王城の内部へと足を踏み入れた。
王城の広間には、四天王「破壊のバルザーク」が、王座に座って待ち構えていた。
バルザークは、巨大な体躯と、全身に刻まれた禍々しい傷を持つ、見るからに強大な悪魔だった。
バルザークが低い声で言う。
「ふん。騒々しいな。誰だ、このハルジオンの地に土足で踏み入る愚か者は……」
バルザークは、コウタの姿を見た瞬間、言葉を失った。
そこに立っていたのは、汚れたビン底メガネとチェックのシャツを着た、ただのデブだったからだ。
「貴様…!まさか、お前が、我の兵団を一人で潰したというのか!見っともない格好で!」
コウタは大笑いする。
「デュフフフフ!貴殿が『破壊のバルザーク』でござるか!拙者の『鑑定チート』と『防御チート』で、貴殿の能力は全て丸裸でござるよ!」
「王女殿(仮)の仇、そして、拙者の『最高の経験値』でござるな!強靱無敵最強の聖戦士コウタが、貴殿をデリートしてやるでござるよ!」
コウタは、異臭を放つ竹刀を構え、魔王軍四天王を相手に、無謀で、滑稽で、しかし絶対的な強さを秘めた最終決戦に挑もうとしていた。




