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# 聖戦士コウタの物語


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## **第六十四話:崩壊する勝利と、魔王の真の姿**


### **1. 勝利の安堵と、残された微光**


魔王のコアを破壊し、その肉体が光の粒子となって崩壊したことを確認した聖戦連合は、激しい疲弊と安堵に包まれた。ユリナ、フィオナ、ハルボウは結界を解除し、その場に崩れ落ちた。


クロードは、コウタが消滅した場所を見つめ、静かに弔いの言葉を捧げた。


「コウタ殿。貴殿の美学は、確かに魔王を打ち破った。我々は、貴殿の犠牲を無駄にはしない……」


勝利の喜びに浸る仲間たち。しかし、賢者オズワルドだけは、その場に漂う魔力の残滓に違和感を覚えていた。


「待ってください! 魔王の魔力反応が、完全にゼロになっていません! これは……」


その瞬間、玉座の間に満ちていた光の粒子が、全て引き戻されるように、魔王が消滅した場所に集まり始めた。


### **2. 魔王、第二形態への覚醒**


光の粒子は、より禍々しく、巨大な塊へと凝縮していく。その塊から放たれる魔力は、先ほどまでの魔王の絶対的な破壊とは性質が異なる、世界の法則そのものを否定するような、根源的な闇の力だった。


ハルボウの絶対防御が本能的に危険を察知し、再び光を放ち始めた。


「これは……! 制御不能な法則の崩壊の魔力! 魔王は、本体を破壊されることを想定していた! あれが、魔王の真の姿です!」


光と闇が渦巻く中、魔王の第二形態が姿を現した。


それは特定の形を持たず、純粋な闇のエネルギーが、世界の法則を歪めながら凝縮された、巨大な不定形の存在だった。


### **3. 絶望的な力の格差**


魔王の第二形態が降臨した瞬間、玉座の間の空間そのものが歪み、オズワルドの究極解析が完全に機能不全に陥った。


「解析不能! 奴は、もはや力ではありません! 存在そのものが、この世界の理を否定しています! 我々の全ての攻撃が、無効化されます!」


魔王の第二形態は、静かに、空間の振動だけで、聖戦連合に語りかけた。


「貴様らの些細な抵抗は、これで終わりだ。第一形態は、貴様らが力で打倒できるという物語を演じるためのもの。だが、第二形態である私は、貴様らの理を全て破壊する」


ユリナの光の精霊術、ハルボウの絶対防御、フィオナの慈愛の最終防御——コウタの美学を継承した全ての力が、魔王の法則の否定の前では、一瞬で霧散してしまった。


「バカな……! 全ての力が、通じない……!」


魔王は、無力化された聖戦連合を見下ろし、法則の否定の力で、玉座の間全体を押し潰そうと、ゆっくりと闇を広げ始めた。


聖戦連合の勝利の物語は、一瞬にして絶望の淵へと突き落とされた。



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## **第六十五話:異空間からの帰還と、特異点の再起動**


### **1. 異空間の目覚めと謎の美女**


凄まじい破壊魔力の直撃で塵と化し、真っ暗な闇の中で絶望に苛まれていたコウタの意識は、柔らかな光と必死な声に導かれた。


傍らには、夜空のような黒髪と星々のような瞳を持つ一人の美女が跪いていた。彼女の身に纏うローブは、この世界のものとは異なり、純粋な法則そのもののような光沢を帯びていた。


「……ここは? そなたは……? それがしは負けたのか? ゴブリン助を、仲間を、守れなかったでござるか……」


「いいえ! まだ! まだ負けてない! 貴方の魂は魔王の破壊によって肉体を失いましたが、この世界を超えた領域に、私が辛うじて引き止めました!」


### **2. 神器の残滓と法則の外からの警告**


謎の美女は、焦るような声で玉座の間の窮状を伝えた。


「コウタ様、時間がありません! 魔王は世界法則の否定者として第二形態に覚醒しました! あなたが全てを捨てた無力な人間として肉体を失った今、世界を救えるのは、この法則の外にいるあなただけです!」


「そなたは一体……? 拙者は、チートも、仲間も失った無能なオタクでござるよ! 拙者の汚い美学は、最悪の敗北で終わったでござる……」


「いいえ! 貴方の汚い美学こそが、この世界を救う唯一の法則です! 私は、貴方が元の世界から連れてきたルールの具現化……あなたが最後に手放した、全ての神器の力の残滓です! 魔王が法則を否定するなら、貴方は法則を上書きする存在となれる!」


### **3. オタク・チートの最終定義と帰還**


コウタは、自らの信念を再定義した。


彼の美学は「チート」ではなく、物語を最高の結末に導くという意志だった。


「デュフフフフフ! 拙者の汚い美学は、力ではなく、物語を最高の結末に導くという意志でござる! 最悪の敗北を、最高の物語のクライマックスへと書き換える! これこそが、拙者の汚い美学の真髄でござるよ!」


「貴方の意志が、肉体を再構築します! 行ってください、コウタ様! 無力なオタクとして、絶対の法則を打ち破ってください!」


光の中から、汚いTシャツ姿のコウタの肉体が再構築され、玉座の間に降臨した。


「デュフフフフフ! ラスボスたる魔王殿が、主人公のデリートフラグで満足するとは、物語の理解が甘いでござるよ!」



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## **第六十六話:オタク・チートの最終解放と、美学の昇華**


### **1. オタク・チートの使用開始と口調の変容**


コウタは、「デュフフ」や「〜でござる」といったオタク口調そのものをエネルギー源として、「オタク・チート」を発動させた。


これは、彼自身の人格を削りながら放つ、究極の自己犠牲技だった。


「無駄だ! その無価値な妄執は、我が力の糧となる!」


「で、ござるか! 拙者の、拙者の美学は……終わらん!」


使われるたびに、「〜でござる」が薄れ、最後には、中二病の仮面が剥がれ、剥き出しの意志だけが残る。


「見ろよ、魔王! お前が法則で世界を破壊するなら、俺は物語で、それを打ち消す!」


彼は、盲目の瞳で仲間たちに最後の指示を叫んだ。


「ハルボウ! ユリナ! 俺が時間を稼ぐ! お前たちの力を信じろ! 魔王の玉座に、まだ修復可能なコアの残骸がある! そこを狙え! それが、最後の希望だ!」


### **2. 純粋な絶望と無垢なる希望の再誕**


魔王は、コウタの特異点の力に苛立ち、玉座の間全体に純粋な絶望の波動を放出した。


その波動は、ゴブリン助が塵と化した瞬間の記憶を、仲間たちの心に焼き付けた。


「貴様らの希望は、既にデリートされた! 貴様の美学を支えた無垢なる忠誠は、私の力で塵となったのだ!」


しかし——


その絶望の波動が、ゴブリン助が消滅した空間の歪みに触れた瞬間、神器の破片と無垢な忠誠心が共鳴し、新たな光が生まれ始めた。


### **3. ゴブリン助の真の姿:ノアと聖戦士の昇華**


光は形を成し、透き通る白銀の肌と純粋な光の瞳を持つ存在へと変貌した。


絶望の極致から生まれた希望の具現化——それが、ノア(ゴブリン助の真の姿)だった。


ノアの手には、コウタの神器の記憶が統合された無垢なる聖剣が握られており、その存在だけで魔王の絶望波動を浄化した。


コウタは、その姿を見て、満足の笑みを浮かべた。


彼の肉体は、限界を超えて、静かに光の粒子へと崩れ始めた。


「……ゴブリン助。……いや、俺の最初の仲間。最高の展開だ……」


「行くんだ! ——俺の美学を、完成させてくれ!」


**第六十六話 完**


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