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# 第五十四話:忠誠の回収と、魔王城への進軍


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## **1. 聖都の再編と進軍準備**


聖都アウローラは、ガラマードとの激戦の傷跡が残るものの、コウタの勝利とフィオナの治癒により、急速に活気を取り戻していた。


クロードは、賢者オズワルドと剣聖ゼノスを呼び寄せ、最終決戦の作戦を練っていた。


オズワルドは、コウタが失った『超・鑑定チート』の穴を埋めるべく情報分析に没頭し、ゼノスはコウタの『身体チート』の代役として、最前線での戦闘配置を練っていた。


コウタは、フィオナによって回復されたものの、依然として神器を一切持たない、汚いTシャツと損傷したGパン姿だった。


彼は、ハルボウ、ユリナ、そしてアシュレイから受け取った魔王城の最新情報を、頭の中で組み立てていた。


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## **2. 最後の破片、忠誠の回収**


聖戦連合の主要メンバーが、作戦会議を終えてコウタを取り囲み、転移ポータルで魔王城へ向かう直前のことだった。


聖都の広場、ガラマード戦の瓦礫の隅で、ゴブリン助が一人、黙々と作業を続けていた。


彼は、コウタが意識を失っている間に、既に竹刀の破片を回収していた。

そして今回は、さらに細かい神器の残骸を探していた。


彼は小指の先ほどの大きさのビン底メガネのレンズの破片を慎重に探し出し、引き裂かれたバンダナの切れ端を地面から拾い上げた。


彼の麻袋の中には、もはや魔力を持たない神器の残骸が、「主人の栄光の記憶」として大切に収められていた。


クロードは、そのゴブリンがしている行為に気づき、静かにフィオナに尋ねた。


クロード「あのゴブリンは……何を拾っているのだ?」


フィオナ「あれは、コウタ殿が戦闘中に失った、大切な『装備』の残骸です」


彼女は、優しく微笑んだ。


フィオナ「コウタ殿の『汚い美学』は、彼らの『純粋な忠誠』によって、最も強く支えられているのですね」


ゴブリン助は、最後に、コウタがハルボウに投げ渡す際に脱ぎ捨てたチェックのシャツの汚れた襟の小さな切れ端を発見した。


シャツ自体はハルボウが大切に持っているが、戦闘の余波で飛び散った「主人の美学の証」の小さな断片だった。


彼はそれを麻袋の奥にしまい、満足そうにコウタの元へと駆け寄った。


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## **3. 魔王城への進軍号令**


ゴブリン助がコウタの足元に静かに座り込むと、コウタは盲目の瞳で、その存在を感知した。


コウタ「……デュフフフ。ゴブリン助。準備は整ったでござるか」


ゴブリン助は、静かに頷いた。


コウタは、聖戦連合全員を見渡し、最後の号令をかけた。


コウタ「よろしい。拙者の『汚い美学』は、『全てのチートを失った、裸一貫での魔王討伐』で、完結でござるよ!」


彼の声が、戦場に響く。


コウタ「拙者が全ての『神器チート』を失ったからこそ、『聖戦連合』の真の力が試されるでござる!」


クロード「必ず、貴殿を魔王城の玉座まで導きます」


彼は、聖剣を握りしめた。


クロード「我々の『正義』が、貴殿の『美学』を勝利に導きましょう!」


こうして、神器を全て失い、残されたのは仲間たちの揺るぎない忠誠心だけとなった聖戦士コウタは、ハルボウ、ユリナ、ゴブリン助、そして聖戦連合の全てを背負い、魔王城へと繋がる最終転移ポータルの中へと、足を踏み入れたのだった。


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# 第五十五話:魔王城への到着と、最初の試練


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## **1. 魔王城、最終決戦の地**


コウタ一行と聖戦連合の主要メンバーを乗せた転移ポータルは、激しい光を放った後、魔王城の広大な城下町に隣接する荒野へと彼らを吐き出した。


魔王城は、巨大な山脈をくり抜いて造られており、闇の魔力を凝縮したような威圧感を放っている。


城全体が、四天王の魔力に守られていた時とは異なる、純粋な「魔王の力」によって覆われていた。


コウタは、メガネを失ったためぼやける視界の中、周囲の重圧を感じ取った。


コウタ「デュフフ。ここが『ラスボス』の居城でござるか」


彼の口角が、僅かに上がる。


コウタ「さすがの威圧感でござるよ! 拙者の『汚い美学』の最終章を飾るにふさわしい舞台でござる!」


クロードは聖剣を抜き、聖戦連合の兵士たちに指示を出す。


クロード「全員、陣形を組め! ここからは、『汚い聖戦士』殿が失った『神器』の役割を、我々が代行する!」


彼は、賢者オズワルドを見た。


クロード「オズワルド、情報解析!」


賢者オズワルドは、コウタの『超・鑑定チート』の代役として、魔王城の構造図を広げ、魔力解析を開始した。


オズワルド「魔王城の外部は、防御壁と感知結界で覆われています!」


彼は、構造図の一点を指差した。


オズワルド「しかし、四天王がデリートされた影響で、結界の密度が薄くなっている地点があります! 突破口は、城の西門です!」


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## **2. 最初の試練、魔王軍団の波状攻撃**


聖戦連合が西門に向けて進軍を開始した途端、大地が震えた。


魔王城の防御壁から無数の魔族の軍団が溢れ出してくる。


それは、四天王の指揮を失ったにもかかわらず、本能的な「残虐性」だけで動く、質の高い精鋭部隊だった。


ユリナは、鎖の魔力が消滅し、心身ともに回復した状態で、冷静に魔力障壁を展開した。


ユリナ「ご主人様! 賢者殿の情報は正確ですが、この波状攻撃は、『身体チート』を失った貴方と、『絶対防御』を失った聖戦連合にとっては、致命的です!」


彼女の瞳が、決意の光を宿す。


ユリナ「私が、障壁で時間を稼ぎます!」


しかし、魔族の数は圧倒的だった。


コウタは、前線で奮闘するクロードと、精鋭部隊を指揮する剣聖ゼノスに目を向けた。


コウタ「デュフフフフ! 見事でござるよ、ユリナ殿!」


彼は、前線へと歩を進めた。


コウタ「だが、拙者は『脇役』にばかり頼る『無能な主人公』ではいられないでござるよ!」


コウタは、神器を全て失い、残されたのは異世界のオタクの身体と精神力だけという状態で、クロードとゼノスの間に飛び込んだ。


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## **3. 『裸一貫』と『武人のプライド』の連携**


コウタは、Gパンの規格外身体チートが機能停止したにも関わらず、その身一つで魔族の精鋭部隊の攻撃を捌き始めた。


それは、チートによって得た身体の記憶、そして『汚い美学』という精神力で、一瞬の反射神経を無理矢理呼び起こしている状態だった。


ゼノスは、コウタの『裸一貫の格闘術』を目の当たりにし、武人としてのプライドを刺激された。


ゼノス「コウタ殿……! 貴様の『身体チート』は失われたはず!」


彼の目が、驚愕に満ちる。


ゼノス「なぜ、その動きが……!」


コウタ「フンッ! 『身体チート』が消えても、『ロールプレイの美学』は消えぬでござるよ!」


彼は、魔族の攻撃を間一髪でかわした。


コウタ「拙者の『最高の技』を、貴殿の『純粋な武力』で補完するでござる!」


コウタは、自らの『汚い美学』と『命』を盾にして、魔族の攻撃を一瞬だけ引き付け、その攻撃の隙を、正確にゼノスへと伝えた。


ゼノスは、コウタが命をかけて作り出したその一瞬の隙を見逃さなかった。


ゼノス「受け取った! コウタ殿!」


ゼノスは、コウタの失われた身体チートの代役として、剣聖の全魔力を込めた一撃を放ち、魔族の精鋭部隊を瞬時に切り裂いた。


コウタとゼノスの、「失われたチート」と「武人のプライド」による連携が、魔王軍の波状攻撃を一時的に押し返した。


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# 第五十六話:魔王城の構造と、最後の神器の役割


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## **1. 城内への侵入と魔王の結界**


コウタとゼノスの命をかけた連携、そしてクロード、アリエル、ユリナの奮闘により、聖戦連合は西門を突破し、魔王城内部への侵入を果たした。


城内は、外の荒野とは打って変わって、静寂と濃密な闇の魔力に満ちていた。


オズワルド「侵入に成功! 魔王城は、巨大な『魔力増幅炉』として機能しており、魔王の力そのものが城の構造となっています」


彼は、構造図を広げた。


オズワルド「最上階の玉座へは、三つのルートがありますが、魔力が最も集中しているのは中央の『螺旋の回廊』です」


クロード「では、中央突破だ! 魔王の力の源を断つ!」


コウタは、周囲に漂う魔王の魔力の質を、神器なき身で感じ取っていた。


四天王の魔力とは比べ物にならない、純粋な世界の破壊を求める力だった。


コウタ(内心)

(フム。魔王の魔力は、『汚い美学』とは対極の『純粋な破壊』でござる)


彼の口角が、僅かに上がる。


コウタ(内心)

(拙者の『全ての神器を捨てるロールプレイ』は、この『純粋な破壊』の前で、『真の無力』を示す最高の演出となるでござるよ!)


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## **2. 最後の神器、リュックの価値**


聖戦連合が螺旋の回廊を進む中、コウタはアシュレイに託し、ハルボウが運んできた『無限収納リュック』を、ハルボウから受け取った。


コウタは、この旅で唯一、自らの手で破壊せず、譲渡もしていないこのリュックを見つめた。


中には、ハルジオン王国の全資金源、そしてコウタの全てのコレクションが詰まっている。


コウタ「ハルボウ殿。ユリナ殿。そしてゴブリン助」


彼は、リュックを見下ろした。


コウタ「拙者は、このリュックを、ここで手放すでござる」


ハルボウ「えっ? コウタ様、このリュックは、王国の財産、そして、あなた様の……!」


コウタ「デュフフフフ。このリュックは、拙者の『汚い美学』の象徴、『無限の資源チート』でござるよ」


彼のぼやけた視界が、ハルボウを捉える。


コウタ「魔王との決戦で、『無限の資源』などという『生ぬるいチート』を抱えているなど、『最高の自己犠牲ロールプレイ』に反するでござる!」


コウタは、リュックを静かに、回廊の脇にある、闇の魔力が渦巻く窪みへと置いた。


コウタ「拙者は、『最も高価値な資源』すら捨てて、『無価値なオタク』として魔王に挑む!」


彼は、オズワルドを見た。


コウタ「オズワルド殿、このリュックの『無限収納チート』を、『魔王城の結界』を破るための『最後の資源』として利用せよ!」


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## **3. 『無限の資源』による結界の破壊**


オズワルドは、コウタの指示に驚愕しつつも、天才的な頭脳でリュックのチートを解析した。


オズワルド「な、なるほど……! この『無限収納』は、『次元の歪み』を内包しています!」


彼の目が、理解の光を宿す。


オズワルド「この次元の歪みを、魔王城の魔力結界にぶつけることで、結界の『魔力安定性』を破壊できる!」


コウタ「デュフ。そうでござるよ」


彼の口角が、深く上がる。


コウタ「拙者の『チート』は、最後まで『汚い手段』として、魔王の『純粋な力』をねじ伏せるでござる!」


オズワルドは、命がけでリュックの魔力を制御し、魔王城の回廊全体に張り巡らされていた魔王の防御結界へと、リュックの『次元の歪み』をぶつけた。


ゴオオォォォン!!という凄まじい音と共に、魔王城の結界が内部から破壊され、最上階の玉座へと続く道筋が、一瞬で開かれた。


コウタは、五大神器を全て失い、完全なる裸一貫(汚いTシャツと破れたGパンの残骸)となった。


クロード「道は開かれた! コウタ殿!」


彼は、聖剣を構えた。


クロード「これより先は、我々が貴殿の『壁』となります!」


コウタは、その姿こそ醜いが、瞳には最高の物語のエンディングを見据える『汚い美学』の光を宿していた。


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