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:第四章 王都の壁とクリア条件


Ⅰ. 王都帰還と入城拒否


(コウタは、汚れたスウェット姿のまま、初めての戦利品であるビン底メガネをバンダナに包んで手に持ち、ゴブリン助と共に聖都の正門へと向かった。


ゴブリン助はコウタの汚れたスウェットの裾をしっかりと掴み、離れない。)


コウタ

「デュフフ。ゴブリン助よ。これが、魔王討伐の拠点となる聖都アウローラでござるよ!


拙者の『無能からの逆襲』を見せつけてやるでござる!」


(しかし、城門の衛兵は、コウタの姿を一瞥しただけで、露骨な嫌悪感を示した。)


衛兵A

「おい、そこの汚いデブ。立ち止まれ!


ゴブリンを連れての入城は、規約で禁止されている!


さっさとその魔物を置いて、失せろ!」


コウタ

「フム? 『種族差別』でござるか!


拙者は聖戦士でござるぞ!


このゴブリン助は、拙者の『ファーストコンパニオン』でござる!」


衛兵B

「黙れ!


聖戦士ならスウェットに汚いゴブリンを連れてくるものか!


貴様のその不潔な外見も、公序良俗を乱している!


今すぐこの場でパーティー解散しろ!」


(コウタはチートが発動しないため、衛兵の排除の動きを止められない。


ゴブリン助は「クギャギャ! クギャギャ!」と泣き叫び、コウタのスウェットに必死にしがみついた。)


ゴブリン助

「クギャギャ……!(離れたくない!)」


コウタ

「ううむ……。『システム上、パーティーの継続が不可能』でござるか。


ゴブリン助よ、すまぬ。


一旦、ここで待機でござる。


拙者が許可を得て、すぐに迎えに来るでござる!」


(コウタが無理やりゴブリン助から手を離そうとすると、ゴブリン助は地面に突っ伏し、涙を流しながらコウタの足首にしがみついて離れない。


その姿は、あまりにも哀れだった。)


コウタ(内心)

「くっ……!


このゴブリン助、『離れたくない』という感情表現がリアルすぎて、拙者の心が痛むでござるよ!


拙者の『聖戦士としてのプライド』が、この泣き叫ぶゴブリンを無視することを許さぬでござる!」


***


Ⅱ. スラム街と新たなる決意


コウタ

「……よろしい!


衛兵殿!


拙者たちは一時的にパーティー解散でござる!


だが、すぐに『隠密ルート』で再合流してみせるでござるよ!」


(コウタは、衛兵の目を避け、ゴブリン助を連れて裏道へと進んだ。


そして、人目につかない聖都の外縁にあるスラム街へと足を踏み入れた。)


コウタ

「ゴブリン助。


ここが、拙者の『最初の拠点』でござるよ。


衛兵の目が届かぬ、アンダーグラウンドのセーフティエリアでござる!」


(ゴブリン助は、コウタが自分を見捨てなかったことに安堵し、クンクンと鼻を鳴らしながらコウタの足元で丸くなった。


その姿は、完全に忠実な仔犬のようだった。)


コウタ

「フフ。よろしいでござる。


拙者はまず、この『ビン底メガネ』のチートを解放し、『鑑定能力』で世界を解析する。


そして、『チェックシャツ』と『Gパン』を手に入れ、最強の聖戦士となるでござるよ!」


***


Ⅲ. ダンジョンの真のクリア


(コウタがスラム街にたどり着き、次の行動を考え始めたその瞬間、彼の頭の中に、召喚された時と同じ、荘厳な声が響き渡った。)


システムボイス

『「絶望のダンジョン」をクリアしました。』


コウタ

「デュフフ! なにぃ!? 


ダンジョンを出た後にクリア表示でござるか!?」


システムボイス

『ダンジョンの真のクリア条件:【囚われし者を救済し、旅の仲間とすること】。


報酬として、ビン底メガネの機能が完全解放されました。


鑑定チートを発動します。』


(コウタの顔に巻かれていたバンダナがひとりでに解け、その中からビン底メガネが飛び出し、コウタの顔に強制装着された。)


コウタ

「デュフフフフ! な、なんだこの視界は!


全てがデータ化されて見えるでござる!」


(コウタは即座に鑑定チートを発動させ、自身の足元にいるゴブリン助を見る。)


コウタ

「『鑑定』!


……(驚愕)やはり!


ゴブリン助の正体は……」


(コウタの「最強のソロプレイ」は、真のクリア条件が「仲間を作ること」だったという皮肉な真実と共に、終わりを告げた。


そして、最初の神器を手に入れたことで、コウタはついに「無能」ではない聖戦士への第一歩を踏み出したのだった。)


***

:第五章 鑑定チートと竹刀の真実


Ⅰ. ゴブリン助の正体


(コウタの顔に強制装着されたビン底メガネは、瞬時に彼の視界を情報に満ちたものに変えた。


彼は興奮のあまり、真っ先に自分の足元にいるゴブリン助に焦点を合わせた。)


コウタ

「デュフフフフ! これが鑑定チートの力でござるか!


ゴブリン助の真の正体を、このビン底メガネで見破ってやるでござるよ!


『鑑定』!」


(コウタの視界に、ゴブリン助の情報が展開される。


しかし、その情報欄は、極めて不可解なものだった。)


>名前:不明

>種族:ゴブリン(?)

>状態:鎖の呪い(極めて強力)

>能力:未測定

>備考:【データ読み取り不能】。システムへの負荷が高すぎるため、詳細解析を停止します。極めて重要なキャラクターである可能性があります。


コウタ

「な、なんだと……!? 『データ読み取り不能』!?


拙者のチート能力が通用せぬでござるか!


しかも『極めて重要なキャラクター』だと!?」


(ゴブリン助は、コウタが自分を見つめるビン底メガネのレンズに、クギャギャと不安そうに鳴いた。)


コウタ

「フム。どうやら、このゴブリン助は、拙者の『鑑定チート』の上位互換に位置する存在でござるな!


よろしい!


『正体不明の謎のヒロイン枠』として、拙者の旅を盛り上げるでござるよ!」


***


Ⅱ. 聖戦士の武器を探して


(コウタはゴブリン助をスラムの安全な場所に隠し、ビン底メガネを装着したまま、次の神器である聖戦士の剣と盾を探すために町へと出た。


彼は、適当に古道具屋のような店に立ち寄る。)


コウタ

「デュフフ。武器屋では目立ちすぎるでござる。


この手の店こそ、『隠された神器』が眠る穴場でござるよ!」


(店の中は埃っぽく、雑多なガラクタが所狭しと並んでいた。


そして、カウンターの奥には、やる気の無い、無精髭を生やした店員が座っている。)


コウタ

「『鑑定』!」


(コウタは店員を見るが、ビン底メガネのチートは店員の『やる気の無さ』まで正確に数値化し、何の役にも立たない情報しか提供しなかった。)


店員

「(あくびをしながら)うるせえな。


何も買わねえなら、さっさと出てけ。


汚いオタクは店の空気が悪くなる。」


コウタ

「デュフフ。貴殿の『尊厳の低さ』は拙者のチートが計測済みでござる。


さて、商品でござるよ!」


***


Ⅲ. 価値の暴露と竹刀の輝き


(コウタはビン底メガネを頼りに、店内の商品を次々と鑑定していく。


彼のチートは、真の価値、材質、製造年代を正確に暴露していった。)


>鑑定結果:

>[サビた剣]:価値120ギル。ただの鉄くず。

>[古びた盾]:価値50ギル。木製の皿。

>[魔導書(偽)]:価値マイナス30ギル。読むと馬鹿になる。


コウタ

「フム。やはりガラクタの山でござるな。


……おや?」


(店内の隅、ゴミの山の中に、一本の竹でできた、ひどく煤けた棒が立てかけられていた。


それは剣というにはあまりにも頼りない、日本の竹刀にそっくりだった。)


コウタ

「『鑑定』!」


>鑑定結果:

>名称:竹刀しない

>価値:2ギル(糞安い)

>状態:煤けている。握りが異常に臭い(異臭度:98%)

>能力:読み取り不能。属性が複雑すぎます。


コウタ

「(ビン底メガネ越しに竹刀を見つめ、ゴクリと唾を飲む)


『糞安い』、『握りが臭い』……そして、『能力読み取り不能』だと!?」


(チートが解析不能なのは、ゴブリン助とこの竹刀だけだった。


コウタの中二病センサーが、これが間違いなく次の神器であると叫んでいた。)


コウタ

「デュフフフフ! これだ! これに違いないでござる!


この、ゴミみたいな竹刀こそが、拙者の『聖戦士の剣』に違いないでござるよ!」


(コウタは竹刀を掴み、やる気の無い店員に叩きつけるように投げた。)


コウタ

「店員殿! この竹刀、もとい『聖戦士の剣』は、拙者が買い上げるでござる!


代金は2ギルでよろしいでござるな!」


店員

「(面倒くさそうに竹刀を見る)ああ、ああ、勝手に持ってけ。


そんだけ汚ねえなら、ゴミ代でいいよ。」


(コウタは汚れたスウェットのポケットからわずかな金を取り出し、最初の神器を手に入れた。


彼の旅は、「鑑定チート」と「正体不明のゴブリン助」、そして「異臭を放つ竹刀」と共に、次の段階へと進むのだった。)


***

:第六章 鑑定チートと初期資金調達


Ⅰ. 鑑定チート、金銭面で火を吹く


(コウタは、異臭を放つ竹刀とビン底メガネを装備したまま、やる気の無い古道具屋の店員に対峙していた。


彼は、絶望のダンジョンで倒した魔物から手に入れた、一見するとただのガラクタに見える素材を、懐から取り出した。)


コウタ

「デュフフフフ! さて、店員殿。


拙者は、このダンジョン産のガラクタを売却したいでござるが……。


貴殿の店で、最高値で買い取ってもらいたいのでござるよ!」


(コウタが取り出したのは、以下の三点。)


真っ黒な魔物の牙(デーモンの牙)

カビの生えたボロ布(悪魔のローブの切れ端)

緑色の粘液が固まった塊(ゴブリンの魔核)


店員

「(鼻で笑う)なんだ、その汚ねえゴミは。


牙なんて折れてるし、布はカビ臭い。


粘液は触りたくもねえ。


全部で10ギルくらいにしとけ。」


コウタ

「フム。


貴殿の『鑑定眼』は、やはり無能でござるな。」


(コウタはビン底メガネを調整し、チートの鑑定機能を起動させる。)


>鑑定結果:

>[真っ黒な魔物の牙]:真名:【邪王の残渣ざんさ】。価値:1,200ギル。最強の悪魔の生体素材。

>[カビの生えたボロ布]:真名:【暗黒魔導士の聖衣の切れ端】。価値:5,000ギル。超高純度の魔力繊維。

>[緑色の粘液が固まった塊]:真名:【高密度ゴブリンコア】。価値:3,500ギル。上位錬金術の触媒。


コウタ

「デュフフフフ! 10ギルだと!?

貴殿は拙者を愚弄しおったでござるな!」


---


Ⅱ. 価値の暴露と強制売却


(コウタは、やる気の無い店員に、鑑定結果の情報を文字通りぶつけた。)


コウタ

「この牙は【邪王の残渣】、この布切れは【暗黒魔導士の聖衣の切れ端】、そしてこの粘液は【高密度ゴブリン核】でござるよ!


合計で9,700ギル相当でござる!


貴殿は9,690ギルの『損』をするところでござったな!」


店員

「(ビン底メガネとコウタの剣幕に気圧され、目を剥く)な、何を言っているんだ!


その汚いデブ、頭がおかしいのか!?」


コウタ

「フム。


貴殿の『やる気の無さ』では、真贋を見抜くのは不可能でござる!


よろしい!


拙者が鑑定チートで『真の価値』を把握した上で、貴殿の店に『恩義』として譲ってやるでござるよ!」


(コウタは、チートで割り出した価値の約半額、5,000ギルを店員に要求した。)


コウタ

「デュフフ。


貴殿がこの『聖戦士の剣』を2ギルで拙者に譲ってくれた恩義に報いて、半額の5,000ギルで買い取ってやるでござるよ!」


(やる気の無かった店員は、目の前の「汚いデブ」が、数千ギルの価値がある素材をあっさりと手放そうとしていることに混乱し、完全に思考が停止した。


彼は即座に5,000ギルを支払った。)


店員

「(震える声で)も、持ってけ……この汚いカビ臭い布と変なメガネをつけた気持ち悪いオタクは、二度と来るな……!」


---


Ⅲ. 旅の資金と次の神器


(コウタは、5,000ギルという大金と、聖戦士の剣(竹刀)を手に、得意げに店を後にした。)


コウタ

「デュフフフフ! 初期装備と初期資金は、自力で調達完了でござるな!


この5,000ギルがあれば、次の神器、『チェックのシャツ』を探すことができるでござるよ!」


(コウタは、スラムの隠れ家に戻り、ゴブリン助の頭を撫でる。)


コウタ

「ゴブリン助よ。


拙者の『鑑定チート』と『交渉術(中二病ver)』、いかがでござったかな?


さあ、次は『チェックのシャツ』を探すでござる。


それが手に入れば、拙者の『防御チート』が発動するでござるよ!」


(コウタの旅は、ビン底メガネ(鑑定チート)、竹刀(能力不明の剣)、ゴブリン助(正体不明の仲間)、そして潤沢な初期資金を得て、本格的に始動したのだった。)

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