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# 第四十四話:『内政チート』の光と影、そして新たな強欲
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## **1. 驚異の光景と復興の王都**
エルフ王国での激戦から数日後。
コウタ、ハルボウ、ユリナ、ゴブリン助の四人からなる一行は、長旅の末にハルジオン王国の王都に帰還した。
コウタが最後に王都を去った時の、破壊と絶望に満ちた光景はどこにもなかった。
王都の外壁は完璧に修復され、大通りには笑顔で商品を並べる商人が溢れている。市場は活気に満ち、まるで戦乱の影など最初から存在しなかったかのようだ。
ハルボウは目を潤ませ、感極まった声を上げた。
ハルボウ「す、すごい……! こんな短期間で、ハルジオンは、こんなにも……!」
彼の小さな体が、感動で震える。
ハルボウ「これこそが、コウタ様の『外交チート』と、アシュレイの『国家運営チート』の力!」
ユリナも、首につけた奴隷の鎖を鳴らしながら、その驚異的な復興の速度に言葉を失った。
ユリナ「これが……『チート』による内政の力。戦闘だけでなく、国家運営においても規格外……!」
コウタは、ビン底メガネを静かに押し上げ、満足げに鼻を鳴らした。
コウタ(内心)
(ふむ。拙者の『汚い美学』は、アシュレイ殿という最高の演者を得て、最高の『即時復興ロールプレイ』を達成したでござるな)
彼のビン底メガネが、禍々しく光る。
コウタ(内心)
(これこそが、魔王軍が最も嫌う『世界の再生』でござる!)
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## **2. 天才宰相アシュレイの報告**
一行が王城に入ると、アシュレイ(王国代行主席宰相)が出迎えた。
彼女は変わらず冷静沈着で、背後には元奴隷のリーダーや元領民の代表が控えている。
アシュレイは、コウタの隣で鎖を鳴らすユリナの姿を見ても、一切動揺せず、彼女を丁重な目で一瞥した。
そして、コウタに深く頭を下げる。
アシュレイ「コウタ様、おかえりなさいませ」
彼女は顔を上げ、淡々と報告を続けた。
アシュレイ「王国の再建は、コウタ様の『無限収納リュック』を基軸とした経済モデルにより、順調に進行しております」
アシュレイの瞳に、静かな自信の光が宿る。
アシュレイ「エルフ王国との安定した貿易ルートも確立し、現在、ハルジオン王国は『世界で最も豊かな資源を持つ国』となりました」
コウタ「うむ。見事な『内政チート』の運用でござる」
彼はビン底メガネを押し上げた。
コウタ「拙者の『汚い美学』に、一点の曇りもない!」
ハルボウも、アシュレイとユリナという二人の天才女性がコウタの傍らに並び立つ光景に、胸を張った。
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## **3. 『強欲のアバドン』の影**
しかし、アシュレイはすぐに表情を引き締めた。
アシュレイ「ですが、この富の集中は、魔王軍の残りの四天王を惹きつけてしまいました」
彼女の声が、僅かに緊張を帯びる。
アシュレイ「魔王軍の経済を支配する四天王、『強欲のアバドン』です」
コウタ「ほう。『強欲』でござるか」
彼は竹刀を失った腰元を軽く叩いた。
コウタ「残るは『強欲』と『残虐』。まずは『強欲』のデリートでござるな」
アシュレイは頷き、さらに詳細を報告する。
アシュレイ「アバドンは『資源吸収』という能力を持ちます。彼にとって、『価値あるもの全て』は吸収の対象です」
彼女は、コウタの装備を一瞥した。
アシュレイ「特に危険なのは、その強欲さゆえに、コウタ様が持つ『最も高価値』な神器を狙っていることです」
コウタは、アシュレイの言葉を聞きながら、手ぶらである自身のGパンとシャツ、そして指にはめた指ぬきグローブを順番に見つめた。
コウタ(内心)
(『無限収納』の資金源と『絶対防御』のシャツ、そして『規格外の身体』を宿すGパン)
彼のビン底メガネが、静かに光る。
コウタ(内心)
(だが、アバドンが『最も高価値』と誤認し、そして『吸収』によって自滅に追い込める毒……それは、ユリナ殿の精神すら破壊しかけた『魔力制御・増幅チート』を宿す、指ぬきグローブ一択でござるよ!)
コウタは、竹刀を失った今、残りの戦闘チートをどう扱うか、冷静に判断を下した。
コウタ「よろしい。拙者の『汚れた美学』に賭けて、その『強欲』、必ずやデリートしてみせるでござるよ」
彼はアシュレイを見つめた。
コウタ「アシュレイ殿は王国の防衛に専念せよ。『強欲のアバドン』の『切り札』は、既に用意済みでござる!」
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# 第四十五話:『強欲のアバドン』の襲来と、Gパンの損傷
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## **1. 王都を覆う「強欲の魔力」**
ハルジオン王国への帰還からわずか数時間後、その異変は起こった。
王都の中心、アシュレイが管理する地下の巨大な「無限収納」の出口付近に、漆黒の巨大な影が出現した。
それは、魔王軍四天王の一人、『強欲のアバドン』だった。
アバドンは、黒い霧のような外套を纏い、その目は「価値」を求める狂気に満ちていた。
彼の出現と共に、王都の空気は重くなる。
人々が所有する金や宝石が微かに震え、アバドンの体へと吸い込まれようとした。
アシュレイは冷静に衛兵隊に指示を出すが、アバドンの能力の前では無力だった。
アバドン「ハルジオン王国……この短期間で、これほどの富を築いたか」
彼の声は、低く、禍々しい。
アバドン「その全ての『資源』は、我が強欲の糧となる。そして……」
アバドンは、王城のバルコニーに立つコウタに視線を固定した。
その狂気の目は、コウタの全身の装備を舐め回すように鑑定する。
アバドン「最も高価値な資源を発見した」
彼の目が、貪欲に光る。
アバドン「その汚らしいシャツでも、その古びたGパンでもない……その手に光る『制御の宝玉』! その『無限収納の器』! それは、我が強欲の究極の糧となる!」
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## **2. Gパンへの最初の攻撃**
アバドンは、最初にコウタの背負う『無限収納リュック』、そして指ぬきグローブに照準を合わせた。
アバドン「我が『資源吸収』の前から、価値あるものは逃れられぬ!」
彼の体から、濃密な闇の魔力が溢れ出す。
アバドン「全てを我に捧げよ!」
濃密な闇の魔力が、竜巻となってコウタ一行に襲いかかる。
ハルボウとユリナ、ゴブリン助は、コウタの『絶対防御チート(チェックシャツ)』の光によって守られた。
だが、コウタは動かなかった。
コウタは、『超・鑑定チート(ビン底メガネ)』でアバドンの攻撃の性質を分析した。
コウタ(内心)
(フム。リュックは無傷。『無限収納チート』を奪うには、直接触れるか、継続的な魔力吸収が必要でござるか)
彼のビン底メガネが、冷静に光る。
コウタ(内心)
(まずは、『強欲』に別の獲物を差し出すでござる!)
コウタは、あえてリュックの紐を緩め、Gパンに意識を集中させた。
コウタ「フンッ! 貴殿の『強欲』など、拙者の『規格外身体チート』の前では、紙切れでござるよ!」
コウタは、Gパンの魔力を解放し、超高速でアバドンの魔力の渦の中を駆け抜けた。
その瞬間、アバドンの魔力はコウタのGパンの『耐久力というリソース』を削り取ることに成功した。
バリリッ!
コウタのGパンの膝の部分が、アバドンの魔力によって物理的な損傷を受け、大きなダメージ(穴)が開いた。
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## **3. 『究極の毒』を差し出す覚悟**
コウタは、僅かに身体の防御力が低下したことを感じたが、表情は変えなかった。
コウタ「デュフフ。拙者の『規格外身体チート』を宿すGパンに、傷をつけたでござるか」
彼はビン底メガネを押し上げた。
コウタ「さすが『強欲』の四天王でござるよ!」
アバドンは、僅かながらGパンの価値を吸収できたことに満足し、次に最も高価値なアイテムである指ぬきグローブへと狙いを定める。
アバドン「その損傷は、貴様が持つ『価値』が、我が前に崩壊する兆候だ!」
彼の目が、狂気に満ちた光を放つ。
アバドン「次は、その『魔力制御の宝玉』を捧げよ! それこそが、この世界で最も高価値な資源だ!」
コウタは、ビン底メガネの奥で、確信の笑みを浮かべた。
コウタ(内心)
(来たでござるよ! 貴殿の強欲が、ユリナ殿の精神すら破壊しかけた毒に目をつけた!)
彼の笑みが、深くなる。
コウタ(内心)
(拙者の『汚れた美学』の最終奥義、『毒を食らわせてデリート』でござる!)
コウタは、右手の指ぬきグローブを見つめた。
竹刀を失った今、このグローブこそが、彼の最強の攻撃手段である。
しかし、それこそがアバドンを討つ唯一の手段。
コウタは、大声で宣言した。
コウタ「よろしい! 『最高の資源』を、惜しみなく貴殿に献上してやるでござるよ!」
彼のビン底メガネが、禍々しく光る。
コウタ「貴殿の『強欲』に、この『制御不能の力』を飲み込めるか、試してみるでござる!」
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# 第四十六話:強欲の自滅と、失われた制御
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## **1. 究極のロールプレイ:グローブの放棄**
コウタの宣言に、ハルボウは驚愕し、ユリナは戦慄した。
ハルボウ「コウタしゃま! だめだよ! それを失ったら、もう敵にろくに攻撃できないじゃないか!」
ユリナ「ご主人様! そのグローブは、貴方の魔力の『制御』そのもの! それを渡せば……!」
しかし、コウタは一切耳を貸さなかった。
彼の頭の中では、「主人公が、最大の力を捨てて、最大の敵を討つ」という最高の物語のシナリオが完成していた。
コウタ「デュフフフフフ! 貴殿の『強欲』こそが、貴殿の命を奪うでござる!」
彼は指ぬきグローブを見つめた。
コウタ「『最高価値の資源』を、ありがたく受け取るがいい!」
コウタは、装着していた指ぬきグローブを、自らの手で素早く外した。
グローブは、魔力制御を失い、濃密な緑の光を放ち始める。
コウタは、それをアバドンの『資源吸収』の射程圏内に、躊躇なく放り投げた。
アバドンは、目の前に現れた「最も高価値で、最も制御の利かない規格外の魔力資源」に、『強欲』の理性を完全に失った。
アバドン「ああ……! 至高の資源! これこそが、この世界で最も美しい価値!」
彼の目が、狂気に満ちた歓喜で輝く。
アバドン「全てを吸収する!」
アバドンは、全魔力を指ぬきグローブへと集中させた。
グローブは、一瞬にして闇の渦の中へと吸い込まれ、アバドンの体内へと取り込まれた。
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## **2. 規格外の毒によるデリート**
グローブがアバドンに完全に吸収された瞬間、それは起こった。
アバドン「ぐっ……!? こ、これは……!?」
アバドンの体内は、吸収した資源の「価値」と「魔力」を制御し、自身の力として変換する仕組みになっている。
しかし、指ぬきグローブが内包していたのは、ユリナの精神すら破壊しかけた、制御不能なほどの『規格外の魔力負荷』だった。
それは、アバドンの『強欲』の器を完全に超えていた。
アバドン「ま、まさか……! この資源、毒なのか……!?」
彼の体が、内側から膨張し始める。
アバドン「制御が、利かない……! 我が強欲が、我が身を滅ぼすだと……!?」
吸収された『魔力制御・増幅チート』は、アバドンの体内で暴走し、彼の魔力回路と肉体を、「最高の資源を浪費する」という形で内部から破壊し尽くした。
アバドンは、絶叫を上げる間もなく、漆黒の煙となって、塵と化した。
強欲の四天王、アバドン、デリート完了。
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## **3. 勝利の代償**
コウタは、折れた竹刀に続き、指ぬきグローブを失った。
彼の右手には、制御装置を失ったことによる不安定な魔力が微かに残るだけだった。
ハルボウは、安堵からへたり込んだ。
ユリナは再びコウタの「常識を逸脱した知略」に戦慄した。
コウタは、膝に穴の開いたGパンを軽く叩き、ビン底メガネを調整した。
コウタ「デュフフフフ! 見事でござるな、アバドン殿!」
彼のビン底メガネが、満足げに光る。
コウタ「貴殿の『強欲』こそが、拙者の『汚れた美学』の最高の『演出』となったでござるよ! 拙者のチートは、貴殿の強欲すらデリートしたでござる!」
コウタは勝利したが、その代償は大きかった。
**攻撃力の不安定化:** 『魔力制御・増幅チート』を失ったため、今後の戦闘で『規格外身体チート』による攻撃力が大きく不安定化する。
**防御力の低下:** Gパンの損傷により、防御力が僅かだが低下した。
残る四天王は、『残虐のガラマード』のみ。
コウタは、次の戦いが、「制御不能」の自分と、「純粋な残虐」を体現する最後の強敵との、「装備破壊の最終決戦ロールプレイ」になることを、『超・鑑定チート』によって冷静に悟ったのだった。
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