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短編&中編集

木枯らし吹く季節に豪雨に見舞われて、バス停で雨宿りした僕と彼女は、好物も趣味も同じで、まるで鳴り続けるオルゴールみたいに話し続けた冬の日の出来事

作者: 初音の歌
掲載日:2025/12/02


 それは木枯らしが吹く、冬の季節。

 学校からの帰り道。自転車に乗って家に向かう途中、僕は豪雨に見舞われた。


 とてもじゃないが帰れない。

 仕方なく途中のバス停で、雨宿り。

 レトロな作り。だけど屋根が広い。充分雨風を凌げる。


 ただ驚いたのは、先客が居た事。

 僕と同じように、雨風に打たれた女の子が、バス停の中に。


「お互いずぶ濡れね」

「そうだね」


 名前も知らない。

 けど、親近感だけはあった。

 なにしろ現在進行形で同じ苦労を味合う同士。


 彼女も学生。制服は別の学校。

 年齢は同じくらいだろうか。


 会話は自然と始まった。

 雨が止むまで動けない。


 ただ、不思議なくらいに話が弾んだ。途中で止まる筈の会話が続いていく。

 まるで鳴り続けるオルゴールだ。

 この、何も出来ない閉鎖空間と、同じ境遇の親近感が口を滑らせたのかも知れない。


 そして、会話を続けていくと、面白いことが判明していく。

 境遇だけではなかったのだ。

 僕と彼女の共通点は――驚くほど多かった。


 好きな食べ物は?


「「ホットケーキ」」


 趣味は?


「「サバイバルゲーム」」


 貰った読者プレゼントの品は?


「「風鈴」」


 そこまで一緒だと、もう笑うしかない。

 激しい雨風にも負けない勢いで、僕と彼女は、腹を抱えて笑った。

 目の前の彼女は、涙を拭いながら笑ってる。


「キミもあれ貰ったんだ」

「あれは困った」

「風鈴のギフトセットとかね。秋に届いても困るのよ」

「そもそも意味が分からないよね。あんなにあってどうするの?」

「さあ?」


 ケラケラと、笑う。

 二人で笑う雨宿り。


 彼女はバス停の外を見る。

 豪雨は、治まる気配がない。スマホの天気予報でも、まだまだ降りそうだ。


「ふふ。凄いわ。まるで嵐の舞踏会よ」


 そんな様子を、楽し気に見つめる彼女。

 ふと、振り返り――何処か小悪魔的な顔を向けてくる。


「名前と住所、教えてくれる?」


 突然の言葉。

 電話番号でもメアドでもなく。


「そろそろ時期だから、年賀状送りたいの――文通からどう?」

「このIT時代に?」

「だから良いんじゃない。私とキミしか分からないもの」


 そう言って笑う彼女の顔は、雨の中なのにお日様のようで。 


 それが、木枯らし吹く季節に生まれたもの。

 僕と君の合言葉。


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