木枯らし吹く季節に豪雨に見舞われて、バス停で雨宿りした僕と彼女は、好物も趣味も同じで、まるで鳴り続けるオルゴールみたいに話し続けた冬の日の出来事
それは木枯らしが吹く、冬の季節。
学校からの帰り道。自転車に乗って家に向かう途中、僕は豪雨に見舞われた。
とてもじゃないが帰れない。
仕方なく途中のバス停で、雨宿り。
レトロな作り。だけど屋根が広い。充分雨風を凌げる。
ただ驚いたのは、先客が居た事。
僕と同じように、雨風に打たれた女の子が、バス停の中に。
「お互いずぶ濡れね」
「そうだね」
名前も知らない。
けど、親近感だけはあった。
なにしろ現在進行形で同じ苦労を味合う同士。
彼女も学生。制服は別の学校。
年齢は同じくらいだろうか。
会話は自然と始まった。
雨が止むまで動けない。
ただ、不思議なくらいに話が弾んだ。途中で止まる筈の会話が続いていく。
まるで鳴り続けるオルゴールだ。
この、何も出来ない閉鎖空間と、同じ境遇の親近感が口を滑らせたのかも知れない。
そして、会話を続けていくと、面白いことが判明していく。
境遇だけではなかったのだ。
僕と彼女の共通点は――驚くほど多かった。
好きな食べ物は?
「「ホットケーキ」」
趣味は?
「「サバイバルゲーム」」
貰った読者プレゼントの品は?
「「風鈴」」
そこまで一緒だと、もう笑うしかない。
激しい雨風にも負けない勢いで、僕と彼女は、腹を抱えて笑った。
目の前の彼女は、涙を拭いながら笑ってる。
「キミもあれ貰ったんだ」
「あれは困った」
「風鈴のギフトセットとかね。秋に届いても困るのよ」
「そもそも意味が分からないよね。あんなにあってどうするの?」
「さあ?」
ケラケラと、笑う。
二人で笑う雨宿り。
彼女はバス停の外を見る。
豪雨は、治まる気配がない。スマホの天気予報でも、まだまだ降りそうだ。
「ふふ。凄いわ。まるで嵐の舞踏会よ」
そんな様子を、楽し気に見つめる彼女。
ふと、振り返り――何処か小悪魔的な顔を向けてくる。
「名前と住所、教えてくれる?」
突然の言葉。
電話番号でもメアドでもなく。
「そろそろ時期だから、年賀状送りたいの――文通からどう?」
「このIT時代に?」
「だから良いんじゃない。私とキミしか分からないもの」
そう言って笑う彼女の顔は、雨の中なのにお日様のようで。
それが、木枯らし吹く季節に生まれたもの。
僕と君の合言葉。




