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第四話:意味わからんほど凝視される

夏、晴天の朝。田西川小学校の学生達は皆、夏休みを終え2学期が始まろうとしている。


3年4組の教室では、朝の会がちょっぴり長引いた。転入生の紹介的な奴があったからだ。


「今日からみんなの仲間になる、転入生の鬼塚マコトくんだ。」


先生が魔王の背中をポンと押す。


「鬼塚マコトです。よろしくお願いします。」


魔王は自分の声が震えていることに気がつき、更に震える。


さて、今日から魔王あらため鬼塚さんは小学校生活を送ることになったのだが、彼はこんなにも人に囲まれた事はなど無い。更に更に、気を緩めては魔法の仮面が取れてしまうと鬼子に忠告されている。その上その上、彼が唯一使うことを許されている黒魔術、言語習得スキルで日本語が使えるようになった彼だが、おもむろにボロが出てしまわないか、グッダグダの日本語になってやしないだろうか___そんな心配が彼の頭をよぎったり行ったり来たりする。


「では鬼塚くん、席についてください。あの女の子の隣の席だよ。」


魔王はプルプル震えながらも、なんとか女の子の隣の席につく。

するとびっくりなことに、その女の子が目を丸くして、まるでお化けでもみたかのような顔をして魔王の顔を覗き込む。その子は空いた顎が塞がらないと言った様子である。


ええっ…何この子めっちゃ見てくるんだけど…!?


魔王はもちろん困惑した。でも、なんかのリアクションは返したほうがいいのだろうか。

女の子と同じように顔を覗き込むかと思ったが、読んでいた本を思い出す。

「人とのコミュニケーションの取り方」には確か、「笑顔を見せましょう」と書いてあった。

魔王、出来る限りの笑顔を見せる。正直いうとかなり引き攣っていたが、それが彼の精一杯だった。

女の子、ようやく目を逸らす。

ふう、なんとかなったかな。あ、いけない、いけない。気を抜かないようにしなくては。


キーンコーンカーンコーン。チャイムがなった。


「では国語の授業を始めます、よろしくお願いします。」


先生が言うと、皆は一斉に頭を下げて「よろしくお願いします。」をいう。

魔王、ついていけていない様子で、あたふたする。


「では教科書を開きましょう。ゴンギツネのページです。」


皆一斉に教科書を開く。魔王も机の中を弄ったが、そこにピンチが訪れる。

まずい、教科書忘れた…!ちゃんとランドセルに入れてきたはずなのに…!

魔王、またもやあたふたする。すると、意外なことに隣の女の子が小さく声をかけてきた。


「あんた、教科書忘れたの?」


「えっ、ええっと、うん」


彼女は自分の席と魔王の席をくっつけると、二人で見れるように教科書を真ん中に置いた。


「私の、見せてあげる」


「あ、ありがとう!ええっと、」


「私、石神優子。ユーって呼ばれてる。」


「ありがとう、ユーちゃん」


ユーちゃんは、はにかんだ。

なんていい人なんだ…!魔王は彼女の優しさに痺れた。


その後の授業も難なく進められた魔王だが、給食の時間にて彼はカルチャーショックを体験する…!

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