第七夜 至福と命の危機の夜
遠く離れた国から
野を超え山を越え
国境を越えて
ロギンの住む砂漠にたどり着いた4人。
莫大な報奨金を提示され
勇者ラインハルトとコーネリアは家族を人質に取られ、
そんな2人に同情して同行した獣人シェイド。
監視役として教会の神官オルシード。
教会に命令され
命懸けの討伐に無理矢理行かされた。
教会に対する恨みが深くなるほど
4人には深い絆が生まれた。
4人がやっと
埃まみれでロギンの城に到着した時、
干からびたミイラのようなロギンがいた。
対照的に大変元気な3匹の子猫たち。
最初4人は城を急襲と思ったが
試しに城の入り口でノックをしたら
よぼよぼのロギンが出てきてびっくりした。
宅配が来たと勘違いしたロギンが
屈強なシェイドを見て
驚いて大きな声を上げた。
誰かが攻撃してきたと
勘違いしたホーリーキャットが
ロギンと愛する夫と子供たちを守るため
盛大な攻撃魔法つかい
城の壁を崩壊させる。
ホーリーキャットの攻撃を見て
3匹の子猫が4人に対し
襲い掛かった。
盾役のシェイドが前に出たら
飛びかかってきたアメシストの爪が
シェイドの頸動脈を切ってしまう。
そんな状況で
愛らしい3匹の子猫に一目惚れをしてしまったシェイド。
血飛沫を上げ
ほぼ死にかけながらあのセリフをのたまったのだ。
「俺はこの3匹に会う為に
今まで生きてきたんだ」
ロギンも含めた全員が
何言ってんだこいつ…。と
呆然とした。
シェイドが至福の表情をうかべながら
そっと倒れていくことに気がついたオルシードが
慌ててシェイドに癒しの魔法をかけ命の危機を脱した。
混乱が収まると同時に
全員だんだんと冷静になってきた現場で、
ロギンは改めて血と埃に塗れた4人に言った。
「とりあえず、お風呂に入りませんか?」
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「びにゃ〜〜〜!
おとうしゃま〜〜!
アメジシュト!
ころち(殺し)ちゃった〜〜!」
「大丈夫だよ!
アメジスト。
まだ、誰も死んでないよ!」
(お父さまは死にそうだけど・・・
ああ、泣きながらもセクシーなエネルギー吸ってく・・・
可愛い悪魔なのか・・・)
可愛い子供なのに
ガンガンに父インキュバスの命を
削っていく。
ガッリガリに細くなった体が
そろそろ限界だと悲鳴をあげる。
そこへ、美しい妻の
ホーリーキャットが飛び込んできて
アメジストを父インキュバスから剥がした。
急いで真っ青な顔色の
愛する父インキュバスに
癒しの魔法をかける。
少ししてから、
痩せた父インキュバスの頬に赤みが差し
命の危機から脱した。
「アメジスト。
お父さまに近づいたらダメって言いましたよね!」
無意識に父インキュバスの
セクシーなエネルギーを吸ってしまう子猫は
本当に危険なのだ。
だが、子猫が泣きついてくると
甘い父インキュバスは
自分の命が縮んでもいいから相手をしてしまう。
ホーリーキャットもわかっているが
愛する父インキュバスを死なせたくない。
もう、色々と
この城は限界だった。