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第二夜 誘惑と探索の夜

今月も、金色に輝く満月が

夜の帳とともにやってくる。


その満月の光に照らされて

食堂の「ゴールド」」の看板の文字が

「ゴールデンフィッシュナイト」と文字が変わる。


「ゴールデンフィッシュナイト」の開店だ。


店はオープンして

5分もしないうちに満席となる。


上品な紳士も、

粗野な冒険者も、

ここではただの無口な男。


暴れようとは思わない。


なぜなら、

「ゴールデンフィッシュナイト」のオーナーは

いかついゴリラの獣人シェルド。


かつて

邪悪な魔法使いロギンを倒した

勇者パーティの盾役であり

料理番として知られる猛者である。


勇者パーティーにも参加するほどの

一流の冒険者であり料理人。


勇者パーティは今も仲が良いらしく、

パーティーは解散していても

たまにメンバーが

シェルドの料理を食べに来る。


そんな店で暴れようと思うものはいない。


ましてやそんなことをして追い出されたら、

「ゴールデンフィッシュナイト」の夜にだけ現れる

レディーたちを見ることもできなくなる。


そんな危険を犯してまで暴れようと思うものはいない。


謎に包まれたレディーたちの身元を調べようとするものもいたが、

店の出入り口から移動している様子を見たものはいない。


おそらく、何らかの魔法で姿を見せないで

出入りしているようだ。


1ヵ月以上粘って、

店の裏口やシェルドの家や家族までも見張ったが

シェルドが世話している子猫たちを見ただけだったと言う。


一体どこのレディー達なのか?

それがいっそう皆の興味を煽り、

月に1度の「ゴールデンフィッシュナイト」の夜は

静かに盛り上がる。


いつだったか、

旅の吟遊詩人が街角で歌っていた歌がある。


それはゴールデンフィッシュナイトのレディーたちの

謎めいたその噂を歌にしたものだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ピンクのゴールデンフィッシュレディーが

忘れられない

あの唇から漏れる甘い声を

もっと聞きたいと願ってしまうから

だけど思う存分甘い声を聞いたら最後だろう

世界一の権力者が

その椅子から転げ落ちるくらい誘惑される声だから


パープルのゴールデンフィッシュレディーが

忘れられない

あの金色に輝く眼差しを

自分だけに向けてほしいと願ってしまうから

レディーが私だけ見たら最後だろう

最強の勇者すら膝から崩れ落ち

大地にひれ伏すほど誘惑されるから


ブルーのゴールデンフィッシュレディーが

忘れられない

あの首筋から香る甘い匂いを

私だけ思いっきりかぎたいと願ってしまうから

胸いっぱいにその匂いを嗅いだら最後だろう

世界一の金持ちが全財産を

迷わず差し出すほどに甘く誘惑されるから


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その歌を聞いた女たちが嫉妬に狂い

店に通う男たちを

刺し殺す様な視線を向け

店から1歩も出ることのないゴールデンフィッシュレディーたちに

気が狂うような恨みの刃を向けるようになったのは

また別の話。





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