第零章 第一節 プロローグ
どうも皆さんお初にお目にかかります、「イヌイット2.0」と申します。
小説を書くのはこれが初めてなので文章が拙い部分が多々あると思いますが、温かい目で見守っていただけると幸いです。
「おばさん、おばさん、またあの話聞かせてよ」
とまだ声変わりのしていない高く、透き通った幼い声が木造の古びたログハウスに響き渡る。
その声の主は、黒髪で所々白髪が生えていて、肌は白くまるで人形のようだ。一度見つめれば意識を吸い込まれてしまいそうなほど深く、だが澄んだ美しい濃い青色の瞳、歳で言えば六歳ほどの少年だった。
あまり生活感のないログハウスには人の気配は一切なく、どこか寂しさを覚える。
壁際の本棚や窓枠の上には埃はおろか塵一つない、隅々まで掃除がされている部屋だったが、少年の靴についた泥が綺麗に磨かれた床に小さな足跡を残しながら一人の女性の居る二階へと続いている。
二階の少し狭い廊下の一番奥の部屋では、きぃきぃと音を立てる焦げ茶色のロッキングチェアーに深く腰を掛ける女性が一枚の古い写真を眺めていた。
少年がもう一度声をかけるとその女性は声のする方向へ優しい笑顔を向けた。
「こら、また靴の泥を落とさないでは入ってきたでしょう?」
女性は、少年が玄関から着けてきたであろう足跡を見てほんの少しの呆れと愛おしさを織り交ぜたような息を漏らしながら言った。
少年はハッと気づいたような顔をして申し訳なさそうに、ごめんなさいエレミおばさん。と口にする。エレミと呼ばれるその女性は肩をすくめる少年の頭を優しく撫で、少年の緊張を解く。
「まぁ、いいわ。次から忘れずにね?」
「うん、わかった。」
少年は顔に少し安堵の表情を浮かべ、エレミの顔を見つめ軽く微笑みかけた。
エレミは一度当たりを見渡した後に、ロッキングチェアーから腰を上げると少し離れたところにあった椅子を少年の前にそっと置いた。それから近くの小さな出窓を開く、窓から部屋へと草木の香りをのせた風が少年とエレミの二人を包み込む。耳を澄ませば聴こえてくる、鳥のさえずりと川のせせらぎ、木の葉が擦れ合う音が心地よかった。
エレミは、一度大きく伸びをすると少年を椅子に座らせた後に、またロッキングチェアーに腰を掛ける。手に持っていた古びた写真をもう一度見ると昔のことを懐かしむかのような、あるいは悲しいことを思い出した時のようなどちらとも言えない、だがどちらとも言えるような表情を浮かべた。そんなエレミの姿を見た少年は心を躍らせ、目を輝かせて今か今かと待ちわびている。
膝に古びた写真を伏せ、エレミは一度深く息を吸い語り始める。その物語の始まりはこうだった。
「君は神や天使を信じるかい?」
どうだったでしょうか、楽しんでいただけたでしょうか。
この章で出てきた少年とエレミと呼ばれる女性は何者なのか、物語が進んでいくごとに明らかになっていくのでそちらも物語と一緒に楽しんで頂けたら幸いです。
文章上にもし誤字、脱字などミスがございましたら教えていただけると大変助かります。
では、次のお話でお会いしましょう。
「この物語が皆さんに愛されますように・・・」