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affection  作者: 月那
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confusion-4-

「お待たせ」

 窓際の席で何やらホイップクリーム満載のカフェを飲んでいた深月に声をかける。ルカはシンプルにアイスラテをショートで。(難しい注文はできない、という奴であるが)

「ごめんね、急に」

「いや、別に大丈夫だけど。何かあった?」

「んーん、えっと…………あ、しいが、坂本くんとまた付き合い始めたって話、聞いた?」

「聞いた、聞いた。すげーびっくりしたよ」

「久しぶりに会って、なんかかっこよくなってた、ってしいが嬉しそうに話してくれたの」

「かっこよくなってるかどうかは、俺にはわかんないけど」

 ちょっと苦笑しながら言うと、深月が笑った。

「坂本もすっごい嬉しそうだったよ」

 嬉しそう、というより浮かれまくってたというべきか。

 篠田とデートなのかわからないが、最近オンラインゲームにログインしても坂本は全然いないので、サークル以外ではなかなか会えないし話もしていないのだが。

「あの合コン、楽しかったねー」

「うん、楽しかった。予想以上に盛り上がってくれたから、すごい良かったよ」

「初対面の人もいたでしょ? 土岐(とき)くんと涼くん」

「あ! そうそう。佐竹は俺らと同じサークル仲間なんだけど、土岐は俺もあの日が初だったんだよ」

「びっくりするくらい、イケメンだったねー」

「そうそう。なんか、モデルとかやってそうな感じなのに、全然気取ってなくて」

「入江の目がハートマークになってたよ。あいつ、超イケメン好きだから」

「わかるわかる。高校の時も生徒会長に惚れてなかった?」

「やだ、ルカも知ってたの?」

「あれはバレバレっていうか、本人も隠してなかったし。完全に追っかけ状態だったよな?」

 高校時代の話がやたらと盛り上がり。

 二人で笑いながら話していると、気付いたら日付を越えていて。

「おっと。深月、もうすぐ一時だけど。大丈夫? 今実家でしょ?」

「あ、ほんとだ。でゆーか、最終電車が、もう出ちゃってる」

「ああ、それならいいよ。今日は俺車あるし、家まで送ってく」

 美紅の飲み会のせいではあるが、とりあえず結果オーライという奴である。まあ、それがあるから半分時間に気兼ねなく話していた、というのもあるが。

 店を出て駐車場に行き、隣に深月を乗せた。

「母の車だから軽で狭いけど」

「ううん、全然だよ。ありがとう」

 エンジンをかけて周囲を見て出発。しようとして、ルカは固まった。

 ……隣に、ゆかりの車が停まったから。

そして、目が合った、から。

「びっくりした。美紅の車があるから、驚かせようと思ったら、るーちゃんいたからあたしの方が驚かされちゃった」

 車を降りたゆかりが、ルカの傍に来て言った。

「ゆかりちゃん、こんな時間にどしたの?」

「残業。もー、久々にとんでもない案件が飛び込んで来て、しょーがないから美紅に七海のことお願いしたのよ」

 言われて、美紅が夕飯の準備に手間取った理由を知る。

「美紅は?」

 ルカの隣に乗っているのが美紅ではないことに気付いたゆかりが、軽く深月に頭を下げる。

「あいつはそこの焼き鳥屋で飲んだくれてるよ」

「あはは。るーちゃん、代行係?」

「うん。いいように使われてマス」

 免許を取って一年経ったからか、最近は美紅の車は割と自由に使わせてもらえるようになっていたのだが、

 その代わりこういう役目も担わされるわけで。

「そっかー。でもせっかくだから美味しそうなの、買って帰ることにする。じゃあね、おやすみ」

 平然と。

 そう、本当に何もなかったように。ゆかりがさらりと言って手を振った。

 そうなるともう、こちらも“何もなかった”ことにしなくてはいけないわけで。

 内心頭を振って気を取り直すと、車を出した。

「…………誰? とかって、訊いてもいいのかな?」

 深月がちょっと悩んだ感じで訊いてきた。

「ああ、あの人は美紅の友達。ほら、俺妹いるでしょ? あの人の娘と俺の妹がまた仲いいもんだから、家族ぐるみで親しいんだよ」

 軽く、答える。

 そう。ゆかりは美紅の親友。妹の友達の母。

 それが、総てだ。

 自分に言い聞かせるように言って。

「そっか」

 深月は短く言って、窓の外を見た。

 昔、自転車の荷台に乗せて走った道。恋人だった深月の家に、彼女を送って行ったから。場所はわかる。

「遅くなったけど、お母さんに怒られたりしない?」

 黙ったままの深月に、声をかけた。

「んーん、大丈夫。もう家、出てるから、そこは自由だよ」

「あ。そう言えば、何か用があったんじゃない? なんか、無駄話ばっかして時間遅くなっちゃったけど」

 話があるから、と呼び出されたハズだったのを思い出して。

「…………いいの。また、今度集まりたいって思ったのと、しいが坂本くんとヨリを戻した話、したかっただけだから」

 ちょっと、何かを含んでいるような気はしたけれど、ルカはそれ以上追及することはしなかった。

 遅い時間なので道が混んでいることもなく、深月の家にはすぐに着いた。

「じゃあね、おやすみ」

「うん。ありがとう。また、誘っていいかな?」

「いいよ。今度は坂本たちと一緒に飯でも食いに行こうぜ」

 ルカが言うと、深月が笑顔を見せてくれた。車内で少し空気が固かった気がしていただけに、ちょっとほっとする。

 深月に手を振って、帰路に着いた。


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