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affection  作者: 月那
28/51

deep end-3-

 夏の旅行と言えば、海だろう。

 ルカの暮らす町は、海岸はあるが海水浴場と呼べるものはなく、昔から海水浴と言えばちょっと遠出して泊まりがけで出かけるのが通常パターンである。

「週末、一泊二日で旅行しまーす。いつも行ってる海水浴場で泳いだら、そこからちょっと車で移動して、温泉旅館に泊まりたいと思います」

 ルカの試験最終日の夜。田所家での夕食の場で、ゆかりと美紅が「重大発表」と高らかに話してくれた。

 試験期間中、バイトもシフトを入れていなかったので、その間だけは美紅が夕食をルカの分まで用意してくれていたのだった。その上、今日はゆかりと七海も一緒だ。

 試験期間含め、一週間と少し。七月末をひたすら勉強に明け暮れるという、まるで受験生時代を思わせる状況の中、ゆかりからは“お勉強頑張ってね”のメッセージのみで全く音沙汰のない寂しい日々を過ごしたのだが、昨日の夜突然“明日の夕飯は美紅んちで田所さんのご馳走、ご一緒しまーす”という明るいメッセージが入り。

 久しぶりに六人勢ぞろいでの夕飯となったこの場で、ゆかり達も一緒という旅行の発表に七海と清華が大喜びしている。

 そんな二人に親父も温かいまなざしで。

 この熊さんは、職場では鬼のようでかなり恐れられているらしいのだが(部下や同僚が声を揃えて言っているので)、家では完全にただの親バカになる。

 しかも、十も年下のヨメであるせいか、美紅に対しても未だに激アマで。

「車は田所さんがアルファード出してくれるから、その一台でいいかな?」

「たーさん疲れたらルカも運転するでしょ?」

「で、美紅とゆかりちゃんは飲んだくれるわけね」

「あったりまえじゃーん」

 いえーい、なんて二人で乾杯して。

 はい、当然ですが現在もアルコール入ってます。

 ゆかりと七海はルカが車ごとお届けするようです。勿論、暗黙のうちに。

「運転手が二人いると楽だね」

 美紅が言うと、ゆかりもにこにこ頷いて。

「じゃあ、当日は朝から出発するし、早起きしてね。ゆかりは車でうち来る? それか朝迎えに行ってもいいけど」

「甘えてもいい?」

「勿論! 八時に出て、ゆかり達拾って。十時くらいから泳げばいいよね」

「一応夕方五時には旅館に入る予約してる。あそこの海水浴場なら海の家もあるし、お昼はそこで済ませよう。夜はご馳走だしね」

 とりあえずの予定を話す二人が嬉しそうで。しかも、その横で双子達は新しいお揃いの水着を買う話で盛り上がっている。

 もはやルカと父はただのアシでしかないらしい。


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