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affection  作者: 月那
24/51

手、繋ごう-5-

 企画展の半分くらいを見て回った時点でお昼となり、一度フリーラウンジに戻る。

「お弁当、作って来ちゃった」

 ロビー横のコインロッカーに預けていた大荷物はそれだったのか、とルカが驚く横でゆかりが広げたお弁当には、色とりどりの美味しそうなお惣菜が入っていて。

「ゆかりちゃん、頑張ったねえ」

「でしょ、でしょ? なんて、実はななも土日はお弁当持って部活行ってるから、そのついでなんだけどね」

「吹奏楽だっけ? 気合入ってるね」

「うん、コンクールで結構いい線行ってるらしくて。夏休みもずっと練習するんだって」

 清華も七海と同じ部活。何から何までまるで双子だ。

 二人ともそれが当たり前のように育っているから、七海もルカを“兄”扱いである。

 そんなところも可愛いと思えるのだから、実際自分は“双子の兄”だと自覚しているわけだけど。

「手作り弁当なんて何年振りだろ」

「あれ? でも高校の時はお弁当だったでしょ?」

「いや、朝練とかあったから基本学食。学食ない日なんて、コンビニで何か買いな、つって金渡されて終わりだったし」

「あは、美紅らしい」

「そのくせ、今清華にはちゃんと弁当作ってやってるみたいだし。何なんだろう、俺の扱い」

「違うよー、きっと量だよ。ななのお弁当だって、ダイエットだからってこんなちっちゃいんだよ」

 両手で小さなお弁当を作って。

 今ここで広げているお弁当箱の四分の一くらいのサイズ。

「だから、今日持ってくるお弁当の量って、よくわかんなくて。るーちゃん、足りるかな?」

 鶏の唐揚げ、ミートボールに、アスパラガスのベーコン巻。卵焼きにたこさんウインナー、といった定番の中に、渋くあるのがきんぴらごぼうやホウレン草の胡麻和え。

 二段目のお重にはおにぎりがしっかりと入っていて。

「十分だよ。ゆかりちゃん、早起きしたんじゃない?」

「んーん、いつも通りだよ。主婦歴長いからね、ちゃんと作り置きとかしてるし、体力配分は抜かりないわよ」

 ふふん、と得意げに笑った。

 実際お弁当はかなりの量で、食べ終わる頃にはかなりの満腹になっていた。

「ゆかりちゃん、ちゃんと食べた? なんか俺ばっか食ってる気がするけど」

「食べたよー。にしても、やっぱり男の子って凄い食べるのね。いつものあたしとななの分考えても、二倍くらい持って来たつもりだったけど、綺麗になくなっちゃった」

「うん、ごめん、食べ過ぎた。だってむっちゃ旨いし」

「ほんと?」

「いや、こんなの嘘ついてもしょーがないじゃん」

 ルカが言ったら、ゆかりがほっとしたのか極上の笑みを見せてくれて。

 そのあまりの可愛さに、思わず抱きしめてしまっていた。

「って、えっと、ご馳走様でした、のハグです」

 自分の行動に驚いて、慌てて離れる。

「俺コーヒー買って来る」

 赤くなってしまった自分を隠すように、自動販売機へと逃げた。

 ゆかりも少しびっくりした表情を見せてはいたが、いつものようににっこり笑って「あたし、ブラック無糖ね」なんて軽く言ってくれたので安心する。

 おかしい。自制がきかなくなっている気がする。

 自動販売機の前で、頭を抱え込む。

 小学生だったルカがどんな行動を取っていたか、なんて当然記憶にはない。が、ゆかりの中にあるその“小学生のるーちゃん”が、自分の中で凄く邪魔で。

 それが腹立たしいのか、とにかく“今のルカ”としてゆかりの中の過去を上書きしたくなるのだ。

 けれども、そうすることで、ルカの下心に気付いたゆかりが逃げて行くのが怖い、という不安があるのも確かで。

「何がしたいんだ、俺は」

 小さくつぶやいた。

 声に出すと、自分の行動があまりにも陳腐で、大きく深呼吸していつもの“理性の鎧”を纏いなおした。


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