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衛星ショーン  作者: カワラヒワ
6/6

「トピ」

 急に上から声がした。

 何だ? 起きたと思っていたけれど、眠っていたのか。


 トピは無意識に手を上げた。その手を誰かが握り締める。

「トピ」

 ズカシの声だ。


 目を開けると、ズカシが心配そうな顔をしてトピの顔を覗いていた。

 そうだ、ぼくは戦闘機の攻撃を受けて、はじき飛ばされた。それから・・・。どうなったか思い出せなかった。


 ズカシの顔がすぐ近くにあった。こんなに近くでズカシの顔を見たのは初めてだ。結構イケメンなんだな。トピは思った。


「どこか痛いところはないか」

 手を放して、ズカシが言った。

「大丈夫だと思います」

「そうか」


 ズカシはほっとしたように、ため息をついて言った。

 宇宙服は脱がされていて、キャビンのベットに寝かされていた。

 部屋は人口陽灯で温められ、気持ちのいい温度だった。


「敵は?」

 トピは体を起こして言った。

「すぐに逃げていったよ。撃ったのはあの一発だけだ。向こうも攻撃されたくないからな。

でも、お前、運がよかった」

 ズカシは笑って白い歯を見せた。優しい顔だった。


「まだ、寝てろ。お前が気がついたことを、レブンたちに知らせてくる」

 ズカシは立ち上がって去っていった。


 静かになった部屋に、モーターの音が聞こえてきた。

 さっきのハチのことを思い出す。

 へんな夢だったな。トピはクスリとわらった。


 ぼくはハチになって空を飛んでいた。ハチを怖がっていた女の人は、若い時の母だった。懐かし友達やズカシもいたな。

 どうして、あんな夢を見たのだろう。


 窓から星々が光って見える。

 この船はN星に向かって飛んでいる。

 正面の窓からN星が大きく見えた。


 これから先のことはわからない。でも、あの星に行けば、新しい何かがある。

 トピはじっとN星を見続けた。



読んでいただいてありがとうございました。

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