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細くてか弱い女。マモクってばバカの癖に…。と聖都マリアナ。

草原を駆け抜ける風が気持ちいい。


私達は大草原を歩いていた。


モンスターを食べるために!


「いくわよルーク。」


「はいよメリク。」


ルークが投げナイフで獲物の足を突き刺す。


「よっしゃ!死に晒せボケが!」

私は気合いを込めてクマのモンスターを斧で滅多斬りにした。


「イェーイ!ハイタッチ!」


パチンッ!


ここ最近は私はルークと仲が良い。


原因は急いで適当に作った偽造ギルドカードと貰った武器のせいだ。


まずマモクは身長も高く筋肉質なので職業トレーナーなのはいいがただのトレーナーが魔刃ソードなど持っている訳がないのだ。


キチークなどもはやギャグでしかなく、知的鬼畜メガネイケメンが調教師なのはいいが、武器が魔石の指輪だ。


調教師がムチも使わずにいきなり魔法をぶっ放す訳にはいかない。


しかもこの指輪の魔石が地味に高性能で、ただでさえ慣れてないのに指輪からいつもより強い魔法が出て、毎回手を怪我してしまうのだ。


一方でルークはシーフと道化師で本来の職に近く自然に戦えた。


ルークが貰った鉄扇も出来が良く、殴ってよし斬って良し、鉄芯を抜いて投げナイフに使っても良しという優れ物だった。


私はバーカーサーで斧。


説明するまでもなく冒頭通りむしろこっちが正解なんじゃないかと言うくらいの馴染みっぷりだった。


私達は大鍋を出してご飯にする。


もちろん今日は野草のクマ鍋だ。


渋い!エグい!獣臭い!


そんな三重苦など既に慣れたもので、みんなでワイワイと食べた。


女のくせにお風呂も入らずに野宿している。


しかしこれはこれで楽しいものだなと思っていた。


「おいメリク。

最近塩味薄くね?」


「そうですね僕もそう思ってました。」


「あー、最近塩の在庫が少なくなってきてて…。」


「いやだ!もう街に行こう。

金はあるんだろ?」


「そうですよ、いくらなんでも生活が原始的過ぎます。」


毎日野宿なのでお金は1ドンも減っていない。


モンスターの素材を採取しているのでむしろ増えていると思う。


「俺も塩なしはさすがにいやだぞー。」


三人にそう言われては仕方がない。


これも主人の務めなのだ。


「わかったわよ街に行くわ。」


「「「やったー。」」」


「所で俺達は今どの街に向かってんだ。」


「聖都マリアナよ。」


「「「えーっ!」」」


聖都マリアナ。

言わずと知れた教会の総本山である。


「おい!俺達は教会に追われてんだぞ。

教会に行ってどうすんだよ。」


「もちろん滅す為の情報収集よ。」


「バカかお前は。」


「いやむしろ良い考えかも知れませんね。

僕達誰も聖都マリアナに向かってるなんて思ってませんでしたから。

相手もそれは同じでしょう。」


こうして私達は文明的な生活(塩味)を求めて聖都マリアナに向かう事になったのだ。


「お前達止まれ、ここは聖都マリアナ。

身分証を提示しろ。」


聖都マリアナは大きな街で入街に身分証の検査があった。


門番の態度も横暴であつかましい。


私はその態度に日本の警察を思い出した。


あいつらは美人が酔っ払って歩いていると親切にする癖に、ブスが夜中にコンビニに行くと職務質問してくるのだ。


私はムカムカしながらギルドカードを提示する。


連れの三人は何やら落ち着かない様だった。


「おいお前達なんか臭うな。」


「いやあのその…。」

「僕達はですね…。」

「オナラかな?」


「私達はとある悪の使いに理不尽な理由で無実の罪を被せられ教会に行くために厳しい長旅を続けてきたのです。」


「悪の使いとは?」


「権力の高き者達です。

私達はここよりも小さな街で助け合い生活していたのですが、それが気に要らないと権力者に虐げらしてしまいました。」


「あー、悪い利権団体に目をつけられたのか。

お前達も大変だな良し通っていいぞ。」


「はい、極悪非道の権利団体でした。

それでは失礼します。」


私のムカついた態度の所為で堂々としている様に見えたのか門番はあっさりと私達を通した。


私は横暴な役人はこういう所まで同じなのかと呆れ果てた。


「だっ大丈夫なのかよ?」

「なっなんとか通れたみたいですね。」

「俺怖かったぞー。」


「私達は何も悪くないんだから堂々としてなさい。」


「それにしても聖都マリアナの入り口で教会の悪口を言うのはどうかと思いましたが…。」


「何もウソは言ってないわ。

貴方達はイケメンだからわからないかも知れないけど、ブスは舐められたら終わりなのよ。」


「おいおい、役人の態度にムカついたのはわかるけどよちょっと落ち着けよ。

それとイケメンってなんだ?」


私はマモクにそう言われてはっとした。


慣れない異世界での長旅で少し疲れていたのかな?

それに役人にトラウマを刺激されたせいかもしれない。


まったくマモクはバカの癖に…。


「イケメンはイケてるメンズ。

つまり顔が良い男って事よ。」


「顔が良くても何の意味もないだろ。

剣や魔法の腕が立つか金と権力のだろ。」


「そりゃそうかもしれないけど、あなた達だって私の事最初にブスって言ったじゃない。」


私は最初に襲ってきてブスだからと体に興味を示さず、お金だけ盗もうとした事を恨んでいるのだ。


「あたり前だろ、お前みたいな細くてかよわい女。

なあ?」


細くて…、かっかよわい。


「そうですよ、こんなに細くてかよわいのにあんなに強いなんて反則ですよ。」


えっ!キチークまで…。


「メリクみたいのと結婚したら、守ってあげないといけないから大変だな。」


なっなっな、何ルークまでガキの癖に…。


私は何とか冷静を装って話題を変える。


「きょっ、きょっ、今日は久しぶりに焼肉食べ放題にしましょう。」


「えっいいのか?

やりぃー。」

「この所モンスターばかりでしたからね。

僕も嬉しいです。」

「やったー!焼肉焼肉。」


「でもこんなに神聖な街並みの聖都マリアナに焼肉屋さんなんてあるのかしら?」


「何言ってんだお前?」



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