バカ!メガネ!サル!三人との生活
それを聞いて驚いた。
「えっ?死刑?」
念の為受付の女性にもう一度確認した。
「ええ、普通に死刑ですけど…、何か?」
どうやらこの世界のでは犯罪者は死刑らしい。
こいつらは草原の真ん中でいきなり女性の服を破き、お金を取ろうとしブスだから犯さないとまで言ったのだ。
良く考えたら死刑で当然だ。
私はそう思ったが絶望的な顔をする三人の顔を見て念の為聞いてみた。
「他には選択肢はないの?」
受付嬢は困った顔で言い辛そうに言う。
「こういう場合は死刑か奴隷にするか選べるのですが、さすがにセージ様に奴隷はちょっと…。」
なーんだ死刑以外もあるんじゃない。
「あんた達、死刑と奴隷どっちがいい?」
「頼む、頼むから奴隷にしてくれ。」
「僕もお願いします。」
「俺もお願いしますお願いします。」
「じゃあ、奴隷で。」
そう言うと受付嬢は驚いて準備しだした。
「こちらに血を一滴お願いしたいのですが…。」
良くわからないが血で判子でも押すのかと出された針で指を指して血を垂らす。
受付嬢はそれを金属製のカーラーに付けて三人の首にかける。
するとカーラーから光が放たれて三人の首にぴったりの大きさになった。
「それではギルドカードを発行しますね。
失礼ですがお名前は?」
私は突然名前を聞かれて前世の本名を言っても良かったがせっかくなので盛ってみた。
「アメリア・ヴィクトリア・天上院よ。
天上院が苗字で名前がアメリア。
ヴィクトリアはミドルネーム。」
「はい、アメリア・ヴィクトリア・天上院様ですね。
ついでにあの三人のお名前はどうしますか?」
三人の名前?
あだ名かなんか設定出来るのかしら?
私は三人の名前を知らなかったので適当に答える。
「バカとメガネとサルよ。」
「バカとメガネとサルですね。」
そう言うと受付嬢は一旦奥に入り、何やら機会を操作して四枚のカードを持って戻って来た。
「すいません。
いくらセージ様でも規定で一番下のランクからになってしまうのですがよろしかったですか?」
「はい、大丈夫です。」
何か凄い職業らしいが経験もないのに大きな仕事を任せられても困るのだ。
素直に受け取る。
四枚のギルドカードには
アメリア・ヴィクトリア・天上院
職業 セージ
バカ プロペティ アメリア
職業 ナイト
メガネ プロペティ アメリア
職業 ウィザード
さる プロペティ アメリア
職業 シーフ
と書いてあった。
プロペティは所有物と言う意味で、アメリアの奴隷と言う意味らしい。
しかも驚いた事に一度死刑になった扱いとなり本名がバカ・メガネ・さるになってしまったそうだ。
せっかくこれから三人の美男子に囲まれて生活するのに名前がバカとメガネとサルになってしまい少し後悔した。
私はさっそく薬草採取など簡単なクエストを教えてもらい街の外に出た。
「うわー虫!」
「えーい、あっちいけー。」
「痛っなんか噛まれた。」
「ああ、噛み虫ですね。
跡が残るといけないのでこの薬草を指に巻いて下さい。」
「うー、重い!」
「まったくしょがねえな、持ってやるからかしな。」
ある程度ギルドでの仕事経験のある三人に助けられなんとか仕事をこなしてお金を稼いだ。
そして今はギルド紹介の安宿屋に向かっている。
宿屋は古そうだったが良く掃除されており比較的キレイだった。
私はトイレに入りこの世界に来てはじめてほっとした。
壁が薄いので隣の音が聞こえるがこの世界にトイレがあってよかった。
当然だが野グソなどしたくはないのだ。
トイレは男女分かれており、さすがにウォシュレットはないが少し硬めのトイレットペーパーもあった。
私は用を済ませてトイレのドアを開けた。
「えっ…?」
そこには3バカがきちんと気をつけして並んでいた。
「あのここ女子トイレだよ?」
メガネが答えた。
「はい、アメリア様のお花摘みの警備は当然奴隷の仕事でございます。」
このお花摘みの警備はこの世界常識らしく言ってもやめてもらえなかった。
反対に三人がトイレに行きたい時は必ず私に許可を取ってギルドカードを持ってトイレに入る。
主人の目の届かない所で奴隷がギルドカードを持ってないと自動で首がしまるらしい。
私と3人は全てのトイレ事情を把握してしまう事になってしまった。
トイレ以外にも問題はあった。
寝る時だ。
奴隷は男ではなく所有物なので寝る時も一緒なのだ。
それに離れて寝ると三人の首が閉まってしまう。
3バカとは言え、高身長の知的眼鏡と高身長筋肉スポーツマン、顔の整った少年と言う三人の美男子に囲まれしばらく眠れない日々が続いた。
ちなみに三人は私に一切構わずさっさと寝てしまう。
私に魅力がないわけでははなく、奴隷としての心構えだと思いたかった。