第3話 まさかのスキル
「ワクワクするな………」
「うむ………」
2人はキラキラした眼で神を見た。
神はというと、なんとなく残念そうな眼で2人をみている。
『あー………一応、お主らにも使命を与えられる』
「おお! 使命! なんて良い響きだ!」
「魔王討伐か? でも我は闇だし………闇の勇者? おぉぉ、かっこいい! ダークリユニオンブレイブと名付けよう!」
「あっはっは! 良いなそれ! お前“黒崎”だしちょうどいいな。なら俺は“白崎”だからホーリーアブソリュートブレイブみたいな感じだな」
「おおおお! わかっているではないか!!」
ユウジは大人気なくはしゃぎ、メイはさっそく中二病ならではのネーミングセンスを炸裂していた。
特に深い意味は無さそうだ。
ユウジも悪ノリしている。
そんな感じに、期待が膨らめば膨らむほど神様は残念そうに2人をみる。
「さぁ、俺たちの使命を聞かせてくれ!」
「うんうん」
『………討伐だ』
討伐。
それだけ聞けば異世界転生っぽい。
そう、そこだけ聞けば。
「何を討伐するんだっ!?」
『お主ら風で言うところの………リア充じゃ』
「「………は?」」
『ええい! これを見るが良い!!』
神はかなり飾りっぽい派手な杖を上にかざすと、そこから光が生まれた。
そしてその瞬間、なにかが2人の頭の中に流れ込んだ。
「なんだ………うっ!? ぐ、ぃ………あッ、たまが?」
「ぃぃ、たぃ〜〜!!!」
頭を抑えながらのたうちまわっている。
しかしそれは、本当に痛いのではなく、一種の拒否反応のようなものだった。
彼らが見ているのは、神が見せているイメージだ。
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『みーたん愛してるよ〜』
『私もきーくんを愛してるよぉ』
抱き合うカップル。
政治家がいるような部屋でイチャコラしているカップルの姿だ。
これだけではない。
「ゆーちゃん、チュー」
「アルアル、チュー」
大きな会議が開かれていそうな場所で人目も憚らずチューしまくっているカップル。
これは痛い。
まだまだ続く。
「ダーリン!」
「ハニー!」
おそらくスピーチ中なのであろう。
マイクを持った男の胸に飛び込む女。
しかし誰も文句を言わない。
これをアホみたいな量見せられた。
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「おぅうええええぇぇえええ!!!」
「キモいキモいキモいキモいキモいキモい!!!」
床を縦横無尽に転がり回るユウジとメイ。
かなりショックを受けたらしい。
リア充嫌いの2人にはかなり強烈だったのだ。
「あんた! なんて危険映像見せてくれるんだ!」
「我が闇の力で焼き払われたいか!」
『見ただろう今の映像を。これが異世界の現状だ。要人どもが要人どもがどこでも構わずイチャイチャして回っておる。故に!』
神は杖をコンっと鳴らした。
『お主らに授けられたスキルを駆使して、奴らリア充を撲滅して欲しいのじゃ! さぁ! 今こそステータスと叫び、己に宿った力を見るが良い!』
2人はゴクリと唾を飲んだ。
色々あったが、スキルは得られるのだ。
期待を胸に、ステータスと叫んだ。
「「ステータス!!」」
目の前に画面が表示される。
2人は食い入るようにそれを見た。
そこにあったのは………
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白崎 雄二
Lv.1
HP10
MP10
攻撃10
防御10
駆動10
魔力10
スキル:社畜
称号:伝説の社畜・ブラック企業社員・ゴリファイター
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黒崎 芽衣
HP10
MP10
攻撃10
防御10
駆動10
魔力10
スキル:中二病
称号:イタすぎる女・ゴスロリ少女
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いまいち見方はわからない。
しかし、これだけははっきりわかる。
弱い。
そして、スキル目がいった。
2人は同時に叫んだ。
「「なんじゃこりゃあああああ!!!?」」