第2話 社畜男子と中二病女子は神様の叫びを聞いた
「うっ………ここは………ん?」
「頭がいたいぃ………ん?」
二人は顔を見合わせて顔を真っ赤にさせて後ずさったが、直後の記憶も取り戻し、顔を青くした。
「あ、アンタも、死んだ、よな?」
「あ、ああ、我も死んだ」
「我?」
聞き慣れない一人称に顔をしかめるが、ラノベをよく読む雄二はメイがなんなのかわかった。
「中二病?」
「それを口にするな! 我には闇の力があるのだっ! そう言う貴様はなんなのだ!」
メイが対抗して何か言おうとした。
雄二は自分は変じゃないと言う事を教えてやろうとこう言った。
「俺? 俺は普通の会社員だ。毎日胃がキリキリするくらい働いては怒鳴られ、怒鳴られは働いて………」
「なるほど、社畜か」
「やめて! 人に言われると死にたくなる!」
「もう死んでおろう」
メイがそう言うと、一気に意識がそっちに向いた。
「そうだった。俺たち死んだんだ………待てよ? 最後あのリア充、俺らを盾にしなかったか?」
「思い出してきたぞ………あやつら、我も貴様も引っ張りおった!」
それを思い出して憤慨する2人。
「リア充め………どこまで俺を虚仮にすれば気が済むんだ!」
「リア充め………我を愚弄しおって………!」
リンクした。
リア充嫌い同士が出会ったのだ。
「リア充?」
「嫌い?」
数時間後、
「あのシーン俺も好きだった! かっこいいよな」
「そうだろう、そうだろう! あそこも良かったぞ!」
意気投合していた。
「いやぁ、お前変だと思ってたがいいやつだな。メイちゃん」
「暗いやつかと思ったがいい奴ではないか。ここがなんなのかはよくわからぬが、死んだなら生まれ変わるまで語らおうぞ。ユウジ」
『語らうのは良いが、後にしてもらおう』
突然の声。
2人は辺りを見渡すが、誰もいない。
しかし声だけ聞こえる。
「俺たちの他にも人がいるのか?」
「おい、あそこ!」
メイが指差した先には、如何にもな感じの男がいた。
『私は………』
「「かっ、神様だーっ!!」」
2人は興奮気味にそう言った。
『………如何にも。私は神だ。そしてお前たちは………』
「転生か? 転生だよな!?」
「ああ、間違いない。これが噂に聞く異世界転生だ」
『………そうお前たちは死んで転s………』
「メイちゃん! 俺らの時代が来たぜ!」
「ユウジよ! 今こそ我らに宿る(予定)力で………」
『話聞けよおおおおおお!!!』
ヒゲの爺さんは眼をカッと開いて叫んだ。
「「………ごめんなさい」」
『全く………最近の若いもんは………オッホン。先程お主らの言った通り、お主らは死んで転生した。その………りあじゅう? とやらの2人組のせいで本来死ぬはずのなかったお主らが来てしもうた』
神はやれやれとかぶりを振った。
そして再び話し始める。
『このまま死なせることはルール上不可能。と言うわけでお主らには次の人生を用意した』
「待ってました!」
「くるのか!?」
異様にテンションの高い2人。
期待しているのだ。
自分が“主人公”になることに。
しかし、現実はそう甘くなかった。