表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

第1話 社畜男子と中二病女子の異世界転生

読み切り?

みたいなやつです


 日本一の大企業。

 ここに入社すれば勝ち組とまで言われた企業に、俺は入った。

 だが、




 ある日の昼下がり、大手企業のオフィスに怒鳴り声が鳴り響いた。


 「白崎ィ! また君か!! 一体何度言ったらわかるんだ!」


 「申し訳ありません!!」


 「毎回毎回同じようなミスを繰り返しおって! それでも我が社の社員なのか!?」


 今日もだ。

 今日のこのハゲ親父に頭を下げる。

 もうウンザリなんだよ。

 クソハゲ。


 と、平社員、白崎 雄二は思わず上司を睨みつけた。

 上司は小さく、定年間近のジジィだ。

 高身長でガタイが良く、格闘技をやっている雄二にかかれば一瞬で捻り潰されてしまうだろう。


 しかし、


 「なんだ………その目はッ!」


 上司は雄二の頭を叩いた。

 ホワイホワイトと謳っているこの会社も当然のようのパワハラはある。

 大体そうだ。


 「とにかく! 今日中に始末書を書いておけ! いいな!」


 「………はい」





 ああ、クソッタレ。










———————————————————————————








 日本一入学が難しいと言われる私立高校。

 ここの卒業生は全員勝ち組とまで言われた高校に我は入った。

 だが、





 ある日の昼下がり、名門私立高校の教室に怒鳴り声が鳴り響いた。


 「黒崎ィ! またこんなもんを持ち込んだのか!」


 「ふっふっふ、山本よ。それは我が魂に宿る漆黒の悪魔を呼び覚ますための生贄よ。死にたくなければ返すがいい!」


 如何にも中二病だとわかる格好をしたゴスロリ眼帯少女、黒崎 メイは妙なポーズを取りながら教師に楯突いた。


 「ポテチが生贄になるわけがないだろうが! 放課後に職員室にこい!」


 「断る」


 「これは絶対だ。来なければ停学にするからな!」


 うるさい男だ。

 貴様らのせいで小屋のウサギがひもじい思いをしているというのに。

 戯け供が。


 「………クソ教師」


 そのつぶやきは教師まで届いて居た。


 「貴様ァ!」


 「くっくっく、クソ教師にクソ教師と言って何が悪い。我は大悪魔 ブラックローズモナークの身に宿した伝説の………痛いッ!」


 ゲンコツを食らった。


 「フンッ!」


 体罰教師め!


 涙目になりながら教師を睨みつけた。

 しかし、これ以上は何も言えない。

 味方はいないのだから。




 



 ああ、クソッタレ。









———————————————————————————









 雄二のささやかな楽しみは、ライトノベルだ。

 転生して、ヒロインがべったりのハーレムは一度は憧れるし、最強の力で無双も夢見た。

 しかし、



 「ハァ………転生なんて起きねーだろうし、社畜の俺に彼女なんてできるわけねーよな………格闘技やってても特にいい事なかったしよ」


 

 ブラック企業社員にそんな暇はなかった。

 今雄二は行きつけのカフェでノートパソコンで仕事をした休憩でラノベを読んでいる。


 そして、チラッと左を見ると、あるものが目に付いた。



 「りょうくん、あーん」


 「あーん」


 ケーキを彼女に食べさせてもらっている彼氏と、それを幸せそうに見ながらケーキを食べさせている彼女がいた。


 「美味しい?」


 「超美味しいよーっ!」



 これはあれだ、いわゆる………リア充だ。


 雄二はリア充が嫌いだ。

 憎いとも言える。

 自分がせっせと働いている側でイチャコライチャコラと………


 と心の闇を膨らませていた。











————————————————————————————










 メイは、ラノベが好きだ。

 読んでいると、本当に力を持った主人公になった気分になれた。

 普通を嫌う彼女も、恋愛だけは普通にしたいのだ。

 だが、


 「いつまで経っても我は闇の力が解放されぬ………恋もできぬ………一体いつになったら我に転機がくるのだ?」


 信じている。

 信じているが、ここまで何もないと疑いたくもなる。

 

 今メイは、行きつけのカフェで、課題を置きながらラノベを読んでいた。


  そして、チラッと左を見ると、あるものが目に付いた。



 「りょうくん、あーん」


 「あーん」


 ケーキを彼女に食べさせてもらっている彼氏と、それを幸せそうに見ながらケーキを食べさせている彼女がいた。


 「美味しい?」


 「超美味しいよーっ!」



 これはあれだ、いわゆる………リア充だ。



 我はリア充が嫌いだ。

 わけのわからん事をつぶやきながら(完全にブーメラン)イチャコライチャコラ………我が闇の力で深淵に引きずり下ろしてやろうかッッ!


 と、心の闇を膨らましていた。









———————————————————————————








 雄二はさらに奥に目がいった。


 メイはさらに奥に目がいった。


 同時だった。



 「「あっ」」



 2人は急に恥ずかしくなり、ラノベに目を落とした。


 



 ドォォォンッッ!!!




 「「!?」」


 轟音とともに、トラックが突っ込んできた。

 やばい、あのリア充カップル、轢かれる。


 2人は偶然にも、同じラノベの同じ部分を読んでいた。

 それは、主人公が自分を犠牲にして、民間人を助けるという描写だ。



 (マジか俺、影響受けすぎだろ!)



 (マジか我、 影響受けすぎだ!)


 

 2人は同時にリア充カップルを助けようと手を伸ばした。


 が、


 カップルは目の前にいた雄二とメイを軸にくるっと回り、背中を押して難を逃れた。


 雄二とメイは抱き合ったような形になる。


 そして、




 

 死んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ