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Different World Online(ディフレント ワールド オンライン)

評価、ブックマーク、

ありがとうございます!

楽しんで頂ける様に、頑張ります!

Different(ディフレント) World(ワールド) Online(オンライン)


通称『DWO』は、

『ゲニメニック』というゲーム会社が独自の技術で

VR機器本体から開発した、MMO RPGだ。

最近はこのジャンルも数多く販売されているが、

このゲームのクオリティはそれら全てとは別格と

されている。

発売前に行われた、

抽選者のみによる1ヶ月のテストプレイ

(いわゆる、オープンβ(ベータ)テストという物。)において、

その凄さに感動したとあるプレイヤーの発した


「ゲームをしていたんじゃない。

別の世界に旅行に行ってたんだ。」


という言葉は、余りにも有名になり…のちに

このゲームのキャッチコピー


『自分らしい姿で、別の世界に旅行に行こう!』


の元になった。


…しかし、クオリティだけでは、

このゲームはここまで人気作になっていないだろう。

(何せ、約1年経った今もプレイヤーは増える一方で

母の言った通り品薄で手に入りにくい状態が

続いているのだから。)


その理由は、素晴らしい物語と、

難しくも楽しめるように散りばめられた

謎やクエスト。


そして。


(まさ)しく()()()()()姿()になれるという、

特徴的なキャラクタークリエイト…だ、そうだ。

何故、曖昧(あいまい)なのかというと、私はこの辺りの事を

余り詳しく知らないからである。


先程までの話は全て、

実際にプレイしているクラスメイトとの会話や、

兄からの電話やメールで得た知識だ。

(兄は、このゲームを発売日からプレイしている。

…初期組というらしい。)

インターネットなどで、

発売前にある程度の情報を調べる事も出来たが、

私はそういう事も一切していない。


理由としてはとても単純で、

私が最初このDWOに興味を持っていなかった

からだ。


しかし、発売まで後1ヶ月となった時に、

それが(くつがえ)る出来事が起こる。



ある日の夜。

私が両親と共に夕食をとっていると、

見ていたバラエティー番組の合間に、

このゲームのCMが流れ出したのだが。


…それまでに何種類ものパターンの物が

放送されていたが、その日流れたこのCMは、

私の興味を引くのに凄い威力(いりょく)発揮(はっき)したのだった。


画面一杯に映る、

どこか不思議ながらも可愛い動物達が、

目をキラキラさせながら元気に走り回り…やがて、

ファンタジーっぽい服装をした女性の元へ。


嬉しそうな女性と動物達がアップで映る中


『君も召喚士で、可愛い仲間と旅に出よう!

Different(ディフレント) World(ワールド) Online(オンライン)、予約受付中!』


と、ゲームタイトルと発売日が表示されて、

それは終わった。


食事の手を止めて食い入る様に見つめていた私は、

その瞬間にこのゲームの購入を決めたのである。



「あの時は驚いたわよ〜。

花芽ったら突然固まった後、

声をかけても全く反応しなくなっちゃうし。

どうしたのかと不安になった瞬間、

動き出したと思ったらずっと涙目で。

…お父さんと2人で大慌てしたのよね。」


いや、その節は申し訳ない事を。


「でも、その後理由を聞いたら

『このゲームしたいけど、

発売日が志望校の受験日と近いから出来ない。』

なんて言うんですもの。


でも、お父さんが買っておいて終わったら

遊べばいいって言ったのに

『買っておいたらしたくなるから、

終わるまで買うの我慢する。』

って、涙目のままで返したのよねぇ…。」


ホントに、変な所で真面目なんだから。


椅子に座りつつそう言った母は、

優しく微笑みかけてきた。


「だからあの後、お父さんと2人で

『合格祝いに買ってあげよう』って決めたのよ。

…まさか、ここまで手に入りにくいとは

思わなかったけどね。」

「私も、発売日から品薄が続くとは

思ってなかったよ。」


そう、母と会話しつつも、

私の気はすでにDWOに向いてしまっている。

どこかソワソワとした雰囲気を感じとった母が、

可笑(おか)しそうに笑った。


「まだ夕飯まで時間はあるから、

早く遊んでいらっしゃい。

…ただし、生活リズムを崩したり、

勉強を(おろそ)かにしたりしない事!」

「はーい!」


母に返事を返しながら置いていた鞄を持ち、

白い箱だけを左腕で抱えると、私は上機嫌で2階の

自分の部屋へ向かう。



「よっ…と。」


自分の部屋に入った私は、鞄と箱を机の上に置いた。


そのままイソイソと服を着替え、

制服はハンガーにきちんと掛けておく。


慌ただしく準備を整えた後、

いよいよ机の上に置いた白い箱を開け始めた。


「…おおー。」


箱の中に入っていたそれを取り出しつつも、

余りの小ささと未来的なデザインに、

思わず感嘆の声が飛び出てしまう。


(てのひら)に収まる5cm位の、角が取れた逆三角形。

メタリックブルーに輝くこれこそが。


Gate(ゲート) Keeper(キーパー)

…プレイヤーからは通称『門』と呼ばれる、

ゲニメニック社の開発したDWO専用VR機器だった。


それをそっと側に置き、

中に入っていた1枚の紙を読んでみると、

中には簡単に3つの事が書かれている。


1、この『Gate(ゲート) Keeper(キーパー)』を、

ご家庭のインターネット接続用機器にお(つな)ぎ下さい。


2、接続後、ベッドなどで横になり、

楽な姿勢でこのVR機を額に乗せて下さい。


3、目を閉じた後は、専用AIの指示に従って下さい。


最後に


(※その他の不明な事は、

当社のホームページをご覧下さい。)


との文で、その内容は締められていた。


読み終えた紙を机に置くと、『門』だけを持って

私はテレビの側のルーターに近づく。


「えっと、確か…。」


ルーターと『門』を操作すると、

「ピピッ」と音がして接続が完了した事を告げた。


「よし!」


いよいよDWOをプレイ出来るのだと

高揚する気分のまま、ベッドに体を仰向(あおむ)けに横たえ、掌大(てのひらだい)のVR機器を額にそっと乗せると。


そのまま、私は静かに目を閉じたのだったー…。

長々と説明申し訳ありません。

次からやっと、ゲーム内の話になります。

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