第七話 特技の挑戦、剣士へ再戦
テスト中なんだって。いや、これ出した時はテスト中だけど皆がこれを見てるときは終わってるんですね。さて、結果は如何に。
「勇者。起きたか」
「ゅぅしゃょ、これをのむんじゃ」
目覚めていきなり何かを飲まされた。苦い。不味い。つまり、回復薬だ。
周りを見回す。どうやら町の宿屋のようだ。
そっか、妖精剣士にやられて……そうだ、僧侶は?
「さて、それじゃ何が起きたのか聴かせてもらうぜ、勇者」
あ、僧侶は隣に寝てる。良かった。
~~海老~~海老~~
町の宿の中。勇者が必死に説明したが戦士には通じず、結局僧侶が目覚めて説明することになった。
「――と、言う訳なの」
「やけに強い修行中のエルフ、か」
僧侶の隣で勇首を振るが戦士は気付いてくれない。ちなみに魔法使いは寝てる。
「そんなに強かったのか?」
「うん。あの頃だったら余裕で倒せたんだろうけど、今のままだとねぇ」
「それはつまり、どうにか出来る、と?」
「当然、必然、まじ全然」
僧侶が韻を踏む。魔法使いが鼾いびきをかく。勇者は手を上げる。
「ん、勇者どうしたの? ……あんなのに勝てるのかって?」
うんうん。だって勝てそうに無かったし。
一撃で僧侶は吹き飛び、自分も一太刀で切り捨てられた。勝てる気がしない。
戦士はともかく、魔法使いは触れられるだけで骨が折れちゃうよ。
「そりゃあ勿論、今のままだと勝てないよ? でも、私たちは強くなれるからね」
「敵を倒すとお金を落とすだろ? それと同時に経験値ってのを落としてるんだ。俺らはその経験値を貯める事で他の奴らよりも早く成長出来るんだ」
へー。全く気付かなかった。
「勇者もちょっとは強くなってるんだよ!」
「ま、まだ特技は覚えて無いみたいだけどな」
「とくぎとぃぅのはのぅ」
うわ、魔法使い、急に起きて話に割り込んで来ないで。
ちっちゃな心臓が吹き飛ぶところだったじゃん。
「そぅりょがたまにきょぅこぅげき、とさけんでぉるじゃろぅ? ぁれがそぅじゃ」
「魔法使いのファイアや、俺のヒールも特技の一つだ。……まぁ、見る限り勇者に魔法は合わなそうだけどな」
「でもでも、勇者がヒール覚えられたらそれはとっても良いことなんだよ? 回復枠が増えるってことだし」
魔法、ねぇ。ヒールはともかくファイアは苦手かな。火は嫌い。
「だから、勇者は魔法より先に強攻撃みたいなのを覚えるってぇの」
「そうかなぁ」
「ためせばょぃではなぃか」
うんうん。……え、それって妖精剣士を相手に?
「南に行ってクリスタル相手に特訓だ。倒れんなよ?」
「レベリングレベリング! あんまり好きじゃないよ!」
「がんばるぞぃ」
う、うん。だよね、相手はあくまでクリスタルだよね。
~~海老~~海老~~
「また来たのですか。人数を増やした程度では私には勝てませんよ?」
「それはどうかな」
「いっぱいクリスタルどもを倒したからね!」
「ほっほっほっ」
ウソつき~っ! クリスタル相手にするって言ったじゃん確かにここに来るまでにレベルが上がったらしいけどだからってそのまま特攻かけなくても良いじゃんそもそも特技覚えてないし一旦町に戻ろうよ~!
「……勇者、そろそろ服から手を離してくれないか?」
「ほらほら泣かないで。大丈夫だから、ね?」
「ゅぅしゃょ、こぅなったらもしゃゃるしかなぃんじゃ」
もしゃゃるって……あぁ、『もはや、やるしかない』って言いたかったのかな。
「ちゃっちゃとやるぞ!」
「いっくよぉー、リベンジだ!」
「ゅぅしゃょ、ぃくぞぃ!」
「はぁ……良いでしょう、始めから全力でいかせてもらいます!」
…………やだなぁ。やるからには頑張るけど、車海老の本能が止めろと叫んでる。
『妖精剣士が現れた!』
『妖精剣士の全体攻撃!』
妖精剣士がその細い剣で凪ぎ払う。
『勇者に16のダメージ!』
『戦士に10のダメージ!』
『魔法使いに20のダメージ!』
『魔法使いは倒れた!』
『僧侶に18のダメージ!』
「「ま、魔法使い!?」」
だから言ったのにぃ。
「うあぁぁぁぁよくも魔法使いを!」
「僧侶!」
『僧侶の強攻撃!』
『妖精剣士に12のダメージ!』
「くっそ!」
『戦士のヒール!』
『僧侶のHPが20回復した』
車海老流、必殺の!
『勇者の攻撃!』
『妖精剣士に5のダメージ!』
全然駄目だった。
「……ほう? 言うだけありますね。ですが――」
『妖精剣士の強攻撃!』
『戦士に15のダメージ!』
『戦士は倒れた!』
「せ、戦士まで……」
迷ってる暇は無い。こうなったら突撃!
『勇者の攻撃!』
『妖精剣士に6のダメージ!』
『僧侶の強攻撃!』
『妖精剣士に13のダメージ!』
「あなたがたは良くやりました。私も、中々の傷を負いましたし。…………が、無意味です」
『妖精剣士の全体攻撃!』
『勇者に16のダメージ!』
『勇者は倒れた!』
『僧侶に18のダメージ!』
『僧侶は倒れた!』
GAME OVER
まただよ。何て読むのこれ? が、め、お、べ、……るぁー?
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