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女神の再臨
背後からウェイターに浴びせられていた邪険な気持ちを正面から受け取る覚悟をもって振り返り、でも詫びの言葉を口にするほど気持ちの余裕を持ち合わせていなかった僕は、まだ諦め悪く店内を探す振りをしながら出口へと向かい、レジの横を通り過ぎるそのとき、冴子がやって来た。
冴子はニコリともせずに僕の横を通り過ぎて行った。僕はかける言葉もなく、颯爽と歩く彼女の後ろを着いて行った。そう、正に金魚の糞のように。
それでも僕はウェイターに、ふふんという勝利者の眼差しをくれてやることができた。