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親父の背中が
親父と一緒になんとなく紅白を見て、順番に風呂に入り、上がって掃除してから出てくると蕎麦が用意されていた。それをなんとなく一緒に食べて、面白くもないテレビを見て、同じ場面で笑ったりした。
気が付くと朝だった。親父も僕もコタツで寝入ってしまった。
「餅、食うか?」
「いや、出かける。」
親父はキッチンで朝飯代わりの餅を自分の分だけ用意し始めた。
小さな背中だ。
母さんが亡くなって十年、和美が嫁いでから二年、文句を言うでもなく小言を言うでもなく、役所で事務仕事を続けている。このまま定年を迎えるんだろう。