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Facebookの写真
冴子の家で見たお節とはまた違うけれど、端正なお節料理が宅の上に並んでいる写真だった。いかにも古い写真を写メしたといった風で、画像から古さが滲み出ていた。
投稿者の名前を見ると…
「オヤジィっ?!!」
思わず大きな声を出して、両手で健吾くんの胸ぐらを掴んだ。
健吾くんはびっくりしながらも、実にスマートに僕の両手を胸から払うと、ビールをもう一杯飲ませてくれた。
ゴクゴクと音を立てて一気にビールを飲み干し、深呼吸をするために大きく息を鼻から吸った。まだ息を吐き出していないのに、
「お義兄さん、お義父さんがFacebookやってるの知らなかったんじゃないですか?」
とすかさず健吾くんは僕に聞いた。僕は声も出せずにただ大きく、二、三度頷いた。夜羽子さんの様子など気にしている場合ではなかった。