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奈都さんたら
定時速攻で来てみたら、やっぱりお店はまだ空いてなかったけど、準備中も奈都さんはいつもの温かい笑顔で迎えてくれた。
作り置きのポテトサラダやナムルの調理を手を抜くことなく、でも僕の話を聞いてくれる。
なんとなく言いそびれていると、聞きたいことを言って欲しいと。
「オールステンレスのツバ付き刺身包丁、二四〇ミリを買おうと思ってるんです。」
奈都さんはまな板から僕の方へと目を移してくれた。一秒間、不思議な顔付きで僕を眺めたと思ったら、ものも言わずに敏捷にしゃがみこんだ。




